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星の降る街に  作者: 霧島
第3章
21/92

21 カルチャーショック

alba到着、2日目の朝。


やわらかな身体をつつむ温かさの中、目が覚める。

相変わらず、私を抱えて寝る隼人。まだぐっすり眠っている。


「結局寝かせてくれたの、朝方だもんね…。」


呟きながら、しっかりと私に絡んでいる隼人の腕を、そうっと外してベッドから起き上がり、外も明るいので、カーテンを開ける。


2階の部屋から見える景色。


高層ビル街は流石にないけれど、商店などびっしり建てられている。


眼下には、たくさんの人々が忙しそうに行き来していて、通勤客らしき姿も見える。


地球にいるときと変わらない朝の姿。


ふと、目を遠くにむけると、漆黒の宇宙が見える。


どちらもこの星の顔、なんだろうけど、違和感があるのは私だけだろうか。


albaは、地球時間に居住は合わせてあるので、生活するには不自由はない。


陽射しもどき…もあって、植物も成長し、光合成して酸素もだすし。



そうか…、完全に作られた世界だから違和感があるんだ。


ここは、何もなかった所に、街がつくられ人が集まり、偽の陽射し、どこからか持ってきた植物、がある。


地球に住んでいた時は、当たり前に太陽の陽射しを浴び、自然の木々に囲まれ、水もあった。私の大好きな海も。


その当たり前が、全くない世界が今ここにある。


「ううぅ…ん…。」

わかりきっていた現実を目の前にして、座り込んで考える…。


「どうした?具合が悪いのか?」


私の心の葛藤の事情を知らない優しい声が、頭の上から聞こえる。


「おはよう、隼人。なんでもないわ。」

立ち上がって上半身裸の、隼人の腰に腕を絡める。


くすっと笑う隼人の声が頭上で聞こえたと思ったら、私の顎を指でなぞり、唇を軽く重ねる。


「隣にいないからびっくりして起きたんだけど。」

「あの凹みかたは、なんでもない、には見えないぞ。」

「悩む前に俺に話せ。大丈夫だから。」

頭を撫でながら、私の大好きな笑顔を見せてくれる。


「お日様が恋しくなったのかもしれない。」

これは本当のこと。


「もう、ホームシックか?まだ旅が始まったばかりなのに。」

隼人はちょっと困り顔…。


「ホームシックというより、カルチャーショックに近いかもしれないな。」


「??」

私の言葉に、更に納得できない、という顔をしてる隼人。


「100%造られたalbaの街を見て、当たり前に水や緑の木々や太陽の陽射しがあった地球が、懐かしいなと思ったの。」

「地球に住んでいて、当たり前にあったものがここにはなくて。」

「地球基準で考えたら、普通じゃないかもしれないけれど、この星に住む人たちには、普段の普通の環境で、私たちがよそ者だから慣れるしかないのよね。」


外を眺めている私を、後ろから抱きしめる隼人も、


「それは、地球にいてもあてはまると思うよ。海外旅行なんかそうだろ?」

「自分がいるところを中心に考えると、他がすべて違って見える。」

「それを違和感として思うより、尋ねた場所もそれぞれ違って、楽しみ方も違うから、その場に染まったほうが楽しめるだろ?」

「それは、地球でも宇宙でも同じことだと思うよ、俺は。」


「そうよね。」

「私が行こうとしてるsperanzaの星は、さらに太陽は見えない所で、もっと環境が違うだろうし。」

「これでショック受けていたんじゃ先が思いやられるわ…私。」


後ろから抱きしめていたのが、いつの間にか、目の前に隼人の胸が。


「誰が一緒にいるんだよ。俺が一緒にいるだろ。泊まる先々で楽しんでいけばいいじゃないか。」


「せっかくの婚前旅行なんだからさ。」

と言いながら、額にキスをする。


私も、腕を隼人の背中に回す。


「隼人がいてくれてよかった。いなかったら、この先はきっと進めなかったわ。ありがとう。」


「どういたしまして。」

見上げると、隼人もニッコリ微笑んでいる。


「そういえば、昨日襲った人、身元がわかったのかなぁ?」

ふと、頭が現実に戻る。


「たぶん、今日あたり櫻井さんから連絡が入るだろ。」


「あの、助けてくれた男性も気になるんだよね…。」ボソッと呟くと、


「気にしなくていい。」

と、不機嫌な声。


「ん?妬いてる?」

背中にいた手で今度は隼人の顔を挟む。


「妬いてるというより。」

「他の男のことなんて考えて欲しくない。」

私の両手に隼人の手が重なり、そのまま、烈しく唇を重ねてくる…。


「ん…っ。はやとぉ…。」

隼人の熱から伝わってくる気持ち。


「今日は朝から出掛けようかと思っていたけど、昼からにするか…。」

と隼人が言ったと同時に、私の身体が浮く。


「このままじゃおさまらないから…。」

妖艶な微笑みで私を見つめる。


「隼人、私の身体が持たないわ…。」


すでに動き出してる隼人には聞こえてないらしい。


テーブルの上の携帯電話が、メールが届いたランプで知らせている。


櫻井さん、ごめんなさい。あとで連絡します、と心の中で謝る。


外から、陽射しがカーテンの隙間から入ってくる。


albaの街の一日が始まる…。


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