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星の降る街に  作者: 霧島
第5章
52/92

52  これから進む道

「わかった。ご苦労様。」

櫻井さんへ、次々と連絡が入ってきている様子。


結局、lagoに向かう列車の私たちのコンパートメント内で、櫻井さんや隼人たちが引き続き打ち合わせを行っている様子。


私は虚脱感からか、力が入らず、一人ベッドで横になっているけれど…。


今も、櫻井さんがあの時気がつかなかったら…と思い出すだけでも、怖くて身体が震えてくる。


困ったな…。

これ以上隼人たちにも、心配かけるわけにいかないし。

膝を抱え、小さく丸くなって布団を被っていたら、そのうちに、いろいろ考えながらも眠ってしまっていた。



「真、とりあえず、隼人の方は、片付いたな。」

櫻井さん、タバコくわえながら呟く…。


「残らず片付けたようですので、一段落ですね。新しく狙ってくる奴らがでてこない限り、大丈夫かと思います。」


「でも、油断はできませんが。」


「まぁな、隼人の親父さんの仕事上、敵だらけだと思っていたほうがいい。奴らも氷山の一角だしな。」


「ただ今回は、特別だ。奴らがケイを狙った時点で、俺たちを敵に回したようなもんだから。」


「ケイが狙われなければ、関わる必要のなかった相手だ。」


「そうですね。」


「でも今回だけは、奴らには同情しましたよ。」

クスクスと真さんが笑う。


「何故?」

櫻井さんが怪訝な顔をする。


「久しぶりに、戦場敵なしの旦那様が、本気でしたから。」


「そんな雰囲気の時は誰も手がだせません。」


「私も、命が惜しいですし。」


「そんな、大袈裟な。」


「でもなぁ、真、ケイがあんな状態で狙われたら、ほっとけないだろ?」


「もちろん。奴らは生かしておくわけにはいきません。」


「今も、列車内も危険だからな。何がおきてもおかしくない。」


「これからの相手は、隼人だけじゃ多分対処できないだろうし。」


「そうですね。まぁ、隼人さん狙いの相手は、結局雑魚みたいな奴らで、たいしたことなかったのですが。」


「旦那様、これからが本当の、ですね。」


「わかってる。」


「あいつらのことだ。必ず、なにか仕掛けてくる。」


speranzaに着くまで、あまり時間がなくなってきた今、狙ったものは必ず手に入れてきたあいつが、このまま引き下がるわけがない。


相変わらず、厄介なやつだ……。


「まだあいつらだけならいいんだけどな。」


「と、いいますと?」


「ちょっと、気になる噂が入ってきている…。」


「そうでしたか。」


走る列車の窓の外に目を向けると、漆黒の闇の中、たくさんの星が光り輝いている。


地球も遠くなったな。


speranzaまであとわずか・・か。



この先何があろうと、ケイは絶対に渡さない。


俺が必ず守る。



「この先どうなるんだろうか…。」

ケイの寝顔を見ながら隼人はひとり溜息をつく。


結局、俺の親父関係の騒動も、櫻井さん達が片付けて、解決、になったけれど。


ケイの命が目の前で奪われそうになって、何もできなかった自分。


悔いが残る…。


この先、speranzaに近くなるにつれ、鍵を持っている俺たちには、遠慮なく攻撃は激しくなってくるだろう。


俺はケイを守りきれるんだろうか…。


先のこと考えすぎても、解決しないか。


俺のできることは、ケイの傍にいて離れないことだな。


「怖い思いさせてごめんな。。」


丸くなって眠るケイの頬にキスをする。


「愛してるよ。」



「ん…。はやと?」

温もりを感じ、ゆっくりと目をひらく。


「起きた?」

傍には、優しく微笑む隼人がいた。


「ずっと傍にいたの?」


「うん、ケイの寝顔見てた。」


「もうっ…。」

恥ずかしくて、布団で顔を隠す。


「何にもしてないじゃないか。」

笑いながら、隼人に簡単に剥がされてしまう。


「起こしてくれたら良かったのに…。」


「いいんだよ。寝顔みていたかったんだから。」

不意に隼人の指が、私の目の下を撫でる。


「腫れてる。泣きながら寝てたんだろ?」


「ごめんな、ケイ。」

言いながら私を抱きしめた。


「隼人、何故謝るの?隼人は悪くないじゃない。」


抱きしめる力が強くなる。


「怖かっただろ?」


「・・うん。」

隼人の胸から聞こえてくる心臓の打つ音と、ぬくもりが私の心の緊張を溶きほぐす。

ホッとしたら、急に涙があふれ止まらなくなってしまった。


「はやと、怖かった。」

そう言うだけで、精一杯だった。



隼人が優しく抱きしめてくれながら、話し出す。


「親父もケイにはすまないことをした・・って言ってた。」


「親父の仕事の騒動に巻き込まれて、命落とすところだったんだから。」


「俺と一緒になることも、心配はしてたな。」


意外な展開に、一瞬涙が止まる。


「なぜ?」


「俺が親父の息子だから・・だよ。」


「俺と一緒にいる以上、今回みたいに、また狙われることがあるかもしれないだろ?」


「俺は、小さい頃からあったから、親父が自分の身を守る術を教えてくれたが、ケイは違う。」


隼人が、真剣な眼差しで、私を見つめる。


「こんな時に、言うことではないかもしれないが、これからも身の危険もあるかもしれない。それでも俺と一緒になってくれるか?」


急な隼人のメッセージにびっくりする。


でも・・・。


「イヤっていったらどうするの?」


「うう・・ん、諦めきれない。」

真剣な顔で悩んでいる隼人。



「取り柄もない、こんな私でも、あなたの傍にいてもいいのかしら?」


「もちろんだよ。」


「俺には、ケイがいてくれたらそれだけでいい。」


「隼人、愛してる。私もよ。」


唇に隼人の体温が優しく重なる・・・。


「地球を離れた時点で、危険は承知してる。でも、実際に自分が遭遇すると何もできないのが痛いほど分かったわ。」


「私を追って来てる人がいるってことも、信じられないけど・・。」


これからどうなっていくんだろうか。

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