25 それぞれの思惑
結局、ホテルにチェックインしたあと、どこにも出られず朝になり、次の停車星『deserto』に向かうようになってしまった。
「櫻井さんには、絶対外に出るなってメール貰ったからなぁ。下手に外に出てまた騒動になると困るし。」
「櫻井さんからの内容ってそれだけ?」
「そうだよ。まだ外にいるかもしれないからってさ。」
「ううぅ・・・ん。厄介だなぁ・・・。」
窓から見える街の様子を見ながらぼやく。
しかし実は、それ以外にもあったが、ケイに心配をかけたくなかったので、隼人はあえて言わなかった。
櫻井さんからのメールには、『speranza[スペランツァ]』の星以外にも、王政でやっている星があって、最近、極秘に水面下で探し人をしている国がある・・という噂を聞いたと。
対象は女性らしいが、どんな条件なのか解らない。女性・・と限られているので、一応、ケイも気を付けて欲しいと、櫻井さんからの話だった。
そうじゃなくても、不安定な環境なのに、これ以上ケイには余分な心配かけさせたくない。
列車の出発は、20時と車掌さん言っていたけれど、albaの現地時間だと、もう数時間早くなる。
地球だと、時差計算が出来たけれど、宇宙にでるとちょっと勝手が違うらしい。
櫻井さんに時間を確認できたので、シャワーを浴びて、朝とお昼をかねて食事をして、ホテルをチェックアウトして駅に向かう。
「隼人、駅は行っても大丈夫なのかな?」
いつもの通り、隼人の大きな左手に、しっかり右手を繋がれて歩きながら尋ねる。
「今のところは・・だな。」
「あの3人組がalbaで再度動くか、他に移動してから動くか、読めないから。」
「列車には、早めに着いたほうが、SPも多くなるし、相手の動きは見えやすい。」
「ケイ、SPが今も近くにいるのがわかるだろ?」
「うん。」
「居るからって油断はできないけどな。」
私を繋いでいる手が、さらに強く握られる。
「とりあえず、albaから離れよう。」
周りを気にしながら、二人で足早に駅に向かう。
「誰が何を狙っているんだか…、さっぱりわからん。」
櫻井は、隼人との電話の後、事務所のソファーに座り、資料の山の前でタバコをふかしながら唸る。
「albaから入ってくる情報だけじゃ足りないしさっぱりわからない。」
「相手の動きが分からないぶん、これから二人とも大変だろうな…。」
「隼人君の関係も陰で動き始めているし…。実はこっちが予想外だったんだよな・・。」
パソコンの画面に出ている、移動する赤い点滅を眺める。
albaに居る、ケイの胸元にある鍵に埋めてあるGPSが二人の位置を教える。
「とりあえず、今は様子見だな。」
といいながら、携帯電話を手にとる。
「あっちにも探りを入れてみるか…。」
いろいろなしがらみが、隼人とケイを騒動に巻き込んで行く…。
櫻井も、自分も二人を追うべきかどうか本気で悩み始めた。




