58 lago/誘拐
「どうだ、接触できたか?」
「まだですね。到着したとき少し話しをしましたが、それ以降はガードが固くて。」
「ははっ、そうだろう。簡単に引き渡してくれる相手じゃないからな。」
「……確かに。」
両サイドあのガードでは、彼女には近づけない。
「飛鳥、私は、先に行く。後は…頼んだぞ。」
「承知しました。」
電話を切り、部屋に静けさが戻る。
「ふぅ~。」
大きな溜息とタバコの煙と共に、張り詰めていた空気が動く。
「これで良かったんだ。」
「…ケイ、ごめんな。」
窓の外は既に暗くなり、無数の星が輝いている。
「俺は地球から離れて何をやっているんだろうか。」
答えをくれる相手はいない。
少しの沈黙の後、
「さてと、行くか。」
何もなかったように、吸っていたタバコを、消し潰し、暗闇に消えて行った。
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隼人は、ああ言って断ったけど、やっぱり飛鳥からの電話は気になった。
隼人が眠ってしまったのを確認してから、そっとベッドを抜け出し洋服に着替えて、
「すぐ帰ってくるからね。」
寝息をたてて眠る隼人の頬に、口づけをし、そっと部屋からでてきた。
エレベーターで、1階に下りてきたら、
「ケイ?」
振り向くと、飛鳥が立っていた。
「飛鳥、さっきはごめんなさい。隼人がでて切ってしまったから、電話口にもでられなくて。」
「でも、その後やっぱり気になったから、下りてきたの。」
「いや、それはいいんだけど。逢えて嬉しいよ。」
飛鳥に、抱きすくめられる。
「飛鳥…私。」
「ここじゃなくて場所変えて、少し話そうか。」
「長くなる?」
隼人が起きたら心配するから、あまり時間はかけれない。
「大丈夫。ケイも上、心配なんだろ?短時間にしよう。」
気がすすまないけど、
「少しなら…。」
飛鳥の変わらない笑顔で
「じゃ、行こうか。」
肩を抱かれ、一緒に外に出てきて、暫くして意識をなくした。
「ケイ、ごめんな。」
意識をなくす直前に、そんな言葉を聞きながら…。
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「バタンっ。」
最上階部屋の、扉が勢いよく開いた。
「ケイっ、何処に行った。」
顔色を変えた、隼人が出てきた。
その音を聞き、隣の扉も開く。
「隼人、どうした?」
「櫻井さんっ。」
「ケイが…、いなくなった。」
「なにっ、何時から?」
「先程まで、ベッドで二人で眠ったはずなんですが、気がついて起きたら、隣に寝ていたはずの…。」
「ケイがいなかったんだな。」
言葉なく頷く隼人。
「真。」
「ハイ、ご主人さま。ケイさん、既にこの建物にはいません。」
「あと、ケイさん着替えられた形跡があります。」
手元のナビには、赤く点滅する光が移動してているのが映っている。
「着替えた形跡…。」
「今、何処に向かっている?」
「空港とは正反対の方向ですね。」
「そうか、よし、隼人急いで追うぞ。」
言葉と同時に、走り出す。
「ナビがいつまで動くかわからないからな。」
走りながら、櫻井が呟く。
「えっ?」
「ケイの鍵が、相手が信号だしてるの気がついたら…。」
隼人が、言葉をなくすと、
「あいつらなら、やりかねない。」
「あいつらって…、tenerezzaの?」
「ああ、間違いなく、だ。」
櫻井は確信した。
そして、
「一度だけでなく二度も俺を…というより、国を怒らせた代償は、払ってもらう。」
「櫻井さん…。」
「隼人、手加減するなよ。敵陣に乗り込む。」
とてつもない恐ろしい規模で、動き出す予感…。
「ケイ、待ってろ。必ず助けに行く。」
隼人も、走りながら祈らずにはいられなかった




