23 もう一人の・・。
お昼時の街はとても賑やかい。どこの街でも、これは変わらないらしい。
隼人と私は、正直腹ぺこ状態で、今なら何でも美味しく食べられる。
「何があるのかしら。」
二人でお店を見ながら歩く。
少し歩くと、かわいらしいお店が目に留まった。
カフェのようで、お店の外では、人々が思い思いの時間を、食事やおしゃべりをしながらすごしている。
「ここにしようか。」
私も頷くと、周りを少し見渡して、お店に入った。
「SPさん、近くにいる?」
顔を前に向いたまま、隼人に尋ねる。
「二人、近くにいるから大丈夫。」
と言いながらも、私の繋いだ右手はしっかり握っていて、離さない。
「離れるなよ。」
「わかってる。」
席に着いてホッとしたら、とたんにお腹がすいたのを思い出した。
「緊張してると、お腹すいていること、忘れるのに。」
「忘れるだけで、お腹はすいてるだろ。根本的な所が解決してないんじゃないか?」
「たしかにそうよね…。」
わけのわからないやりとりをしていると、食事も運ばれ、話も中断、食べることに集中する。
食後に、隼人はコーヒーを、私はミルクティーを、飲みはじめた頃、
「ここまできて、ミルクティー飲めると思わなかったわ。嬉しい。」
「地球出るとき、飲みおさめ、してきたものな。」
「そうそう。あの時すっごく気分が悪くて、ケーキとミルクティーと………。」
「ケイ、どうした?」
急に、黙った私に声をかける隼人。
「隼人・・、今、外通った人、駅で私にぶつかった男の人よ。」
「ほんとかっ。」
「ほら…。」
部屋の窓の陰から、外を覗くと、歩いている3人組の中の一人、あの時ぶつかって逃げ出したやつ。
「なんで3人…。」
きょろきょろと、何気なくしてるが、誰かを探している雰囲気がわかる。
「ケイ、お前を探しているのかもしれない。」
「ほんとっ?」
「今回関連してるなら…だ。」
隼人が、携帯電話で電話をかけはじめた。
すぐ、相手がでる。
「櫻井さん?隼人です。すいません急に連絡して。今、いいですか?」
「もちろんいいけど、どうした?」
「今、昼過ぎでお店で昼ご飯食べてる所ですが、前に駅でケイにぶつかった男がいるっていいましたが、その男が、albaにいます。それも、二人プラスで3人。歩いている姿は誰かを探している様子です。」
「お店の位置はGPSでわかる。男の格好がどんなか、教えてくれる?」
隼人と櫻井さんとで、電話で打ち合わせをしている。
私は、外の彼らから目を離せない。見つからないように、視線を送る。
「よろしくお願いします。」
隼人が、櫻井さんとの話を終えた。
「櫻井さん、なんだって?」
厳しい表情をしている隼人に尋ねる。
「すぐ、albaにいるSPさんに連絡して、つけさせるって。」
「とりあえず、SPさんが、彼らの存在を確認できるまで、動かないほうが良いって。」
「確認が取れたら連絡がはいるから。」
ため息混じりで隼人が言う。
「こんなはずじゃなかったんだけどなぁ・・・ケイ。」
いつの間にか、私の横に座っている。
「大丈夫か?」
私の頭を撫でながら、心配そうな顔で見つめる・・・。
「大丈夫よ。それに、私には隼人がいるじゃない。」
にっこり微笑んで返すと、隼人の指先が私の顎に触ったと同時に、優しく唇が重なった・・。
彼の体温は、いつも私の心を溶かしてしまうほど熱い。
「ケイに触れていいのは俺だけ・・愛してるよ。」
「私も・・愛してる」
この先、どうなっていくのかわからないけれど、心から信じられる彼が傍にいる幸せを
感じながら、自分が選んだ道を進む・・・。




