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星の降る街に  作者: 霧島
第1章
11/92

11 自覚


真夜中の、音のない時間。ビルの合間から見える星空。今夜も静かに光り輝いている…。


隼人に送ってきてもらって、今夜は早く寝ようと布団に入ったけれど、どうしても眠れない…。

諦めて布団からでてきて暗闇の中、毛布を被る。

夜空を眺めながら、これからのことに思いをめぐらせる。


「隼人を巻き込んでしまったけれどよかったのかな…。」


ずっと気にかけていたこと。私が行くのは、自分が決めたのだから何があったとしても仕方ない。でも、今回の旅は安全の保障はないし、万が一のことがあった時に、隼人も一緒に巻き添いになってしまう。私のわがままで、隼人の人生を潰してしまっては申し訳ない…。


今ならまだ間に合う。


そう思ったら、いてもたってもいられず、もうこの時間なら寝てるだろうと思う隼人の所にメールする。明日には何か言われるのは間違いないけれど。


『隼人、今回の旅、一緒に行くようになっているけれど、考え直せないかな?やっぱり私のわがままで行く旅に隼人は行かない方がいいと思う。私はまた地球に戻ってくるつもり。今は待ってて…とは言えないけれど。万が一の事があった時、隼人の先の人生まで壊してしまう方が私は辛い。あなたのことが嫌いになったわけじゃない。私の愛している大切な人を巻き込みたくないの。考え直してもらえるかな…。ごめんなさい。おやすみなさい。from kei』

隼人に対しての最後のお願いをメールに託し、送信する。


「勝手なこと言ってるって怒られる…ね。きっと。」静かな空間の中、呟く。


と、その時携帯の電話が鳴る。びっくりして確認すると、


「隼人…、起きてたの?」もう真夜中だというのに。出ようかどうしようか迷う。鳴りやまない携帯電話のボタンを恐る恐る押す。


「もしもし…。」


「ケイ?」


「うん。」


「話しがある。15分位したらそっちいくから待ってて。」

と言って、一方的に切ってしまった。


「え?今からって。」

今日は、日曜日だから仕事は休みだけど、まさか本気でくるつもり?


呆気にとられてると、


「ピンポ~ン!」

チャイムがなる。

こんな真夜中、お客様が来る時間ではない…ということは、間違いなく、先程の電話の主。


恐る恐る鍵を外して扉を開けた、と同時に隼人が玄関に入ってきて、私を強く抱きしめる。

呼吸が早い…走ってきたんだ。


「何なんだよ、あのメールは。」

私の顔を両手で挟む。


「あの文面そのままよ。」

大きな溜め息をつく。


「とりあえず部屋に入って話そう。」

私の手を引っ張り、部屋に入る。


ソファーに座った隼人の隣に、そぉっと座る。


「それで、今になって気持ちが変わってきたのはなぜ?」

仕事中の厳しいオーラをまとって私の顔を見る。機嫌が最高に悪い…。まさか『氷のプリンス』が我が家に来るとは。でも伝えなきゃ。


「今になってじゃなくて、ずっと気になっていたことなの。とりかえしがつかなくなる前に言わないとと思って。旅に一緒に行ける嬉しい気持ちの後ろにいつもいたわ。道中何かあれば、隼人のこの先の人生を壊してしまうかもしれないっていう恐怖があって。それなら最初から行かなければいいと思ったの。」

「帰ってきたい気持ちはあっても帰れなくなるかもしれないし…。せっかく気持ちが隼人に伝わったのに、こんなにも愛しているのに、離れてしまうのはつらいけど…。」

気がついたら、涙が溢れ出して止まらなくなっていた。


「もういい…。」

いつの間にか、いつもの優しい表情に戻り、私の身体を抱きしめていた。


「ケイ、そのまま聞いてくれ。俺はこの前も言った通り、お前が一人で行ってしまったらどうすればいいかわからないし今更離れたくないんだ。地球に帰れなくなってもいい。ケイが一緒なら。一緒に行くことを、俺自身が決めたんだ。もう迷っていない。一生地球に住むか、宇宙にでて違う環境で住むか、その時になったら決めればいいだろ?」


「隼人…。」

私は言葉にならなかった。


「ケイ、旅にでるまで一緒に住まないか?もちろん帰ってきてからも。身の回りも片付けていかないといけないだろうし。部屋は俺の部屋だけ残して旅にいけばいい。これからもっと忙しくなるし、逢えないのがつらいのがなくなる。どう?」


私はやっと止まった涙がまた溢れ出した。隼人の提案に黙って頷く。顔をあげ、お互い見つめ合う。


「愛してる…。」

隼人はそう呟くと、抱きしめたまま啄むようなキスをしてくる。だんだん角度をかえ、深くなる。私も隼人を思う愛しさに溶けてしまいそうな気持ちになる。もう迷わなくてもいい。そう思えることがなにより幸せを感じる。


週末、私は今まで住んでいた家から、隼人の住む家へ引越しをした。



………………………………………………………………………………………


旅の始まり。

私の新しい人生が始まる。


新しい年を迎え、私も職場を退職し、隼人と旅の準備をし、出発の日は駆け足でやってきた。



作者の霧島です。いつも足を運んで頂きありがとうございます。本当は11話から、宇宙に旅立つ話にするつもりでしたが、主人公が悩んでいる様子でしたので、12話以降に出発することにしました。やっと、気持ちの整理がついたようで。隼人も惚れ込んでいますが、旅には、恋路の強敵が出てきます。どうなりますやら・・。これからもよろしくお付き合いくださいませ。

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