18 『alba』へ
「あと1時間で次の停車駅『alba』に到着いたします。次の出発は、地球時間で3日後。時間は20時です。時間に遅れないように、15分前のご乗車お願いいたします。」
車掌のジョニーさんの、車内放送が入る。
車内がにぎやかになってきた。
「隼人、到着まであと1時間だって。」
私は荷物をまとめ、身支度を整えながら、隼人に声をかける。
「そっか。」
ベッドに横になって、読んでいた本を閉じて起きてきた。
「何読んでたの?」
傍らに立つ隼人に尋ねる。
「Guidebookみたいなものかな。albaに降りて、どうしようかと思って見てたんだ。」
「泊まる所はもう予約してあるし。」
「え?そうなの?」
「さっき、櫻井さんと打ち合わせしてる時、電話で話して決めたんだ。」
そういえば、難しい顔して話してたわね。
鍵を持つ、本当の理由がわかって以来、隼人と櫻井さんが、頻繁に連絡を取り合っているみたい。
私は抜きで…。まぁ、いいんだけどね。
でも、さすが隼人、手配が早いな…。仕事している時もそうだった。先へ先へ手を打って、仕事を片付けるのが早かったし、回りの信頼も厚かった。私は、どうあがいても、隼人には追いつけないし、かなわなかった。
「同期だったのにね…。」
「ん?どうした?」
ふと呟いた言葉に反応されて驚く。
「いつも隼人にはかなわないって思ってただけ。準備できた?」
笑顔で返す。
「…何かまた余分なこと考えてただろ?」
疑い深そうな顔で覗きこんで私の顔を見る。
なんでわかるんだろう…。
「顔見ればわかるよ。櫻井さんとの話気になる?」
エスパーのような返事をしながら、私の頭を撫でる。
「別に…。私が聞かなくてもいいことでしょ?」
言わなくてもいいことまで、言ってしまいそうなので、隼人から離れようとすると、引き寄せられ隼人の胸におさまる。
「ケイに都合の悪いことは何一つ話はしてない。それより、これからどうしていこうという話をしてる。SPがいたとしても、ずっと張り付いてると怪しまれるから、俺が何処まで動いていいか…とかね。姫を守らないといけないからさ。」
見上げた私を優しい瞳で見つめる。
黙って隼人に抱き着く。
「ごめんなさい。あなたの気持ちも知らないで。小さな嫉妬みたいなものだわ。」
「いいんだよ。説明しない俺も悪かった。」
そう言いながら、私の唇に優しいキスをする。
「せっかくの婚前旅行なのに、ケンカしたくないからな。」
「婚前旅行決定なのね。」
クスクス笑いながら、背伸びをして、隼人の唇にキスを返す。
抱きしめられ、それ以上進みそうになりはじめた時、車内放送がはいる。
「あと10分で停車駅『alba』に到着致します。』
「残念…。続きはまたあとで。」
といいながら額にキスをし、隼人も降りる準備をし始めた。
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「隼人くんも、狙われやすい素性の持ち主なんだね。」
櫻井さんが、電話で話をしていると、ふいに尋ねてきた。
「調べたんですか?俺のこと…。」
「一応ね。託す相手のバックを知っておきたいと思ってさ。悪用するつもりはないから安心して。」
悪びれた様子はなく、さらっと答える。
「ケイさんはもちろん知らないよね?」
「余分な心配かけたくないから、ケイには黙っていて下さいね。」
櫻井さんに釘をさす。
「わかってる。」
「albaに着いてから、どうするんだい?滞在時間があるでしょ?」
「出発は地球時間で、3日後らしいです。」
「3日か。」
「隼人くん…。」
「言いたいことはわかります。ケイは必ず俺が守る。」
「うん。そうだね。SPおいてあるけど、油断は出来ない。下手に動くと怪しまれるから、彼の隼人くんが一番ボディーガードには相応しい。」
「あとで、SP見分ける画像送るから見ておいて。」
「了解しました。」
「ホテルの予約は、お願いしていいですか?」
「引き受けた。予約取れたらメールする。」
「敵の多い旅かもしれないが、不安になりすぎず、楽しんで欲しいと思っている。ケイさんも隼人くんも。」
「せっかくの婚前旅行なんで、楽しんでますよ。俺は。」
「そうか。それならよかった。」
電話口で大笑いしながら櫻井は、
「じゃ、また連絡する。」
「はい。よろしくお願いします。」
電話を切ってから、一人考え込む隼人。
「まさか…な…。」
櫻井さんとの会話が、頭の中に流れる…。
「俺も、気をつけないと…だな。」
と呟きながら、いつのまにか、睡魔に襲われ眠っていた…。




