48 entrata/決断
「親父、それ本当か?!」
櫻井さんたちと話をしている最中、隼人のお父さんから連絡が入った。
「わかった。気をつけるよ。」
「親父さん、なんだって?」
浮かない顔をしている隼人に、櫻井さんが尋ねる。
「奴ら、親父の所に脅しかけてきやがった。要件のまなければ、息子の命はない…と。」
「今更という感じはするが。」
「それで?親父さん、どうするって?」
「要件はのまない…と。」
「そうだよな。それが責任を負うものとして、当たり前の判断だ。」
櫻井さんの顔つきが変わる。
『「ただ、息子の命を狙うなら、こちらも考えがある。」と、親父は返事をしたらしいです。』
「もちろん、俺も簡単に倒される気は全くないし。」
櫻井さんが、タバコをくわえ、何か考え込んでいたが…。
「よし、わかった。」
タバコをもみ消ながら、
「相手が限定されて、隼人を狙って来るってことは、
ケイも同時に危ないってことだよな。」
「そうなりますね。」
「そうしたら、こちらも遠慮なく、手加減無しでやらせてもらうよ。」
櫻井さん、完全に戦闘モードだ…。
いつもと違うオーラを感じる。
「真。」
傍らにいる真さんを呼び、何か伝えると、
「承知しました。すぐに。」
返事をして、真さんは部屋から出て行った。
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「だいぶ様子が変わってきたみたいだな。」
「はい。先程、櫻井についている、木理谷から報告が入りました。」
「やはりあいつらも、だったか。」
「はい。tenerezzaの王は、欲しいものを手に入れる手段は選びませんから、
今度は何をけしかけてくるのかわかりません。。」
「どうやら狙っているのは、鍵だけではないようですし、油断ができませんね。」
「今もentrataにはかなりの人数で、tenerezzaの関係者がいるようですし。」
「そうなんだよな。この間、聞いた時驚いたよ。」
「たぶん、ケイさんを王妃に迎えるつもりなんだろうがな。」
「まぁ、そうさせるつもりは全くないが。」
「でもその前に…。」
「隼人くんを追うやつらか。」
「そうですね。」
「ケイさんも襲撃されているからもちろん危ないし、櫻井も今回何か言ってきたんだろ?」
「はい。」
「隼人さんのお父様にも報告済みで、こちらも手加減無しでやらせてもらう…と。」
「そうか。久しぶりに櫻井の本領発揮だな。あいつを怒らせると大変なことになるからな。」
と言いながら、クスクス笑う。
「今回、櫻井にしては珍しく感情が入ってるし。」
「そうですね。今回に限っては、相手に同情します。。。」
「こちらは了解した。櫻井に一任するから、また報告をよこせと伝えておけ。」
「承知しました。」
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「今夜entrataを出発する。」
「予定通り、隼人とケイは列車に乗って行けばいい。」
櫻井さんが、私を柔らかな視線で見つめる…。
「心配しなくていい。大丈夫、俺達がついてる。」
その言葉に、頷く。
「俺は、残念ながら一緒に乗って行けないが。」
頭に櫻井さんの体温を感じる。優しくて大きな手が私の頭と頬を撫でる。
「真が一緒に乗っていくから、何かあったら言ってくれればいい。」
「隼人、たぶん今までのようにはいかないから、覚悟していけよ。」
「はい、わかってます。」
「entrataを出て、lagoに行き、そのあと泊まる星もあと数個。」
「先に進むごとに、相手の抵抗が強くなってくるはずだ。」
「隼人もケイも必ず無事でsperanzaに行けるように。」
「俺達も手を打っていくが、もし奴らに捕えられたとしても、必ず助けにいく。
何を言われたとしても、信じて待っていて欲しい。」
「特に、ケイ。」
櫻井さんに名前を言われ顔を上げると、フワッと身体が温かくなる。
気がつくと抱きしめられていた。
「speranzaの奴らもまだケイのことは諦めてはいない。
いやそれ以上に、王が思いを強くしてるはずだ。」
「えっ!?」
「たぶん、先日の話は100%間違いなく、ケイを王妃狙いで捕まえにくる。」
私が王妃なんて、冗談じゃないです…。
「そんなこと絶対させない。」
「俺達ももちろんだが、ケイも最大の注意をして行くんだよ。」
「はい。」
櫻井さんの胸の中にいて、ドキドキしっぱなしで返事をするのが精一杯。
でも、不思議とほっとするの。
「lagoで逢おう。」
出発準備をするため、部屋に戻ると、今度は隼人に抱き寄せられ、長い時間唇が重なり合う…。
「…隼人?」
何となく原因はわかる。
「ケイは俺だけのものだ…。誰にも渡さない。」
抱きしめる力が強くなる。
多くは語らなくても、隼人の思いを全身で感じる。
「大丈夫。私も、隼人だけよ。」
隼人の背中に腕を回し抱き着く。
しばらくの間、朝日が注ぎ込む窓際で、二人で抱きしめあっていた。
そして隼人は、
「このままベッドに行きたい所だけど、出かける準備しないとな。」
優しい笑顔で、軽く唇を重ね、そして、お互いこれから大変になる出発の準備を始めた。




