62 買い物
「櫻井達からその後、連絡があったか?」
目を通していた書類を、机の上に置き、立ち上がる。
「tenerezzaの城からケイさんを助けだしたと、木理谷から報告があってからは特に。」
「まぁ、あいつらなら心配はないがな。」
「そうですね。」
「でも珍しく違った意味で櫻井も苦戦してますね。今まで女性には、苦労してなかったのに。」
「そうだな。」
今までは、櫻井の容姿からして、黙っていても女性が集まってきていたが、確か深い付き合いはなかったはず。
今回は、鍵を預けた責任だけでなく、本気で深みにはまり始めてるの・・か?
「しかしケイさんも、次から次と事情がわからないので大変でしょうね。」
溜め息をついたあと、挨拶をし部屋を出ていった。
一人、窓の外を眺めながら何か考え込むように瞳を閉じた。
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lagoを発つ、列車に乗るまでには少しの時間。
今、街で私は、買い物を楽しんでいる。
もちろん一人ではなく、私の両サイドには隼人と櫻井さんが、皆の注目を浴びながら私の買い物に付き合ってくれている。
二人とも笑顔で答えてくれているけれど、目が笑っていない。
周辺にピリピリと、気が張っているのがわかる。
それだけ、油断は出来ない状況なのに、櫻井さんがOKしてくれたのは嬉しい。
でもなぜ、この状況になったのか・・。
事の発端は、私の呟きからだった。
「ねえ、隼人。」
「ん、どうした~?」
ベットに横になり、タバコをすっている彼に、少し前から思っていたことを話してみることにした。
「ここまできて、いろんな騒動に巻き込まれて、滞在した星のこと楽しむ余裕がなかったよね。」
「そうだなぁ。緊張感いっぱいだものな。」
タバコを消し、私を自分の所へ引き寄せる。
「あと数駅で、speranzaに着くって櫻井さんが言ってたでしょ。」
「命を狙われてる危険な時っていうのはわかるけど、少しの時間だけでもいいから、買い物とか出来ないかなと思って。」
最後は、もう呟くような声で。
「うーん、そうだな。とりあえず櫻井さんに聞いてみるか。」
隼人が携帯を持ち、かけ始める。
ほんと即実行だものなぁ、と思いながら、目の前で話をしている隼人を見つめる。
しばらくすると、電話が終わった。
「危険性はあるけど、俺や櫻井さんが近くにいれば、列車に乗る前の少しの時間ならいいって。」
「ほんとっ。ありがとう。」
隼人に抱きつく。
「久しぶりに嬉しそうなケイを見たなぁ。」
「うふふ、すっごく嬉しい。」
「でかけるまで、時間がまだあるな。」
時計を見ながら、確認する。
「そうね。今からゆっくり準備すれば間に合うわね。」
隼人にそう言うと、私を見つめる視線がかわる。
「隼人?」
直後、そのまま食べられるように、唇を奪われる。
口の中を犯されるような隼人の熱い口づけ・・。
「ん・・っ、はやとぉ。」
息も絶えだえで、重ねた唇から声が漏れる。
これだけで、私の身体は疼いてくるというのに。
「もうっ、話が違う。」
腰に腕を回してくる隼人に、精一杯の反抗をした。
このまま引き込まれたら、身体が持たない・・。
「もう、今日はしないって言ったじゃない。」
「ん?事情が変わったの。」
さらっと言いながら、私の首筋に頭を埋め、数回チクッと痛みが走る。
「俺の・・ていう証拠残した。」
見えるところにキスマークをつけたらしい。
「そのぐらいしておかないと持っていかれるから。」
と訳のわからないことを言い出す。
このキスマークの影響はすぐに・・。
そのあとも、責め続けられ、準備ができたのは、出かける時間ギリギリだった。
昨夜も、tenerezzaの城から戻り、部屋に入ったとたんベットに連れていかれた。
そのまま押し倒され、
「俺がどれだけケイのこと愛してるのか、身体に刻みこんでやる。」
という隼人に、妖艷なオーラ駄々漏れの熱い瞳で見つめられる。
「今日は、嫉妬心Maxで優しく出来ないから。」
そして、クスッと笑うと、
「ケイ…。」
と呼ぶ艶のある、隼人の声にドキドキする私。
唇、頬、瞼、額と隼人の熱が降りてくるたびに声が上がる。
「まだまだこれから・・。」
時間をかけて上も下も焦らされ、何度もいかされて、
「もう限界・・。」
と、涙目で訴えると、にっこり余裕の隼人。
「そうだな、俺もそろそろだな。」
髪をかきあげるしぐさが、色っぽい。
そう言う隼人と重なると、今度は、私の良いところをわかり尽くしていて、ピンポイントで責めてくるからたまらず声が出る。
「あぁ……ん。」
「ケイ、俺だけをみてろ。」
私を見つめる視線が強くなる。
「ずっと離さな・・いで。」
「もちろん、手放すつもりもない。」
何度も抱かれたあと、眠るように、意識を飛ばした・・。
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緊張感いっぱいの買い物を終え、隼人と櫻井さんの両サイドで手は恋人繋ぎで、歩いて駅に向かっている。
流石に、列車に乗る前にまた狙われるのは、勘弁して欲しいと、自然と周りをキョロキョロ見回す。
「ケイ?」
声の方に顔をむけると、柔らかな笑顔で私を見下ろす櫻井さん。
「大丈夫。誰一人ケイには指一本触れさせない。」
と櫻井さんが言ったと同時に、額にキスされた・・。
!!
一瞬のことだったので、呆気にとられてる私を気にすることなく歩き出す櫻井さん。
反対側の繋いでいる手に、力が入る。
言葉にしなくても、わかってる・・。
不安げな瞳の隼人を見つめ微笑み、優しく握り返した。




