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星の降る街に  作者: 霧島
第5章
42/92

42 entrata/襲撃

窓から外を覗くと、進行方向にentrata(エントラータ)の街が見えてきた。

もうすぐ到着するはず。

これから何かが起こるんだろうか…。

思い違いで何もなければその方がいい。


隣に座る隼人も、装備含めて準備万端、厳しい表情で櫻井さんと電話で打ち合わせをしている。


今回の旅で、隼人の意外な過去を知って、驚いた。

オフィスで働いていた頃には、思いもつかなかったし。


私も何があるかわからないから、荷物は最低限で軽く、身を守るものも装着した。

鍵ももちろん、取られないように隠し持つ。


準備が終わった所で、ちょうど列車もentrataの駅のホームに滑りこんだ。


外を見ると、櫻井さんと数人の男性が待っている。


「隼人、ホームに櫻井さんがいるわ。」


「そうだろ。30分位前に着いたみたいだから。」


『entrataに到着です。ご迷惑おかけして申し訳ありません。現地時間、明日の20時に出発する予定です。よろしくお願いいたします。』

ジョニーさんの放送が入った。


「明日の20時か。」

隼人が時計を見ながら呟く。


「よし。ケイ行くよ。」

私を抱きしめ、そっと唇を重ねる。

私も抱き着き隼人の体温を感じる。


そして私の右手に、しっかり隼人の左手を重ねられた。


列車の出口付近でSPを確認し、周りを注意しながら外にでる。


「隼人、ケイ。」


「櫻井さん。」

ホームで待ってくれていた、櫻井さん。

desertoで合流した時とまた違う雰囲気のスーツを着こなしている。

こんな非常事態でも、やっぱりカッコイイなと思う。


「よかったよ、無事で。」


「顔見るまで、心配だったから。」

ふわっと櫻井さんの手が、私の頭を撫でる。


「この列車の出発時間は、現地時間で、明日の20時だそうです。」

隼人が伝えると、


「…約1日で決着つけるつもりかよ。よっぽど自信があるんだな。」

櫻井さんが唸る。


「とりあえず、移動しよう。ここにいても危険だ。」

…と、移動し始めた矢先、


「隼人危ないっ!!」

櫻井さんの声と同時に銃声の音がなり、隣の隼人が倒れ込む。


「はやとっっ。」

血が流れる肩を押さえ、顔を歪める隼人。

一瞬何がなんだかわからない。


「奴を追えっ。絶対逃がすな。」

櫻井さんの怒声が響く。数人のSPが、隼人を撃った奴を追う。


私はバックの中から、布を取り出し、隼人の右肩の止血をする。


「隼人、大丈夫?」


「少しかすっただけだ。ケイは何ともなかったか?」

自分より私を気遣う隼人。


「人のこと、心配してる場合じゃないでしょ。」


「隼人、もう少し逃げるの遅かったら、心臓に打ち込まれてアウトだったぞ。」

恐ろしいことをさらっという櫻井さん。


「ありがとうございます。助かりました。良く気がつきましたね。」


「隼人の見えない角度の所で光ったからな。」

さすが、経験者は違うな…と隼人は思う。


「早く傷の処置をしないと。隼人歩けるか?」


「歩くのは、大丈夫です。」

ゆっくり起き上がり、私も隼人の左側で身体を支える。


駅のホームから出口へ抜けると、車が待っていた。


「真、奴ら捕まえたか?」

櫻井さんが、車の横に立つ男性に声をかける。


あれ?この男性(ひと)同じ列車に乗ってなかった?

降りる際、見かけた気がする…。


「はい、先程捕まえました。」


「そうか、後で詳細を聞く。」


「先に、病院まで行ってくれ。」


「承知しました。」


車の後ろの座席に、櫻井さんと私と隼人が乗り、運転席には、先程、真さんと言われていた男性。

今は、とりあえず何も聞くまい。

隼人の傷の治療が先。


「隼人痛む?」

私の左側に座っているので、右肩の血が滲んでる布が目に入る。


「このぐらいの傷なら大丈夫だよ。」

左手で、私の頬を撫でる。


「それにしても、ケイ、止血の布、よく巻けたな。普通は知らないはずだけど。」

櫻井さんが右隣で尋ねる。


「母が看護士なので、小さな頃から知っていたというか…。」


「転んだ時とか、自分で処理出来るように、母が教えてくれたんです。」


「なるほど。二人とも身を守る方法を、親がちゃんと教えてあったんだね。」

櫻井さんが感心する。


「俺も、初めて知ったよ。すごいな。」

隼人も答える。


「そんなたいしたことないわ。ほんの応急処置程度だから。」


「知識があるのとないのとでは、全然違うよ。心強いな。」

櫻井さんの言葉に、隼人も頷く。


話をしてる間に、病院に着いた。


処置室に隼人が入ると、待合室には、櫻井さんと私だけになった…。


「さっき、最初、狙われたのがケイだと思ったんだけど、角度が違ったからすぐ隼人だと判ったんだ。」


「隼人には悪いが、ケイが無事でよかったよ。」

と櫻井さんが言ったあと、私の頬に、キスをした。

隼人と違う柔らかな感触にびっくりする。


「隼人もケイのこと愛してるんだと思うが、俺もケイのこと忘れられないくらい愛してるから…。」


「櫻井さん…。」


「たぶん、隼人も俺の気持ち気がついてると思うよ。」

と、苦笑いする。


「わかっていたと思うが、車運転してきた真は、俺の側近なんだよ。」

やっばり…そうか。


「彼にも俺の気持ちばれていたから。」


「えっ?」


「俺の気持ち、珍しく外に洩れてるらしい。」


「今までの俺には有り得なかったこと…。」


「立場上、気持ちをコントロールしないとやってられないところだったし。」


「それを知ってる彼は、今回の俺の気持ちの洩れ方には驚いてるよ。」


「ケイ、ごめんな。困らせて。でも、これは俺の気持ち。」


「隼人もそうだと思うが、俺も全力でケイを守るよ。安心して。」


どう答えていいのか、わからなかったので、無言で頷いた。


しばらくすると隼人が、処置室から出てきた。


「大丈夫?」


隼人はにっこり微笑みながら、

「たいしたことない。ケイが無事ならそれでいいよ。」


「そんないいことなんてないわ。」


「もし、ケイが今回撃たれていたら、やったやつ今頃生かしておかなかったね。」


「隼人の言う通り。文句なしだね。」

櫻井さんも頷く。


「さてと、いつでもここにいるわけにはいかないから。予約してあるHOTELに行こうか。」


「はい。」


3人で、外で待つ真さんの所へと向かうため歩きだす。




さらに近くに、狙う奴がひっそりといることを、3人はまだ気がついていない・・。


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