始まりの起爆剤 後編
「何なんだ、あの二人組は!人の命を何だと思っているんだ!おまけに私ら研究員の事を奴隷扱い!?ふざけるのも大概にしろ!我々の貢献を踏みにじった!今日だけで14人が死んだ!!残りも殺される!こんな計画成功しない!!」
研究員が激しく怒鳴る。無理もないな。
私は、ラボから社長室に戻った後、置いていたケースに目をやる。
このケースの中には、毒性のスプレーが入っている。
以前に薬を作った際の失敗作だ。あれは酷い事故だった。
奴らは絶対に私が殺してやる。
恨み言を呟きながら、私はベットに寝転がる。
彼らには家族もいる、勿論彼らを大切に思う者も大勢いる。
「待っていてくれ。明日に奴らが来たら、痛い目に合わせてやる!工藤、森、木戸、方飛、瀬戸、大間、水戸、芹。私は豚箱にぶち込まれてもいい。君たちを助けるためには、何だってしてやる!」
そう言うと、私は毒性のスプレーが入ったケースを見て、深い眠りについた。
しかし、彼に朝は来なかった。
何故かって?
数日前、俺はとある二人組に声をかけられた。
俺は薄暗い研究所に連れて行かれると、そこにあるモニターに顔を向けされられた。
そこには、俺の職場の同僚がいた。
加藤とか言う奴もいる。あいつは過去最低のクソ野郎だ。昔、睡眠薬を作る実験に参加させられた、人が目の前で死んだ。悲惨な事故だった。薬を作る機械が誤作動を起こし、遺伝子を焼き切った。苦しんでいた。
俺は恐怖を覚えた。あの様にはなりたくないと。
似たような計画を始めようと言っていた。冗談じゃない。やってたまるか。俺はさっさと部屋を出ーーーー
ようとした瞬間、彼らに銃を突きつけられた。
「なんだ?俺に脅しは効かないぞ?」
「君に?我々はまだ何も君がやる仕事については話していないぞ?」
何のことだ?俺に伝言を任せるんじゃないのか?
じゃあ何だ?
困惑する俺に、二人組の一人が俺にケースを投げてきた。中には、銃が一つ入っていた。しかし、俺はこいつをよく知っていた。
昔、犯罪グループで銀行を襲ってた時に使っていた、小型の銃だった。威力はこれでも折り紙付き。もっとも、その折り紙よりも小さいがね。
「君にはコイツを使って用心棒をしてほしい。報酬は弾ませる。」
「気でも触れたか?大体何で俺なんだ!?こいつが有れば、誰でもいいはずじゃないか。」
「君じゃないと駄目なんだよ。君は適合した。」
「何を言ってる?」
「世界最高の防衛システムである、通称完璧超人。素晴らしい力が手に入る。しかし、それには薬がいる。試作品にシミュレーションをさせたところ、君の適合率が一番高い。君。いや、工藤烈寺に頼みがある。」
こんな美味い話は無いな。防衛システムだか何だか知らないが、犯罪者に頼むってことはそういうことだ。
世界最高の力と、くだらねぇ肉の塊。どっちを選ぶかなんて決まってる。
「了解した。ただし、報酬はちゃんと払え。」
「あぁ、保証しよう。」
ーーなんて言ってたっけ。今、俺の目の前には頭部をぶち抜かれたたんぱく質の塊がある。
自業自得だな。奴は人殺しだ。殺される覚悟もある奴。
翌日、この研究所は全員証拠抹殺のため、致死量の毒の投薬により死亡した。最初から作らされていたのはただの毒であった。その後、この研究所特注の潤沢な設備はすべて回収され、国のため、正しいことに使われるのであった。
しかし、この計画には誤差があった。工藤烈寺、彼は更生してはいない。彼が犯罪グループを抜けた理由。
それは、彼が親しかった友人が警察に捕まり、それの原因を他のメンバーだと考え、全員殺害したからである。
その後、工藤烈寺の消息は絶たれた。しかし、それから暫くたったある日、報酬の金で武器を買い、武装した男が多くの場所に被害をもたらす。
その腰には、あの小型銃がしっかり携えられていた。
以上、工藤烈寺編全2話でした。
狂った男は加藤ではない。そもそも誰も狂ってなどいない。
だって元から狂ってるし。




