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星の降る街に  作者: 霧島
第5章
44/92

44 entrata/追跡

「2時間後に『entrata(エントラータ)』に列車が緊急停車するそうです。」


tenerezza(テネレッツァ)の王宮の一室で、話し声が聞こえる。


「entrataに緊急停車?」


「はい。明日までの予定で、列車の点検のためだそうです。」


「不自然だな。」


「…確かに。」


「何かあったのか?」


「今のところ、特に報告は来てませんが。」


「彼女も、その列車に乗ってるんだろ?」


「はい。」


「entrataか…。」


「とりあえず、entrataでの人数を増やして、引き続き様子を報告するようにしてくれ。」


「はい。承知いたしました。」

側近が、部屋を後にした。


窓際に立ち、空を見上げ呟く。


「鍵はもちろん欲しいが、それ以上に…。」

いつの頃からか…想いは募る。


「緊急停車か。気になるな。」


その時、入口をノックする音が。


「失礼します。」

側近が慌てて入ってきた。


「どうした?」


「entrataの駅で襲撃事件があったようです。」


「なにっ!?」


「彼女と地球から一緒に来てる男が撃たれました。」


「彼女は?」


「今のところ、無事のようです。」


「そうか…。」

ホッとするのもつかの間、


「相手は?」


「まだわかりません。今調べています。」


「早急に、報告してくれ。」


「承知しました。」



………………………………………………………………………………………………


「真、車はまだ1台か?」

櫻井さんが、宿泊先に向かって運転をする、真さんに尋ねる。


「いいえ、気になる車が数台…。」


「だよな。」


「櫻井さん、どういうことですか?」

二人の会話が気になり櫻井さんに声をかける。

相変わらず、私の右手には、温もりのある櫻井さんの左手が重なっている。


「病院からついてきたのは1台のはず、なんだが。」


「上からの指令なのか、人数が増えてきてるみたいなんだ。」


「そうなんですか?」

不安が増してくる…。


「entrataにかなりの人数を置いてあるようですね。」

真さんもミラーを見ながら答える。


「確かに、さっきから似たような雰囲気のが数台ついて来てるな。」

隼人も気がついていた様子。


「隼人も気がついてたか?」

「はい。」


気がついてなかったのは、私だけか…。


「ふぅ~。」

身体に溜まっている空気をおもむろに吐き出す。

それだけで、自分の中で、張り詰めた空気が減ったきがする。


「どうした急に?」

隼人が不思議そうに私に尋ねる。


「なんだか身体の中がいっぱいだったから吐き出しただけよ。」

この、状況の中にいると、身体が固まってくるきがしたから。

私、なにも力になれないし…。


「なんだよそれ。」

隼人もクスクス笑いながら、私の頭を撫でる。


「心配しなくても大丈夫だ。」

櫻井さんの繋いでいる左手が、私の右手を優しく握り返す。


「あいつらには、指一本触れさせない。」

隼人も頷く。


「今度手を出したら手加減しない。」

櫻井さんの気持ちが、手から伝わってくる。


彼は、本気だわ…。



緊張感の中、窓の外をみる。

desertoの町より、人も多く、賑やか。

こんな騒動に巻き込まれなかったら、もっとゆっくり街を散策できたんだよね。

まぁ、今更自分の決めたことを覆す訳にいかないし。

speranzaに着くまで、愚痴は言うまい……。


「ケイ?」


櫻井さんの声にびっくりする。

「あっ、ごめんなさい。」


「別に謝らなくてもいいんだよ。」

にっこり微笑む。櫻井さんの笑顔も、隼人に負けないくらい素敵なので、ドキドキする…。


「急に黙ってしまったから、どうしたのかと思ってね。」


「考え事してたから…。」


「ケイ、心配事ならちゃんと言えよ。一人で悩むな。」

隼人はいつも、私の欲しい言葉をかけてくれる。


「ありがと。大丈夫。」

笑顔で返す…。そう、わたしが凹んでいるわけにはいかない。


「もう少しで着くが、隼人を狙った仲間も、まだそこらへんにいるかもしれない。」


「1泊で、かたを付けようとしてる奴らだからな。」


「気をつけて降りるように。」


「はい。」

隼人と私は頷く。


数分後、宿泊先のHOTEL前に車は着いた。


櫻井さんが降りる際、ずっと繋いでいた私の手を、残念そうに離した。


隼人も降りるため、離したので、身体がフリーになる。


櫻井さんが降りた後、私も車からゆっくり降りた。


その時、


「ケイさんっっ。」

真さんの叫ぶ声。


数発の銃声音…。


気がついたら、地面に真さんに抱えられ倒れていた。


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