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私の猫はバレてません!〜猫又であることを隠して、ご主人さまと子育てしますニャ!〜  作者: 陰陽@4作品商業化(コミカライズ・書籍・有料連載)


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第4話 子育ては大変なのニャ!

 あちしはミミ。ご主人さまの家に「ミシェル」として入り込んで、もう二日目ニャ。 今日は本格的に子育てに参加する日だニャ。


 ご主人さまが「手伝ってくれるなら本当に助かる」と少しだけ笑顔を見せてくれたから、あちしも張り切っているのニャ。


 午後の庭で、ランディスがボールを持ってあちしのところに走ってきた。

「ミシェルお姉ちゃん!ボール遊びしようよ!」


 ランディスは目をキラキラさせている。男の子らしく元気いっぱいの顔ニャ。

「いいよ、ランディス。遊んであげるニャ!……です」


 あちしは人間の姿になった時の、力の加減がまだよくわからないのニャ。猫のときなら加減がわかるのだけど、今は人間の女の子だ。


 ランディスがボールを投げてくる。軽いボールニャ。あちしはキャッチして、返そうと思った。

 ……つい、猫又の本気の力で投げてしまった。」


 ボールがビュンと風を切ってランディスのほうへ一直線に飛んでいく。

「わっ!」

 ランディスが目を丸くして体をかたくした瞬間、あちしは慌てて魔法を唱えた。


「止まれニャ!」

 ボールがランディスの鼻先でピタリと止まる。魔法の光が一瞬チラッと光った。

 ランディスが目をぱちぱちさせる。


「ランディス、だいじょうぶ?少し強く投げ過ぎてしまったみたい、ごめんね。」

「ミシェルお姉ちゃん、投げたボールに追いついたの?凄いね!」

 目をキラキラさせながらそう言ってくる。


「ま……まあね!」

 そういうことにしようと思って、あちしはえっへんと腰に手を当てて胸を張った。

「……あれ?それ何?」


 ランディスの目線があちしの頭の上に向いている。まずいニャ!慌てて魔法を使ったから、うっかり耳が出てしまったかも知れないニャ!


 あちしは両手で自分の頭の上をギュッと押さえていた。やっぱり耳が、うっかりポロッと出てしまっていたのニャ。慌てて隠したけど……。


「え、えっと……うん!すぐに追いついて手で止めたの!ランディス、危ない目に合わせちゃってごめんニャ……です。」


 ランディスは少し首を傾げたけど、すぐに笑顔に戻った。

「変なものが見えた気がしたけど、気のせいかな。もう一回やろう!ミシェルお姉ちゃん!」


 あちしは胸を撫で下ろした。バレなくてよかったニャ……。

 そのあとで、ランディスはご飯を食べることになって、あちしも一緒に食べることになったニャ。


 でも正直この、ナイフ?とフォーク?ってやつ、食べ辛いニャ……。

 でも手掴みは駄目らしい。困ったニャ……。


 そんな時、リリアナが泣き始める声が聞こえた。本来ならハルトも一緒にお昼ご飯の時間だけど、まだお仕事が終わってなくて書斎にいる。


 乳母と共に姿を現さないということは、乳母が必死にリリアナをなだめているんだろう。でも埒が明かなかったらしく、乳母が廊下を素早く、走っていると思われない速度で歩きながら、書斎のほうに向かって行く。


 きっとご主人さまに助けを求めるつもりなんだろう。

「ちょっと様子を見て来るね。」

 あちしはそっとリリアナの部屋に入った。


「リリアナ、泣かないでニャ……です。ミシェルお姉ちゃんがいるよ」

 リリアナが涙でぐしゃぐしゃの顔をあちしのほうに向ける。あちしはそっと抱き上げて、子守唄を歌い始めた。


 猫又の間に通じる歌ニャ。小さい頃のおぼろげな記憶で、お母さんに歌われた記憶はあるけど、実際歌うのは初めてニャ。


「歌え良い子たち、さあもうさみしくないニャ、一緒に遊びましょう、私たちが一緒。踊れ良い子たち、さあ踊りつかれてしまうまで、一緒に眠りましょう、私たちは永遠。」


 あちしが歌うと、不思議なことが起きた。部屋に飾ってあった小さな花々が、ふわふわと宙に浮き上がって、優しく踊り始めたのニャ。魔法の力で、花びらが光って輪になって回る。


 ニャ!?ニャニャニャニャ、ニャんで!?

 こんな効果知らないニャ!覚えてないニャ!

 それとも覚えてないだけで、これは魔法の呪文だったのかニャ!?


 リリアナがびっくりして泣き止んだ。目を丸くして花を見上げている。

「わ……きれい……。」

 花々がまるで花の妖精のように、リリアナと手をつなぎ、円を描くようにして一斉にくるくる回り始めたので、リリアナがキャッキャと喜んで泣き止んだ。


「あわわわ!止まれニャ!魔法、止まれニャ!」

 あちしが慌てて魔法を解くと、花は元の場所にふわりと戻った。リリアナは不思議そうに花を見ていたけど、一緒に踊りつかれたのか、結局あちしの胸の中で眠ってしまった。


 そこにやってきたご主人さまと乳母が、あちしの胸の中で眠っているリリアナ見て、驚いた表情を浮かべている。

「まあ……ああなったお嬢さまをなだめられるのは、ご主人さまだけでしたのに。」


「いったいぜんたい、どうやったんだい?ミシェル。」

「え?えへへへへ……。」

 お花と踊りつかれて寝ちゃったなんて、当然言えないニャ。


 翌朝の朝食の席。リリアナがご主人さまに一生懸命話しかけている。

「おとうさま!あんのね、おねえちゃんが歌ったら、おはながおどったの!」

 ご主人さまが目を丸くする。」

「花が……踊った?」


 あちしはパンを咥えかけたまま固まった。

「ゆ、夢を見たのかもニャ……です!リリアナ、夢だったよ?ね?」

「うーん、そうかも?気付いたらねてたし……。」

 あちしは必死でごまかした。


 ランディスも、そういえば、昨日ミシェルさんはボールよりも早く走って、ボールを受け止めたんですよ!凄かったです!とか言い出したけど、あちしは「気のせい気のせいです!そこまで強く投げたわけじゃないニャ!……です。」と全力で否定したのニャ。



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