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日常防衛線 ――お金が紙くずになる春――

✦日常防衛線

――お金が紙くずになる春――


………


母を見送った 

67歳の元証券マンが見た、

静かな崩壊の始まり…


世界が壊れる時、

最初に値上がりするのは

ガソリンじゃない。


人間の浅さだ。


………


★目次


■プロローグ まだ電気はついている

■第一章 金で買えないものが増え始める

■第二章 極楽とんぼの国

■第三章 オーストラリアがあるから大丈夫、という寝言

■第四章 計画停電の前夜

■第五章 数字がしゃべり始める夜

■第六章 金で買えんもの

■第七章 母が遺したもの

■エピローグ 日常を守る者


………


■プロローグ


まだ電気はついている

母が死んだのは、三月十六日だった。


春が来るにはまだ少し早く、

朝は冷えて、

昼だけが勝手に明るくなっていく、

あの、季節の方が人間より先に

進んでいく時期だった。


「今年も一緒に 花見しようね」


「もう1ヶ月頑張ったら

 92歳になるよ」


母は息子の願いには答えず

その天寿を静かに全うした。


わしは六十七歳。

証券会社で長いこと

飯を食ってきた。


株も債券も、

人の欲も恐怖も、

それなりに見てきたつもりだった。


けれど、

母を見送った直後に

役所へ行って知った。


人間は、

死んだあとも悲しんどる暇はない。


戸籍謄本取り寄せ。

年金停止手続き。

金融機関。名義。紙。印鑑。

確認。訂正。

市役所の窓口。

たらい回し。


死んだ母のあとを、

生き残った者が

書類で追いかける。


わしは市役所の窓口で、

何度も同じ説明をした。


母が死んだ。

三月十六日。

必要な戸籍を取りたい。

年金の停止手続きに使う。


それだけのことが、

妙に伝わらん。


こっちは

母を送ったばかりだというのに、

相手はマニュアルの表紙しか

見とらんみたいな返事を繰り返す。


つい、声が強うなった。

怒鳴ってしまった。


でも、昔みたいな

切れ味がなかった。


若い頃なら、腹の底から

一気に怒りが立ち上がって、

自分でも驚くぐらい

声に力が乗った。


だけど、今は違う。


怒っとるのに、

どこか遠慮がある。

迫力がない。


まるで鈍った包丁で、

腹立ちだけを

何度も切りつけとる

みたいだった。


わしは窓口を離れたあと、

ひとりで少し笑った。


歳を取るというのは、

怒る力まで、どこか

丸くなることなのかもしれん。


その夜、

テレビではホルムズ海峡封鎖、

中東のプラント損傷、

エネルギー危機、

IEAの警告、

ガス供給不安、

計画停電の可能性、

そういう言葉が次々に流れていた。


噂では、わしらの早苗ちゃんが

イランとの交渉を

打ち切ったという。


専門家は、

まるで天気予報でも

読むみたいに数字を言う。


日本のエネルギー自給率は

一五・三%。


発電の七割は、

まだ化石燃料の火で回っとる。


原油の九五%は中東頼み。

LNGも一一%は中東。


カタールの LNG 施設が

一部 壊れて

修復に4〜5年は

かかるというのに…


しかもその一部は、

あの細い海峡を通る。

数字だけ見たら味気ない。


けれど、こういう数字は、

平和な顔をした

首筋に当てられた

刃物みたいなもんだ。


部屋の電気は普通につく。

ガスも出る。

冷蔵庫も唸っとる。

スマホも充電できる。

だから、みんな笑う。


「大げさだ」

「煽りすぎだ」

「今までだって何とかなった」

「オーストラリアがある」

「お金を出せば買える」


そういうことを、

まるで明日の天気でも話すみたいに

軽う言う。


わしは証券マンじゃったから、

よう知っとる。


本当に危ない時いうのは、

壊れた後じゃない。


壊れる直前が、

いちばん楽観が多い。


バブルもそうだった。

リーマンもそうだった。


みんな、

最後の最後まで言うんだ。


「まだ大丈夫」


とな。


■第一章

金で買えないものが増え始める


数日後、

スーパーへ行った。


棚は埋まっとる。米もある。

パンもある。冷凍食品もある。

牛乳も豆腐も卵も、

今のところは普通に見える。


人間は、目の前の棚が

埋まっとれば安心する。

未来の穴なんか見ん。


レジ前で、中年の男が

笑いながら言っていた。


「ガソリン下がったな。

 ほら、大丈夫じゃろ」


わしはその言葉を聞いて、

胸の中がひやっとした。


下がったんじゃない。

税金を突っ込んで、

痛みを見えにくくしとるだけじゃ。


二百円近くまで行きかけた値札を、

一七〇円前後に見せるために、

国は八千億円規模の金を突っ込む。


八千億円。

庶民の目には、

「ちょっと安うなった」で済む。


けれどその裏側では、

未来から前借りしたお金で、

今日の安心を演出しとるだけなんよ。


熱がある人間に解熱剤を飲ませて、

「治った」と

喜ぶみたいなもんだ。


この国は

そういうことばかりする。


備蓄を放出し、

補助金を入れ、

見かけだけ落ち着かせる。


すると人はすぐ安心する。

値札が落ち着けば、

原因まで消えたと思い込む。


すごい国民性じゃと思う。

悪い意味でな。


しかも、表面だけ

AIでなぞった連中が、


「心配しすぎです」

「冷静になりましょう」

「オーストラリアから

 買えば済みます」


と、

もっともらしい顔で配信しとる。


浅い。

あまりにも浅い。


輸入いうのは、通販じゃない。

相手がある。国がある。港がある。

船がある。保険がある。契約がある。


例外条項がある。

戦争がある。恨みがある。

自国優先がある。

値段の吊り上げがある。


平和な時には

紙の上で回っとったものが、

有事になると、

いきなり人間の本性で回り始める。


そこが怖いんよ。


お金を積めば買える時代は、

供給が余っとる時代だけじゃ。


不足が始まったら、

市場は理屈で動かん。


まず囲い込む。

次に疑う。

最後に奪い合う。

それが現実じゃ。


わしは乾麺と缶詰を少し買った。

水も少し。

電池も追加した。


派手な備蓄じゃない。

ただ、日常を延命するための

買い足しじゃ。


ほんまのサバイバルは、

山へこもることじゃない。


冷蔵庫が止まりかけても、

今日の飯を回すこと。

そこから始まる。


「今日も 無駄な抵抗を

 始めてみよう」


■第二章 極楽とんぼの国


世の中には、

危機が来ると慌てる人と、

危機が来ても笑っとる人がおる。


後者の方が、実は怖い。


「今ガス出とるじゃないか」

「今電気ついとるじゃないか」

「今普通に生活できとるじゃないか」


そういう奴ほど、

止まった時には人一倍取り乱す。

今見えとるものだけで判断する。


人間の浅さいうのは、

だいたいここに出る。


備えもそうじゃ。

知り合いの奥さんが

前に言うとった。


「非常用に缶詰とか

 レトルトとか

 倉庫に置いとったんよ」


「そしたら旦那が邪魔じゃ言うて、

 勝手に捨てとったんよ」


笑えん。


国は備蓄を放出し、

家庭では旦那が備蓄を捨てる。


その一方で、

「ガソリンがちょっと安うなった」

と言って喜んどる。


これを極楽とんぼと言わずして、

何と言うんか。


しかも厄介なんは、

そういう人間ほど、

危機を見て先に動く者を

馬鹿にすることじゃ。


「心配しすぎ」

「考えすぎ」

「そんなに不安なら外国へ行け」


違うんよ。

心配しとるんじゃない。

計算しとるんじゃ。


電気が二時間止まったら

何が困るか。

ガスが細ったら何を諦めるか。

輸送が乱れたら何日持つか。

薬が来にくくなったら

何を優先するか。


そういう現実を先に考えることを、

この国は昔から嫌う。


目をつぶって、

誰かが何とかしてくれるのを待つ。

豊かな国は、

だいたいそうやって鈍くなる。


だけど、鈍さにお金をかけても、

現実は曲がらん。


原油は気分で湧かんし、

LNG船は祈りで増えん。


日本の石油備蓄は、

約二五四日分あると言われる。


多いようで、

怖い数字じゃ。


二五四日「も」ある、ではない。

二五四日「しか」ない、でもある。


減り始めた数字は、

どこまで行っても

増えたことにはならん。


その時、一番弱いのは、

お金がない人間じゃない。


考えることをやめた人間じゃ。


■第三章

オーストラリアがあるから大丈夫、

という寝言


わしがいちばん腹が立つのは、

したり顔で

「代わりがある」

と言う人間じゃ。


オーストラリアがある。

マレーシアがある。

他から買えばええ。

長期契約があるから大丈夫。


それを聞くたび、

この国の平和ボケは、

もう骨まで来とると思う。


LNGはボタン一つで

湧いて出るもんじゃない。


輸出国にも事情がある。

港にも限界がある。

船にも限りがある。

受け入れ側にも都合がある。


しかも有事になったら、

どの国もまず自分の国を守る。


当たり前じゃ。


三十人の子どもが

腹を空かせとって、

パンが十枚しかなかったら、

きれいに分けようなんて

悠長な話にはならん。


先に取る。囲う。隠す。

高う売る。相手を疑う。

それが人間じゃ。


なのに、

この国は契約書さえあれば、

最後まで品物が届くと思っとる。


書類を信じすぎる。

紙を信じすぎる。

制度を信じすぎる。


わしは証券会社で長う働いた。

紙の約束が、

現物の不在に負ける瞬間を

何度も見てきた。


相場の世界じゃ、

最後はこうなる。


あると言われとったものが、

ない。

それだけで終わる。


お金があっても終わる。

信用があっても終わる。

理屈が合っとっても終わる。

足らんもんは足らんのじゃ。


しかも日本のLNGの約四割は、

オーストラリア由来じゃ。


一見すると頼もしゅう見える。

でも集中しとるいうことは、

そこが傷口になるいうことでもある。


サハリン2だって、

全体の約九%を支えとる。

九%いうのは、

平時には小そう見える。

有事には、

いきなり重さを持つ数字になる。


LNG価格も、

二〇二六年物のアジア向けでは

MMBtuあたり

一二・九五ドル前後まで

上がっとる。


数字だけなら、

たかが小数点に見える。


でもそれは、

電気代、肥料代、物流費、

食品の値札へ、

じわじわ染み込んでくる数字なんよ。


今のエネルギー危機は、

電気料金の問題じゃない。

ガス代の問題でもない。 


生活そのものの問題なんよ。


火が使えるか。

飯が炊けるか。

病院が回るか。

物流が動くか。

冷蔵が保てるか。

工場が止まらんか。


そこまで降りてきて初めて、

危機は人間の顔を持つ。


ニュースの数字だけ見よったら、

一生わからん。


■第四章 計画停電の前夜


電力会社の会見が増えた。


「厳しい需給状況」

「安定供給に全力」

「節電への協力をお願い」


こういう言葉が増えたら、

だいたい危ない。


ほんまに余裕がある時は、

余裕を説明する必要がない。


わしはノートを開いて、

停電した時に残すものを書き出した。


一、冷蔵庫はなるべく開けない

二、水は飲用優先

三、炊飯は朝のうち

四、スマホは昼に充電

五、風呂は毎日いらん

六、移動は自転車中心

七、食べ物は傷みやすい順

八、怒りを無駄に撒き散らさん


最後の一行を見て、

少し笑った。


でもほんまじゃ。

危機の時、

一番先に家を壊すのは

停電じゃない。


人間の苛立ちじゃ。


暑い。暗い。不便。

足らん。

思い通りにいかん。


その時に怒鳴り始めたら、

家の中は一気に壊れる。


世界が壊れ始める時に、

家庭まで壊したら終わりじゃ。


しかも、

もう世界の上の方では、

はっきりした数字で話が進んどる。


失われた原油供給は、

日量一一〇〇万バレル超。


失われたガス供給は、

一四〇〇億立方メートル。


一九七三年と一九七九年、

あの二つの石油危機を

合わせたより重い。


そんなことを

IEAのトップが口にしとる。


それでもまだ、

「電気がついとるから大丈夫」

と言える人間は、

現実を見とるんじゃない。

見んようにしとるだけじゃ。


わしは母のことを思い出した。

派手な人じゃなかった。


お金の話も、見栄の話も、

ほとんどせんかった。


あるもんで回す人だった。

捨てん人だった。

食べもんを粗末にせん人だった。


若い頃は、

そういう生き方を

貧しさだと思っとった。


違った。

あれは強さだったんよ。


お金がある時に

派手に使うのは簡単じゃ。


けれど、

足りん時に乱れん人間の方が、

ずっと強い。


そこに歳を取ってから

気づくとは、

わしもなかなか遅い。


■第五章


数字がしゃべり始める夜

ついに地域ごとの計画停電が始まった。


二時間。三時間…。

数字だけ見たら短い。


けれど生活は、

その二時間でいくらでも崩れる。


冷蔵庫が止まる。店が閉まる。

病院が身構える。給湯が怪しくなる。

配送が遅れる。信号が減る。


人が苛立つ。買い占めが走る。

SNSだけが元気に騒ぐ。


その時になっても、

まだ言う人間がおる。


「大したことない」

「騒ぎすぎ」

「すぐ戻る」


そういう人間を見るたび、

わしは思う。


この国は長いこと、

値段と便利さを

信仰しすぎたんじゃと。


安ければ正義。

速ければ正義。

多ければ正義。

楽なら正義。


そうやって、

本当に大事なもんを

後ろへ押しやってきた。


食べ物を残さん知恵。

少ない水で回す工夫。

人を怒鳴らん忍耐。

隣と分ける感覚。

暗さに慣れる感覚。

不便を受け入れる胆力。


そういうもんを、

全部「古い」と笑ってきた。


けれど、危機が来たら

最後に効くのは、

そういうものばかりじゃ。


お金では買えん。


電気が足らん夜、

わしは薄暗い台所で、

残りもんを見ながら飯を作った。


豪華じゃない。映えもしない。

ただの飯じゃ。 


でも、そのただの飯が

食えることが、

どれだけ大事か、

ようわかった。


人間が本当に守るべきものは、

だいたい小さい。


温い飯。明日の水。

怒鳴らん空気。

眠れる夜。

残りもんを分ける手。

誰かを待てる心。

そういうもんが残っとれば、

まだ負けとらん。


熊本大地震を体験して

わしゃそんなことを学んだ。


逆に、金があっても、

それを全部失うたら、

もう生活は死んどるんよ。


■第六章 金で買えんもの


停電が三日続いた頃、

数字はもうニュースの中だけに

おらんようになった。


一五・三%。

九五%。

一一%。

二五四日。

四億バレル。

一一〇〇万バレル。

一四〇〇億立方メートル…


最初は遠い数字だった。

机の上の数字だった。

評論家が口を

動かすための数字だった。


でも今は違う。

それが、冷蔵庫の音の消え方になり、

スーパーの棚の薄さになり、

ガソリンスタンドの空気になり、

家の中の沈黙になって現れ始めた。


この国は、

便利さを文明だと思い込みすぎた。


二十四時間明るい。

深夜でも買える。

翌日に届く。

すぐ温まる。

すぐ冷える。

すぐ捨てる。

すぐ買い直す。


それ全部が、細い海の上を

通ってくるエネルギーの上に

ぶら下がっとっただけなんよ。


豊かさいうのは、

強さとは限らん。


止まった時に弱さが見える

飾りだったんかもしれん。


その時、母の残した癖が

ようやく意味を持ち始めた。


輪ゴムを取っとくこと。

袋を捨てんこと。

残りもんを捨てんこと。

少ないもんで献立を回すこと。


怒っても

飯は作ること。


若い頃のわしには、

それが古くさく見えた。


今のわしには、

それが一番

未来的に見える。


■第七章 母が遺したもの


停電が始まってから、

わしは何度も母のことを

思い出した。


幼稚園の頃が一番楽しかった、

と母はよう言うとった。


そのあとは、

楽な人生じゃなかったはずだ。


苦労もした。

我慢もした。

思い通りにならんことだらけ

じゃったろう。


それでも、最後まで

暮らしを投げんかった。


あるもんで回す。

残りもんを生かす。

腹が立っても言い過ぎん。

足りんからこそ段取りする。


今になって思う。


あの人は、立派なことを

言わんかわりに、

生き方そのもので

教えとったんじゃろう。


ほんまに強い人間は、

大声で偉そうなことを言わん。


台所でわかる。

停電の夜にわかる。

不便になった時にわかる。


わしは仏壇の前に座って、

しばらく黙っとった。


母はもうおらん。


だけど、今のわしの中には、

母から受け取ったものが

確かに残っとる。


派手な教訓じゃない。


お金にもならん。

SNSでバズりもせん。


でも、いちばん役に立つ。

暮らしを壊さん力じゃ。


それさえ残っとれば、

世界が少々狂っても、

人間はまだ立てる。


■エピローグ 日常を守る者


朝が来た。


停電の時間表を見て、

水の量を見て、

冷蔵庫の中を見て、

今日使う順番を決める。


それだけのことを、

前より丁寧にやるようになった。


世界はまだ危ない。

エネルギーも足らん。

物流も細い。

政治も信用できん。

市場も荒れとる。


でも、わしは

ようやくわかった。


本当のサバイバルは、

特別な人間だけの

もんじゃない。


毎日の暮らしを、

一日ずつ壊さんように

守ること。


それがいちばん強い。


数字はもう十分しゃべっとる。


自給率一五・三%。

原油の九五%は中東。

LNGの一一%も中東。

備蓄は二五四日分。


世界では四億バレルが放たれ、

一一〇〇万バレル超の

 日量供給が失われ、

一四〇〇億立方メートルの

 ガスが消えた。


そこまで聞いてなお、

値札が少し落ち着いたぐらいで

安心するなら、

それは平常心じゃない。


ただの麻痺じゃ。


お金を追いかけるだけの時代は、

人間を弱うした。


便利さを追いかけるだけの社会は、

人間を浅うした。


けれど、

壊れかけた世界の中で

最後に立っとるのは、

たいてい派手な奴じゃない。


不便を受け入れ、

少ないもんを回し、

今日の飯を作り、

無駄に怒らず、

残りもんを生かし、

家の空気を荒らさん人間じゃ。


世界がどれだけ

お金の方を向いても、

人間が生きる場所は、


結局、

台所と食卓と眠る場所の

近くにしかない。


わしは窓を開けた。


春の光が入ってきた。

まだ電気はつく。

まだガスも出る。

まだ間に合う。


じゃけど、

もう遅いかもしれんと

思う者だけが、

本当はまだ間に合うんじゃろう。


わしは小さく息を吐いた。


そして、誰に言うでもなく

つぶやいた。


「今日も守るか。

 お金じゃ買えん、

 この日常を」

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