40 lagoへ・・
「行ったか…。」
列車に二人を乗せるため、Hotelから車で駅まで送り届けた。
歩いていく、二人の後ろ姿を見ながら、櫻井が小さな溜め息をつく。
本当なら、一緒に行きたい所だったが…。
実際、lagoに着くまでは、何がおこるかわからない。
自分が近くにいない時に、ケイに何かあったら…。
きっと何を置いても駆け付けるだろう。
彼女のことを思うだけで、たまらなく心が震える。
ケイとの別れ際、一瞬抱きしめたい衝動にかられたが、なんとか押さえ頭だけ触れた……。
「仕方がない、今回だけは真に托すか…。」
車を出発させ、飛行場へ向かった。
………………………………………………………………………………………………
突然、ポケットにある携帯電話が鳴る。
「櫻井さんですか?隼人です。」
「どうした?何かあったのか?」
まだ乗ったばかりなのに、もう奴ら動き出したのか…?。
二人を列車に乗せたことを後悔する。
「いや、今のところ落ち着いていますが、櫻井さんに伝えたいことがあって。」
「伝えたいこと?」
「はい。実はさっき送って頂いた車の中で、親父にメールをしました。」
「親父さんに?」
どういうことだろう…。
「俺が、先日の列車で襲われた事件と、lagoに向かっていることを。」
「そうか。で、親父さんは?」
「怪しい動きがあるのは掴み始めていたようですが、俺が襲われたのを聞いてびっくりしていました。」
「そりゃそうだよな。」
「でも隼人、襲われたの今回始めてじゃないだろ?」
「はい…。子供の頃からそれらしきことは、よくありましたが、櫻井さんよくご存知で?」
「親父さんの仕事がわかった時に、たぶんそうじゃないかと思ったんだよな。」
「さすがですね…。」
「あと、先日の空港での俺のフォローする姿見てたら、動きも違ったし。」
「普通、素人が緊急時、あそこまでの動きはできない。」
「場数踏んでると確信したよ。」
「櫻井さん…。」
「隼人、親父さんはこれからどうするって?」
「当てがあるから、すぐ動き出すと言ってましたし、また、連絡するとも。」
「そうか。じゃあ隼人の関連は、親父さんが絡んでくるなら、とりあえず様子見だな。」
「ただ。」
「ただ?」
「今、列車に乗ってる連中の動きがわからないし、気をつけたほうがいい。」
「そうですね。」
「あと、ケイは特にな。」
「相手は、寝込み襲ってまで、連れていく奴らだ。」
「一回失敗してるからな。今度はどんな手を使ってくるかわからない。」
「隼人、絶対ケイから離れるなよ。」
「わかってます。」
言われなくても、そのつもりだ。
「lagoまでは、いくつかの星がある。」
「?」
櫻井さんの言っている意味がわからない。
「旅の最初の説明の時、言ったろ?『何もなくてsperanzaまで1ヶ月』だと。」
「はい。」
「列車も何かあれば、停まる予定のない途中の駅でも停まることがある、ということになる。」
「………そういうことか。」順調に着く保証がない旅だった。
「何かあれば、1ヶ月以上になる…。」
「その何か、の騒動が二人が絡まないようにしないと。」
「そうですね。」
「とりあえず、ケイが持ってるカギはGPSが生きてる。」
「カギが外れない限り、いる場所がわかる。」
「変わったことがあったら、すぐ連絡よこしてくれ。」
「俺は、飛行船で移動してるから、もし停車駅が変わってもすぐ駆け付けるから。」
「それと、隼人」
「はい。」
「親父さんとは連絡は頻繁にとれよ。」
少し間を置いて、櫻井は、「心の蟠り(わだかまり)は、あとで解決するはずだから。」
一瞬、言葉を失う。
「……、櫻井さんにはかなわないな。」
「隼人、ケイを頼むよ。また連絡する。」
「わかりました。」
………………………………………………………………………………………………
二人の会話を聞いていると、何かわからないけれど、非常に緊張感があった。
「隼人?」
櫻井さんとの話が終わった隼人に声をかける。
「どうした?」
いつもと変わらない笑顔で振り向く。
「話…いろんなこと話してたみたいだけど。」
私を抱き寄せる。
「ケイは何も心配することない。」
「櫻井さんも移動し始めたし、随時連絡すればいいから。」
「ケイは俺の傍から離れなければいい。」
「うん…。」
軽い口づけをし、二人で外を見つめる。
「speranzaか…。」
まだ見ぬ星に向かっている。
この先の不安と期待が、私たちを包み込む。
一人でこなくてよかったとつくづく思う。
隣にいる隼人に抱き着く…。
彼の温もりが私を支えてくれる。
そう思いながら、まったりしていると、廊下が騒がしい。
部屋の窓から廊下をみると、車掌のジョニーさんが、何やら慌てて走って行った。
騒がしい…。
「隼人?」
気がついたら、隼人が身体に色々と装着し始めていた。
「何が起こるかわからないからな。」
緊張感が走る…。




