61 魂の繋がり
今夜無事に過ごすことが出来れば、明日出発し、この先の星、buio(ブイヨ 暗闇)、そして数日後には、終点speranzaに着く。
「あいつら、この先どこで仕掛けてくるかだな。」
自室で櫻井が呟く。
tenerezzaの城で取り押さえた二人。
ケイの元彼は、利用されてただけで特に心配はなさそう、だが、もう一人の、ケイにぶつかって、ずっと追ってきた男。
・・胡散臭いやつ。
鍵をもちろん、渡すわけにはいかないが、ケイは俺が、渡すはずがない。
やはり.俺の思ったとおり、王はケイを狙っていた。
でも、なぜ接触のない王がケイを知っていたのか謎だったが、今となっては、ケイの元カレが、情報源と考えるのが自然だな。
それにしても、地球から長い旅だと思ってきたが・・。
もう終着駅が近くなってきたんだな。
ケイを思い、深いため息をついた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
気がつくと夜が明けてきていた。
もちろん、朝陽があがるわけではなく、時計を確認したわけで。
隣には、すやすやと気持ちよさそうに、眠る隼人がいる。
起こさないように、隼人の寝顔を見ながら、昨日の事件を思いだす。
私の中では、想像のできない展開が繰り広げられる、非日常的な毎日。
夢の中だったら、さぞかしうなされているんだろうなと思いつつ、実際、夢であってほしいと思う。
あと数日で、speranzaに着くらしい。
車中で櫻井さんが言っていたから間違いない。
speranzaに着いたら、櫻井さんが何者なのか、そして【鍵】がどう意味を持っていたのか、全ての謎が解決する。
でも本当のことを知るのが、怖いのもある・・。
櫻井さんの、ストレートな気持ちには答えられないのは辛いけれど、彼に抱きしめられた時の、あの感じは、隼人にはない。
安心感というか、懐かしい感じというか、言葉にするのは難しいけれど。
櫻井さんの唇が重なった体温が、私の身体の奥の何かに、間違いなく反応した。
彼の胸の中にずっといたい、と一瞬だけでも、思ったのは事実。
でもそれは、私の心の中にしまっておくことにする。
だけど、これは正直な気持ち。
生きている間に、何人かのソウルメイト(魂で繋がっている強い絆。生まれ変わるたびに出逢う特別な関係。)に会うと聞いたことがある。
隼人はもちろんそうだと思っているけど。私をここまで導いてきた櫻井さんも間違いなく、ソウルメイトの一人だと思う。
もしかしたら過去は、恋人同士か夫婦で愛し合っていたのかもしれない。
そう考えたら、納得できる。
切ない・・。
そんなこんなで、思いを巡らせていると、隣で隼人が動きだした。
「おはよう、隼人。」
彼の頬にキスをする。
「おはよう、早いな。」
寝ぼけまなこついでに、私を引き寄せ唇を重ねる。
「早く眼が開いたから、隼人の寝顔見てたのよ。いつもは見られてるから。」
隼人の身体の体温を感じる。
「嫌な夢でも見たのか?」
私の頭を優しく撫でる。
「ううん、そうじゃないわ。でも色々トラブル続いているから、夢であって欲しいなとは思うけど。」
「そうだよな。でも・・。」
「こうやっていれることは、夢じゃなくて現実がいい。」
そう隼人は言うと、私を強く抱きしめる。
「ケイは俺のものだ。」
「隼人?どうしたの急に。」
両手を伸ばし、隼人の頬を優しく包む。
「私は何処にも行かないわ。」
隼人と目が合い、しばらく無言で見つめ合う。
「敵が多すぎる・・。」
「え?」
「この旅で、次から次へとケイを狙うやつが出てきてて、俺が持たない・・。」
そういうことか。
「私の気持ちが動きそうとでも?」
意地悪な言い方かも知れないけど・・。
「いや、それは思わないね。」
それは断言するのね、さすが隼人。
「俺より腕っぷしのいいやつが、無理に連れて行きそうで。」
もうそんな騒動は勘弁してほしい。
「隼人、早く全てを終えたいね。」
今からでも、地球に帰りたい。
「ケイのウエディングドレス姿見ないとな。」
笑顔を見せてくれる。
「隼人の「王子様の」笑顔を見るの、久しぶりかも。」
「王子様はいらないけど、そう言えばそうかもな。現状が厳しすぎて、余裕なかったし。」
「さっさと終わらせて、帰るか。」
何か考えていたあと、私の大好きな笑顔を見せてくれた。




