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星の降る街に  作者: 霧島
第6章
55/92

55 lago/波乱

「ケイ、こちらはどんな関係の方?」


急に目の前に現れた彼と見つめ合い、呆然としている私に、あえて事務的に、隼人が尋ねる。


「…ん、私の元カレなの。」


言ってから、一瞬私の周りの空気が凍りついた感じがしたのは、気のせいだろうか…。


彼は、平田飛鳥(ひらたあすか)

私が、仕事を始める少し前から付き合っていた。

隼人と出逢った頃と重なる。

そう考えたら、人生は不思議。


彼と別れたのは、嫌いになってではなく、お互い仕事が忙しくなって、私ものめり込んで仕事をやっていたせいもあり、すれ違いも多くなってしまって、結局離れてしまった。

でも、彼のことは大好きだったし、気になっていた。


でも、飛鳥が何故今ここに?


私と別れた後、地球を離れた…と人づてに聞いたことがある。



「ケイ、彼の仕事の邪魔になるから、行こうか。」

櫻井さんが、横から声をかけてきた。


あ、そうだ。

ここで働いてるみたいだから邪魔しちゃいけない。


「仕事の邪魔しちゃってごめんね、飛鳥。私行くわ。」


「ケイ、また時間ができたら話そう。連絡する。」

飛鳥の返事を待つ前に、両側の二人に連れられて、その場を去った。


部屋に向かうエレベーターの中。

誰一人言葉を発しない。

沈黙が怖い…。

ちらっと、二人の顔を見ると、何か考えているのかな?

あえて、関わるのはやめておこう。


私も、先ほど再会した飛鳥のことを思い出していた。

時が立ち、彼も雰囲気が変わっていたが、あの私を見つめる大きな瞳、

大好きだった優しい笑顔はかわらない。

でも、飛鳥は何故今、lagoにいるんだろうか。

あとで、話しができるかな。


エレベーターの、到着した音で思考が遮られる。


「荷物を置いたら、部屋へおいで。」

という櫻井さんの言葉に頷き、隣の部屋に入る……と。


荷物を置く前に、隼人に後ろから抱きしめられた。


「隼人?どうしたの?」

返事がない。


「あいつ、ケイの付き合っていたやつなのか?」

少し苛立った声がする。


「そうよ。」


私の男性遍歴なんて、隼人の女性関係に比べたら足元にも及ばない。


「…悔しい。」


「隼人?」


「俺より先にケイに逢ってるなんて。」

抱きしめる力が強くなる。


「初めての男か?」

目の前にきた、隼人の真剣な瞳。

初めて…、嘘ついても仕方がないから、頷く。


「くっ…。」


言葉にならない隼人に、言われる前に反撃する。


「隼人の女性の経験よりは、少ないと思うわ。」


「俺のことはいい。」

私の顔を両手で挟み、


「今の俺は、嫉妬で焼け付いてしまいそうだよ。」

そう言いながら、強引に激しいキスをする。

隼人の中で、何かはずれた…?


「ん~っ。」

激しさに、酸欠になりそう。


最早こうなると、隼人の暴走を止められない。

でも……。


「隼人、櫻井さんの所に行かないと。」


背中を叩いて、やっと離してくれたと思ったら、


「わかってる。」


「でも…その前に。」

私の身体が浮く。


「このままじゃ、俺の気持ちはおさまらない。」

隼人に抱き抱え上げられ、ベッドに連れてこられた。


「ごめん、先に言っとく…。優しくできそうもないから。」


そう言うと同時に、唇に重なっていた熱い体温が、唇を離れ、所々紅い花びらを付けながら、下がってきた。


隼人は、私の感じるスポットを、わかりきっているから堪らない…。


「あ…っ、はやとぉ。」

言葉と裏腹に、優しく責め続けて、それがまた私の感覚を狂わす。


「愛してる。誰にも渡さない。」

隼人を纏う妖艶さが、私を虜にさせる。


「離さないで…。」


それを聞いて隼人はにっこり微笑む。


「もちろん。」


その後、隼人から受ける浴びるほどの快感に、身をゆだねた…。


「私も、愛してるわ隼人。」


言葉に載せると、心に沁みる。


そう、飛鳥も好きだったけれど過去のはなし。

今、私が愛しているのは、隼人。


まぁ、付き合ってきた男性のことは、詳しく言ってなかったから今回のことになってしまったのだけど…。


隼人の女性関係も気になるけど、気にしたら身が持たないって言ったら、どんな顔するかしら。



………………………………………………………………………………


「先ほどのロビーの男、気になるな。」


櫻井も、自分の部屋で何とも言えない思いを抱え呟いていた。


その原因が、嫉妬だということも分かっている。


「ケイの元カレか。」


それを差し置いても、このタイミングで逢うとは。


「真。」


「はい。」


「ロビーにいた、男、探ってみてくれ。俺の勘が当たってれば、かなり面倒なことになる。」


「面倒、ですか?」


「ああ、間違いなくな。」


「了解しました。」


真が部屋をでたあと、ソファーに倒れ込み、目を閉じた。

次から次へ事は動いて来て、気が休まる時がない。


そして、今度はケイの昔の男の出現…。


列車内で、抱きしめキスをした時のことを思い出すと、身体の深い所が熱くなる。


こんな思いは初めてだな。


いつのまにか、どっぷり浸かってしまった自分に苦笑いをする。


「ケイ、逃がさないからな…。」


本人が聞いたらびっくりしそうな、物騒な物言いをしながら、ある場所に連絡を入れるため電話をかけはじめた。


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