表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の降る街に  作者: 霧島
第5章
39/92

39 隼人の生い立ち

プラットホームに停車しているmidnightblueの列車に戻ると、車掌のジョニーさんを始め、スタッフが笑顔で、出迎えてくれた。



「戻ってこれたわね。」


「まぁ、これからどうなるかわからないけどな…。」

車から降りて、ここまで来る間も、あまり話すことはなかった隼人。


「とりあえず、desertoからは出られる。」

隼人は、ソファーに足を伸ばし、座りながら、私を前向きで自分の膝の上に座らせ、腕を私の腰へ回してきた。


lago(ラーゴ)には、地球時間で4日かかるって、さっきジョニーさん言ってたわ。」

後ろにいる隼人に声をかける。


「そうみたいだな…。」

と言ったまま、考え込むように、そして私を後ろから抱きしめた。


ジョニーさんの出発のアナウンスのあと、列車は静かに動き始めた。


動き出す景色を、言葉なく眼で追う…。



「ケイ…。」

しばらくすると、後ろの隼人の声がする。


「ん、なに?」

隼人の抱きしめる腕の力が緩むと、今度は私の身体を横に向ける。


「ケイ、大丈夫か?」

心配そうな顔をして、両手で優しく私の頬を包む。


「私は大丈夫よ。隼人こそ大丈夫?」

「何か考え込んでいたみたいだったから…。」


「ごめん。。」


「lagoに向かうまでのことはもちろんのこと、先のことを考えていたんだ。」


「さっき、親父にも連絡した…。」


そういえば、車内で何処かへメールしてたわね。


「公はまずいが、親父の関係者に、俺が追われてることも、lagoに向かっていることも、伝えた。」


「何か返答はあったの?」


「怪しい動きがあるのは、掴み始めてたが、俺が追われてるのは知らなかったみたいだな。驚いてたよ。」


「そうなの…。」


「あと親父に、ケイをしっかり守ってやれって、言われた。」


「えっ?」


「言われなくてもそのつもりだけどな。」

頬にかかる手が顎に、そのまま二人の唇が深く重なる…。


「俺を追うやつらの方は、親父の関係者がすでに動き出したみたいだし。」


「櫻井さんにも、あとで連絡しないとな。」


「そうね。」


「これからは、度々親父からも連絡が入るだろう…。」

と言いながら、浮かない顔をしている。

隼人にしかわからない、何か複雑な思いがあるんだろうな。

だから、あえて今は何も聞かない…。


「でも隼人、よかった。お父さんが動き出してくれるなら。」

これは本当の気持ち。お父さんが動いてくれれば、きっと解決も早い。


「俺は良くない。」

私を引き寄せ抱きしめる。


「隼人…。」


「俺より、ケイの方がこれから本格的に周りが動き出すはず。」


「そう…、私はまだこれからだものね。気が重いわ。後戻りはできないし。」

前に進むしかない選択肢も辛い…。


「誰が一緒にいるんだ?」

隼人の大きな手が私の頭を撫でる。

顔を上げると、隼人がにっこり微笑む。


「大丈夫だ。俺が傍にいる。」


「いざという時は、本性を出す。」


「ん?本性って何?」


え?何か隠してた?隼人、怪しいものでも持ってるのかしら…。


「お前、今何かとんでもないこと考えてただろ?」


「ううん…何でもないわ。」


なんでわかったの?


「ケイの顔みればわかる。」


さすが…。


「一日でも早くsperanzaに行って、全部解決してケイと結婚するまで、俺も倒れるわけにいかないし。」


「でもこんな所で、力が役に立つようになるなんて思わなかったな。。」


「ちから?」


「まぁ、護身術のもう少し専門的みたいなものだな。小さい頃から、教わってきた。」


「もちろん、銃も使える。」


「親父の仕事が特殊だろ?」


「小さい頃から、狙われるのは日常茶飯事だったんだよ。」


「え?!そうだったの?」

初めて聞く話でびっくりする。


「うん。襲われても大丈夫なように、訓練受けてる。」


「…」

突然なことに、言葉がでない。


「desertoで寝込み襲われた時は、油断してた。本当なら二人とも倒せた相手だ。」


「あの時は、ケイに怖い思いさせて悪かった。」

隼人の抱きしめる力が、強くなる。


「ううん。隼人のせいじゃないわ。」


「事情があって、あえて親父の仕事とは関わりたくないから、全く関係ない商社の仕事についたんだけど。」


「でもまぁ、俺の選択は間違っていなかったな。仕事は別として。」


「ん?」


「こうやって、ケイに出逢えたんだからな。」


「でも、出逢わなかったら、こんなトラブルにも巻き込まれなかったでしょ?」

出逢いには偶然はないというけれど…。


「ケイは俺に逢えて嬉しくないのか?」

真剣な眼差しで、私を見る。


「嬉しいにきまってる…でしょ。」

隼人の頬にキスをする。


「それを聞いて安心した。」今までにない、柔らかい笑顔の隼人。


「ただ、今は戸惑いがあるの。」


「自分の周りで、それも知らない所で、たくさんの人が動いているから…。」


「そうだよな。」

優しく私の頭を撫でながら、答える。


「大丈夫、俺の傍にいればいい。」


笑顔で頷く…。


「私の命は、隼人に預けるから。」


「…一生、預かるから安心しろ。」


「うん…。」


「さて、寝る前に櫻井さんに連絡するか。」


「気が乗らないけどな。」

隼人は、苦笑いしながら、電話を手にとった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ