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星の降る街に  作者: 霧島
第4章
31/92

31 過去の女

HOTELを出てきてから、少し歩いてきた所に、お店があった。


スタッフに案内され、テーブルに着き、慣れた手つきで櫻井さんが注文し、話をしていた時、

近づいてくる女性が一人。

思わず身構えると…。


「あら、隼人じゃない。ここで逢えるなんて。嬉しい~。」


「えっ?」

隣の隼人を見ると、びっくりしていた…。


「華、なんでここにいるんだ?」

「私?旅行中なの。この星で乗り換えだから。」

「それにしても、久しぶり~。」


二人で話をしていて、私は視界に入っていない…まぁいっか。。なんて思っていたら視線を感じて、正面をみると、にっこりと微笑む櫻井さんと目があった。


「席外そうか?」

頷くと、櫻井さんに手招きされたほうへ移動した…。


「面白くないでしょ?他の女性と話をしてて。」

頭に体温を感じて、顔を上げると、櫻井さんが私の頭を優しく撫でていた。


「面白くないですね…たしかに。たぶん彼女だった人でしょう。」

「彼、モテるし今までも彼女がいても不思議じゃないから…。」

と答えると、


「この先、大丈夫かい?」


「同じような場面、また出会うかもしれない。それでも気持ちは変わらない?」

「僕に、気持ちを移してくれてもいいけどな…。」

思いがけない言葉に、どう答えていいのかわからない。


「櫻井さん、またそんな冗談を。私、困っちゃいます。」


「うぅ~ん、やっぱり冗談に取られるか。。」


「当たり前じゃないですか。櫻井さんなら、周りに素敵な女性がたくさんいるでしょう?」


「たぶんいるんだろうけど…。」

私を見つめる櫻井さんの真剣な視線から離れられない。


「ケイさんほどの女性はいないかな…。」


「櫻井さん、私…。」


「あ、隼人くんがこっちに気がついた。」


「すまない。惑わすようなこと言って。でも気持ちは嘘じゃないから…。」


「必ず、speranzaに行こう。ケイさんを守るために、僕もきたんだから。」

ふわっと微笑んだ櫻井さんに、戸惑いを隠せなかった。



「ケイ。」

隼人がこちらに走ってきて、私を力いっぱい抱きしめる…。


「話は終わったの?彼女と。」


「ああ。」


「気がついたらケイがいなくて焦った。」


「話が盛り上がってたみたいだから、席外してたのよ。」


「元彼女さん?」

たぶんそうだと思ったけれど、聞いてみる。


「もうずっと前のな。」


「そっか…。」


「ケイ?また良くないこと考えてるだろ。」


「そんなことないわ。」


「部屋に帰ったら、ちゃんと説明するよ。気になったんだろ?」

黙って頷く…。


「やっぱり。そうだと思ったよ。」

やわやわと私の頭を触る。


「櫻井さん、すいません。気を使わせてしまって。」


「大丈夫。ケイさんが心配そうな顔してたから席を外しただけだから。」

「ねっ。」

私の顔をみて微笑む。


「さ、食事に行こう。何のためにきたのかわからない。」


「追ってる相手方は嬉しいだろうけどね。」

途端に緊張感が走る。


その後、食事を終えてHOTELに帰る道中、櫻井さんが前を向いたまま、話をする。

「SPは今まで以上に数はいるが、100%の安全保障はない。」


「相手がまずどんな手を使ってくるかわからないし。」


ふいに、私の顔を見つめる櫻井さん…。


「ケイさんか隼人くん、どちらが目的なのかわからないし。」


「例えば、さっきの隼人くんの元彼女?のように、知り合いを接触させる場合も考えられる。」


すべて疑っていけってことか…。

「はぁ~~。」

無意識にため息をつく。


「俺の傍にいればいい。」

繋いでいる隼人の左手が強くなる。


「うん。」

私もしっかり握り返す。


HOTELに戻り、部屋に入る前、櫻井さんが


「SPは周辺にいるが、何かあったら大声だすか、部屋の壁を叩け。すぐ駆け付けるから。」


「部屋の鍵はあってないようなものだから。気をつけて。」


「わかりました。」



櫻井さんと別れて、部屋に戻ると、私の後ろから隼人が抱きしめる。


「さっき、ケイがいなくて焦ったよ…。」


「だって二人で話していて、私なんて視界に入ってなかったじゃない?」

少し拗ねてみる。


「ごめんな。」

私を抱きしめる力を緩めて、隼人と向き合う。


「あんな所で逢うなんて思わないからびっくりしてさ。」


「ケイのことも聞いてきたから、俺の婚約者で、地球に戻り次第結婚するんだって言ったら、びっくりしてたよ。」


「あいつは、学生時代に付き合ってたんだ。卒業と同時に別れたけどな。」


「そうなんだ。」


「入社して仕事を始めたらお互いに自然と離れた。あいつすぐ彼氏が出来たって聞いたし。」


「俺も、すぐ気になる子ができたし…。」


「ん?隼人、気になる子いたの?」


「そう、同期にね。」

顔を上げると同時に唇が重なる…。


「長かったよ。ここまでになるのが。」


「私…だったの?」


「そうだよ。入社してからずっと気になっててさ。」


「同期だから、下手に言って断られたら、仕事にも影響するし。」


「かと言って、ケイに手をだすやつは、許せなかった…。」


「日々葛藤してたんだよ。俺も。」


「そうは見えなかったけどな。モテモテの隼人くんはいつも周りに男女問わず人がたくさんいて。」


「私が入るスキなんてなかったし…。」


「表面的にはな。一応営業だったし。」


「でも、ケイに彼氏が出来た時の落ち込みは凄かったぞ。食べ物が喉に通らなくて、痩せたし…。」


「そうなの?」

「でも考えたら容赦ない厳しさが増したのは、あの辺からか…。」


「たぶん、そうだな。」


「今はこうやって、抱きしめることが出来る。」


「そういえば、さっき櫻井さんに何か言われた?」


「別に、なにもないけど。慰められただけ。」


「そっか…。ならいい。」


「どうしたの?隼人」


「二人でいたから気になってさ…。」


「もしかして、妬いてた?」


「そんなことない…なんて言えない。」

突然、私をベッドに押し倒し、激しいキスをしてくる。


「なんだか、いい雰囲気だったからさ。。」


「隼人、私のこと信じられない?」

彼の目を見つめる。


「信じてるよ…。」


「でも、俺以外の男には、触れさせたくないんだ。」


「隼人…愛してる。」

手を伸ばして抱き着く。


「俺も…、愛してるよ。」

ぎゅっと私を抱きしめてくれる。

 

長い夜になるのか、どうなのか・・。

二人は、今夜も、これからも、離れることはない。

今、このとき、二人の命は狙われているけれど、思いは離れることはない・・。

ずっと、一緒で・・。




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