表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の降る街に  作者: 霧島
第2章
17/92

17 旅の目的


[隼人くんへ:


メールありがとう。

明日には、『alba(アルバ)』につくんだね。


早速、本題に入りますが。


ケイさんに託した鍵は契約の時に言った通り、決して怪しいものでも、嘘でもないんだ。


でも、とてもとても大切な鍵で。矛盾してるといわれそうだけど。


その鍵は、実は終着駅、『speranza[スペランツァ]』、星、そのものに影響してくる場所の鍵。

それが何処の…とは今は言えないけれど。僕が持っているということは、僕もsperanzaの少なくとも

関係者…でもあるのだが。


なぜ、今回鍵を届けるようになったのか?

それは、speranzaに着いてからではないと、答えられないんだ。

最初、ケイさんだけなら、やめようと思っていた。ケイさんも、今回行くかどうか、かなり迷っていたはず。最終的に、隼人くんが一緒に行くということになって、僕もお願いすることにしたんだ。


今、二人が持っている鍵が正式な物で、もし、万が一無くしたとして、誰かの手に渡っても、鍵として使えないようになっている。二人が一緒にsperanzaにたどり着いてこそ、機能する鍵なんだ。


ここまで言ったら、セキュリティもケイさんに書いたメールの意味も、わかって貰えると思う。


隼人くんは、ケイさんがリスクの高い、危険な事件に巻き込まれるのではないか、と、心配をしてるんだと思う。


今は、ちゃんと鍵に埋め込んだGPSも機能してる。


乗車してる列車に2人。いつも隼人くんたちの近くにいるはず。あとは停車駅ごとに数人SPをおいてある。が、出発前に言った通り、地球からでれば、100%絶対安全という保障はない。


隼人くん、旅の間、ケイさんの近くを離れないようにお願いしたい。鍵を狙っている関係者だけでなく、旅には、女性を拉致する集団もあったり、道中治安も良くない。隼人くんよりケイさんが狙われる確率の方が断絶多い。

念のため、ケイさんが言っていた男も、注意したほうがいい。

気にかかることがあったら小さなことでもいい。電話でもメールでもいい。連絡してほしい。無理なことをお願いして本当に申し訳ないと思っている。

でも……speranzaの未来がかかっている。

よろしくお願いします。


このことをケイさんに伝えるかは、隼人くんに任せたいと思う。


また連絡下さい。


from櫻井尚人]


櫻井さんから来たメールを読んでいる隼人は、今までに見たことがないくらい、厳しく難しい顔をしている。

なかなか近寄りがたい雰囲気…どうしよう。

そんなに状況が悪いのだろうか…?


「隼人?」

恐る恐る尋ねる。


「ん?」

びっくりしたような顔で振り返った。


地球から持ってきた、隼人の好きな銘柄のコーヒーを入れる。

コーヒーの入ってるカップを二つ持ち、ひとつは隼人に渡して、私も隣に座る。

「サンキュ。」

笑顔でカップを受け取るが、隼人の表情は冴えない。

「いい内容ではなかったの?」

尋ねる私の瞳を、見つめ、頷く。。


「これから櫻井さんのメール見せてあげる。でも、実際余分な心配かけそうで、見せたくない気持ちもあるんだ。どうする?全部知るか、事情を知らずにこの先いくか。」

すごい選択肢を言われている気がするんだけど。


でも、いくら悪い状態でも、『しらない』より『知っていた』ほうが、私はいい。自分の人生だから、自分の判断で責任を持ちたい…。この旅にでてきたのもそういう意味だから。


「見せてもらえる?」

隼人をまっすぐ正面に捉え、返事をする。


「いいよ。俺もここにいるから。」

といって、私を引き寄せ、軽くキスをする。


隼人から、携帯を預かり、櫻井さんからのメールを読む……。

読み終えて、呆然とする私の肩を抱きながら、隼人が声をかけてきた。


「どう?」


「………。」


あまりのショックに言葉も出ず、返事ができない。」


「大丈夫か?」

私の頬に隼人の指が…。

涙が流れていたらしい…。


「……たぶん。」

涙が止まる気配はなく、隼人が強く抱きしめてくれる。


「ケイ?このままよく聞いていて。」

前にも同じようなシチュエーションがあったような…。


「俺はさっき、櫻井さんからのメールを読んだ時、一瞬目の前が真っ暗になった。感情がストップしたよ。ケイの命を何だと思っているんだって、怒りもあった。一歩間違えたら、ケイが俺の前からいなくなる可能性があるんだから。」

「でも、よく考えたら、今回の条件がなく、二人だけの旅なら、もと環境も悪く、今以上に神経を尖らせていないといけないと思うんだ。」

「そう考えたら、鍵云々言う前に、ケイをセキュリティがちゃんとした所に置いて、旅ができる方がいいと思ったんだ。」


「あとは。」

抱きしめる力を緩め、私の顎に指を伝わせる。


「俺がケイを守ればいいこと。大丈夫、俺がついてる。信用してついてこい。」

頷いて、止まっていた涙が、隼人の言葉に溢れ出す。

隼人の大きな両手が、私の頬を優しく包む。

同時に、お互い求めるように、唇を重ねる……。

不安な気持ちも隼人の熱で、震える心も少しづつおさまってきた。


私は、一人じゃない。隼人がいてくれる。

そう、思うだけでも、力が湧いてくるような気がする。

明日の朝、『alba』に到着する。

もう今になっては、逃げ出すことも出来ない。

地球から出てくるとき、なぜなら何があったとしても、責任は自分自身だと決めてきた。

来るもの拒まず…。来るなら来てもらおうじゃないの。


「隼人、私頑張るから。speranzaに必ず行こうね。」


「ああ、必ずだ。俺はお姫様を守る王子だから、側にいるから安心しろ。」

微笑んで、私の頭を撫でる。


外の景色は闇だけれど、漆黒の闇の中には、数え切れないほどの輝きがある。


そして、私の心にも決意の輝きが…。


それぞれの思いを乗せて、数時間後には、『Alba』に列車は到着する。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ