38 嫉妬
夕食を終え、部屋に戻って、お風呂も入り、早々にふかふかのベッドに潜る。
心身の疲労が昨夜の騒動で、もう限界に達していた。
お風呂上がりの、隼人も隣に潜ってきた。
鼻を擽る、彼自身の香りが私は大好き…。
「今夜、また何かあるのかしら?」
先程の話を思い出す。
ばたばたするのは、もう勘弁して欲しい。
「どうだろうな。」
「気がついたら、話が更に大きくなってきてるし。先が見えない。」
「王妃ってなに?って、話聞いてびっくりしたわ。どうしたらそんな話がでるのか。」
「俺も…。」
と、言いながら、私を引き寄せ抱きしめる。
「何が王妃だ。冗談じゃない。絶対誰にもケイは渡さない。」
「あと、櫻井さんにも…。」
「櫻井さん…?」
意外な名前が出てきてびっくりする。
「櫻井さんも、何だかケイのこと気になってるみたいだから。」
抱きしめる腕に力が入る。
「それはないと思うわ。」
「櫻井さんとは、立場が違いすぎるし。鍵を預けてるから心配だけなんじゃない?」
そう、櫻井さんは、私が近寄れるような立場の人ではない…と今回の騒動の中、確信した。
「いや…、そればっかりじゃないな。」
隼人の熱い視線を感じる。
「何となくわかるんだよ、話を聞いていて。ケイに対する、櫻井さんの思いがさ。男の勘ってやつ?」
「だから余計に…心配になる。」
抱きしめる力が緩んだと思ったら、隼人の妖艶な雰囲気で、見つめられる…。
「俺の…だから。」
そう言う間に、隼人の唇と重なりあう。
「ケイ、愛してるよ…。」
「隼人、私も。愛してるわ。」
隼人の体温が、私の身体をそっと包む…。
「私を離さないで。」
「もちろんだ…。」
「姫は王子が必ず守ると決まってるからな。」
額にふんわり体温を感じたと思っていたら、隼人の熱い息が徐々に下がってきた…。
「はやと…。」
この先不安がいっぱい。
でも今は…この快楽の中に、心も身体も委ねることにした。
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櫻井は、身体を休ませるためベッドに横になっても、気が張っていて、結局明け方まで
眠ることができなかった。
「戦場にいるときと一緒だな、これは…。」
小さなため息をつく。
SPからの細かい報告を聞きながら、これからの動きを頭のなかで、組み立てる。
「隼人関連の奴らをどうするかな。」
近くに来ているのは、わかっている。
昨日の騒動も、もちろん確認してるだろう。
そして、このまま列車に、たぶん乗ってくる…。
「俺も、一緒に列車乗っていく……訳にもいかないな。」
心配で仕方がないし、離れたくないが、下手に自分が絡んでいると、ケイまでも危ない。
それは一番避けたい。
「とりあえず、二人を列車に乗せないと前に進まないか。」
しばらく考えたあと、電話をし、一人の男性が部屋に入ってきた。
「朝、隼人たちを列車に乗せるために送って行く。俺は一緒に乗って行くわけには
いかないから、代わりに近くにいてやってくれ。列車の予約はとってある。」
「わたくしで良いのですか?」
「今回は特別だ。本当は俺が一緒に行きたいのだが…。」
「そうでしょう。」
男はにっこり微笑みながら答える。
「?」
櫻井は男に視線を送る。
「ご主人さまの気持ちは、いつもと違い、珍しく周りに漏れてます。」
「はぁ……、やっぱりか。」
これじゃあえて言わなくても、隼人もきっとわかってるな。
「真、ケイと隼人を頼んだ。連絡は随時。」
「承知いたしました。」
木理谷 真は、櫻井の部下ということになっているが、それは表面上。
普段は影となり日なたとなり、身近にいて櫻井を支えている。
付き合いも長い。
「まいったな。」
真が部屋を出ていったあと、一人呟く。
「さて、動き出すか。相手が動き出す前に。」
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「おはようございます。」
櫻井が1階に降りて行くと、隼人とケイが周りにSPを従えて待っていた。
「おはよう。二人とも早くないか?」
「昨夜は、ハラハラしながら眠って、朝も目が覚めるのが早かったんです。」
やっぱり、前夜のことがあって、眠りが浅かったから二人とも早く目が覚めてしまっていた。
「そうか。」
「さて、出発しよう。俺は駅までだから。後は二人で行くように。」
「隼人の関係者が乗ってくると思うから気をつけて。」
隼人を見ると、厳しい顔つきで、無言で頷いた。
入り口に横付けされた車に乗りこみ駅に向かう。
駅には、数分で着き、降りる際、櫻井さんは、私の頭を撫でながら、
「次の星で会おう。くれぐれも隼人から離れないように。連絡は随時入れて。」
「わかりました。」
笑顔で別れ、隼人にいつものように手を繋がれ、列車の待つ、プラットホームに向かった。




