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星の降る街に  作者: 霧島
第1章
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5 流れ星

頭の中が真っ白になりながらも、やっとの思いで電車を乗り継ぎ自宅に帰る。とりあえずお風呂に入り少し落ち着いた後、ミネラルウォーターのボトルを片手に、ベランダから夜空を見上げる・・・。


「星が綺麗だなぁ・・。」


星空を眺めるのが好き。特に冬の夜空は、いつもより星が輝いて見える気がする。漆黒の空に無数の輝き・・。

今夜は、オリオン座が真上に見えて、思わず見上げる。オリオン座の近くに居るシリウスは、太陽以外で地球上から見えるもっとも明るい恒星(自分で輝く星)。


「宇宙に行ったら見えるのかな・・・。」


呟いてから、ふと頭が現実に戻る。


「宇宙旅行かぁ・・・。」


昨日から今日までの出来事を、頭の中で振り返る。


何故、行こうと私は思ったのか。本気で行く気があるのか?

宇宙空間なんて、命の保障はない。この街を出て、すべてを投げ出して行く覚悟ができているのか?

もしかしたら、帰ってこられないかもしれない。

それでもいいのか・・・?


自分に問いかける。


一度、決めたこと。もし、ここでやめたらきっと私のことだから一生後悔する。

後悔するくらいなら、行けるところまで行ってみよう。

目的の星は、地球発の鉄道の終着駅。宇宙船もあるみたいだけど、とりあえず鉄道を使ってみるか。

両親には、長い旅にでると言っておこう。追求されても面倒だし、余計な心配はかけたくない。娘が宇宙旅行行くなんて知ったら、反対されるに決まっている。その前に、結婚しろって言われそうだし。

仕事も、手続きしなきゃ。やめる1ヶ月前に言わなければいけなかったな・・たしか。

何か言われるかな?今から1ヶ月だと、年末、お正月挟んで1月中頃か。。


考えていると、テーブルの上に置いた携帯電話が鳴り、メールのランプが点く。


送り主を見ると、「隼人?」

思わずドキッとする。


{あれからいろいろ考えてしまって、眠れなくなったよ。ケイが隣のデスクからいなくなるなんて思ってもみなかったし。ケイも今考えているのか?from hayato}

{ごめんね。悩ますようなこと相談してしまって。私も今、夜空を見ながら考えていたわ。from kei}

{謝るようなことじゃないよ。で?何考えていたの?from hayato}

{すべて投げ出して、本気で行く覚悟があるのかって自問自答してた。from kei}

{俺の問いかけと一緒だね。結果は出た?聞きたいような聞きたくないようなだけど。from hayato}

{行こうと決めて、これでやめたら、私のことだから一生後悔すると思う。だから、行けるところまで行こうかと・・。from kei}


少し時間が空く。今度は、携帯電話の電話のランプが点く


「もしもし?」ボタンを押してでる。相手は、もちろん隼人。

「メールだと、だんだん歯痒くなってきたから電話にした。」

「隼人、やっぱり今日はいつもと違うね。『氷のプリンス』が嘘みたい。」

「『氷のプリンス』って何?」

「隼人の影の名称。かっこいい王子様の風貌なのに、仕事になると、情け容赦ないからみんな脅えるでしょ?だから『氷のプリンス』だって。知らなかった?」

「初めて聞いたよ。『氷のプリンス』ってなんなんだよ。」

電話口で大きなため息をつく。

「でも、情け容赦なくても、隼人はその後ちゃんとフォローしてるものね。だから後輩達がついてくるんだわ。」

「ケイだって、後輩には厳しいけど、ちゃんとフォローしてるだろ?」

「あら・・よく見てたわね。厳しいだけだとついてこないじゃない?自分だっておこられっぱなしや、理不尽な怒られ方はいやだから、後輩にもしないだけよ。」

「だから、男女問わず好かれるんだな・・ケイは。」ため息交じりの声の隼人。

「あはは。それはないでしょ?年もみんなより上だし。」

「気がついてないだけだよ。俺の周りでもケイ狙いがいるし。」

「あら・・そうなの。でも、もう私もいなくなるし、モテ期も終わりね。」

「ケイ・・。」

「ん?どうしたの?」

「やっぱり明日にするわ。さて、そろそろ無理やりでも寝ようか。10時に迎えに行けなくなると困るし。」

「ほんとにいいの?用事があるなら、私一人でいくけど。」

「いいの。俺が行くって言ったんだから。マンションの前で待ってるよ。」

「わかった。10時ごろに降りてくね。」

「了解。じゃ、ケイおやすみ・・。」

「おやすみ。隼人。」




「はぁ・・・・・・」

ベットサイドで大きなため息をつく。

「俺、どうしたらいいんだろう・・。ケイがいなくなるなんて考えたくない。最悪俺も一緒にいくか。」


思いを告げられず、葛藤する。寝られない夜は更けていく・・。




隼人との電話を切ると、部屋に静けさが戻る。

昼から違った雰囲気の隼人のことを思う。恋愛ごとに鈍感な私だけど、

何となく、隼人の思いを感じ始めている・・。

でも、私が旅に出てしまえばそれまでだから。

思った心に蓋をする。思いが通じてしまえば、別れがつらくなる。


ふと夜空を見上げた時、流れ星が目の前を流れた・・。


「あ・・。お願いする前に消えちゃった。これから旅にでれば見えるかな。」


この先のこと、思うことはたくさんあるけれど、

まずは明日・・。


体も冷たくなってしまったので、ベランダの開いている扉を閉める・・。











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