始まりの起爆剤 前編
私の名は加藤清澄。世界に跨る大企業、グリーンインテリジェンスの社長である。
昨日、国から使者が来た。依頼だった。
聞けば大災害などが起きた場合に優れた力を持つべく、身体を異常なまでに強化する薬品を製作しろと頼まれた。実験台が必要だと言ったら、こんなことを言いやがった。
「無理ですよ、我々にはそのような物は作れません。」
研究員が言うと、使者は答えた。
「ギブアンドテイクだ。何度もやればできるだろ。」
「その場合、多くの犠牲者が出ます。実験台なんてとても用意できません。」
「いるだろう。ここに大勢、いなくても用意してやる。」
この四百年で犯罪はどっと増えた。正確には、捕まりにくくなった。四百年で科学は発達したけれど、発達したのは兵器ばかりだ。銃やミサイルがバンバン発達した。けれども二百年くらい前から車は何も変わってない。
電気自動車の寿命が延びて、それっきりだ。
発達した武器を持った犯罪者は、警察だろうと軽くあしらう。国はそれに敏感になりすぎてしまった。
誰か止めるものがいる。そしたらそいつは、まさしく英雄に相応しいだろう。
私はこの計画に深く憤りを覚えた。研究員を道具としか思っていない。非人道的だ。
しかし、どうすることもできなかった。
拘束された研究員が、悲鳴を上げた。
「14回目、失敗を確認。投薬により遺伝子が腐敗。廃棄が一番でしょう。」
「そうだな。皆離れろ!今からこの男を銃殺する!」
彼は素晴らしい男だった。家族もいた。
しかし、奴らは何も躊躇わず撃ち殺した。
次は15人目。残りは24人。
しかし、ここで装置から火花が散った。
「ポンコツめ。続きは明日だ!それまでに片付けておけ!」
次回の犠牲者は………




