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星の降る街に  作者: 霧島
第4章
36/92

36 苦悩

「まいったな…。」


櫻井も、部屋で一人になり、無意識につぶやく…。


隼人たちとdesertoで合流してから、更にケイを思う気持ちが強くなっている事実に、戸惑っている自分自身がいる。


「このままだと、年甲斐もなく、隼人に八つ当たりしそうだ…。」


歳を重ね人並みの恋愛もしてきた。


結婚も、今までの自分がいた特殊な立場では、考えられなかったのもある、が、その前に、結婚しようと思う女性との出逢いがなかったのもある。


でも今は…。


身近に、強く思い惹かれる女性(ひと)がいる。


近くにいても、今は手が届かない。それでも…。


Hotelから空港に奴らを追っている際、平静を保っているように、周りは見えたかもしれないが、心の中は、厳しい戦闘の時でさえも思ったことがないくらい怒りに溢れていた。


奴らを見つけた瞬間、とどめを打ちたい気持ちを精一杯の理性で押さえ、足だけ狙った。


そして、震えているケイを抱きしめてキスをした時、心から愛しくて、離したくない…と思った。


こんな気持ちになったのは初めてのこと…。


でも隼人には、ケイへの思いを知られる訳にはいかない。


明日には次の星lago(ラーゴ)に向けて出発しないといけないのに。


その前に、今夜を無事すごせるかどうかの問題なのに。


「気持ちをいれかえないとな。」

と、声には出してみても、力がない…。


ふと、外の景色が目に入る。

desertoは名前の通り、星全体が砂漠地帯になっていて、特に、夕方は光の加減なのか、砂漠が輝いて見え美しい。


Hotelの最上階から見下ろすと、街は人も多く、賑やかな様子。


「この星が、こんなに賑やかな街になるなんて、思ってもみなかった。」


「たしか、データによると、ここの開発は隼人の親父さん、関わってたよな。」面倒なことを思い出した気がする…。



「よし。これからの打ち合わせをするか。」

頭を一降りし、隣の部屋に続く入口に足を向けた。



………………………………………………………………

隼人とケイも、一通り部屋の中巡りをし、窓際に腰を下ろして、話をしていた。

「明日、lagoに出発しないといけない日、になってるよね。」


「列車に乗れるのかな。」

隣に座る隼人を見つめると、体温が唇に重なる…。


「隼人…。」


「何があっても、大丈夫だ。」


「たぶん、簡単にはsperanzaにはたどり着けないだろうけどな。」

ふわっと身体が温かくなる。隼人が抱きしめてくれる。


「どうなっても、俺らは一緒だろ?」

隼人の腕の中で、頷く。


「あとは、櫻井さんとの打ち合わせ次第でどうなるか…だよな。」


「今夜、無事に越えられたら、明日の列車に乗る。」

「ただ。」

隼人が、言いにくそうにいう。


「ただ?どうしたの?」


「狙われることを、覚悟しないとな。」


「あ…そうだった。」

隼人の関係者が列車に乗っていた。


「前に親父に聞いたことがあって、たしか、この星の開発に親父が関わってる。」


「え?そうなの。」

初めて聞くので、びっくりする。


「そう。だからこそ、此処にくる列車で狙われたのかもしれない。」

「関係者はこの星のことよく知ってるからね。」


「だから櫻井さんも、さっき気をつけろって言ったんだ。」


「櫻井さんは、親父が関わってるの調べてあるだろうから知ってるんだろ。」


「そっか…。」


「ん?どうした?」

隼人の大きな手が、私の頭を撫でる。


「隼人、ごめんね…。」

事実がわかってくるほど、申し訳なく思う。

堪らなくなって、胸に顔を埋める。


「ケイ。」

隼人の抱きしめる力が強くなる。


「これは避けては通れないことなんだ。ケイの責任じゃない。」


「地球にいても、ありえることだからね。」

顔を上げると、にっこり微笑む隼人。


「俺が、背負わなければいけない責任…だな。」


「それに、絶対に守らなきゃいけないものが増えたから余計にがんばらないとな。」

と、言いながら私抱きしめ、愛を確認するかのようお互い唇を激しく重ねる…。


「そろそろ、櫻井さんの所へ打ち合わせにいくか。」

「襲撃にそなえて…。」


desertoでの、二日目の夜を迎えようとしている。


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