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『世界は、見つけすぎた。だから、人が消えた!』 ――世界は、宝物をすべて拾い上げた。なのに最後まで、「助けて」の声だけが届かなかった。――

✦『世界は、見つけすぎた。

  だから、人が消えた!』


――世界は、宝物をすべて拾い上げた。

 なのに最後まで、

 「助けて」の声だけが

 届かなかった。――


……


「おじいちゃん」


ゆづきが、

スマホを伏せた。


「AIってさ。


 人間を助けるために

 作ったんだよね?」


「そうじゃな」


「じゃあなんで、

 世界は前より

 怖くなってるん?」


僕は、

すぐには答えられなかった。


ブラジルの村では、

赤土のグラウンドで、


蹴ったボールが、

スマホを通って

全国のスカウトへ届く。


胸に貼った小さなセンサーは、

老人が倒れる前に、

体の奥の熱を知らせる。


ドローンは空から、

サッカー選手11人の

孤独を見つける。


地震は、

国が何十年も見ないふりをした

弱い柱を一瞬で暴く。


選挙は、

人々が胸の奥にしまっていた怒りを、

投票箱の中から掘り出す。


AIは、

才能を見つけた。


センサーは、

危険を見つけた。


世界は、

前よりたくさんのものを

見つけられるようになった。


なのに。


全国342位になった少年を、

次の練習場へ連れていく

人はいるのか?


熱が上がった老人の部屋へ、

水を持って行く人はいるのか?


瓦礫の下で名前を呼ぶ人へ、

誰が手を伸ばすのか?


見つける技術だけが、

猛スピードで進んだ。


助ける仕組みだけが、

まだ昔のままだった。


………


★目次


■第1章 

 村のグラウンドが、

 入団テスト会場になった日


■第2章 

 16万回ダウンロードされた

 「次のネイマール」


■第3章 

 AIは才能ではなく、

 映像になった才能を拾う


■第4章 

 ドローンは

 11人の孤独を上から見ていた


■第5章 

 胸に貼るだけで、

 体の中の熱を読む


■第6章 

 老人は

 暑いと感じる前に倒れる


■第7章 

 センサーは命を守るか、

 労働を監視するか


■第8章 

 39秒差で来た、二つの地震


■第9章 

 1981年の柱が、

 2026年の命を守る


■第10章 

 790万人が国境を越えた時、

 選挙は変わった


■第11章 

 人々は右を選んだのではない


■第12章 

 巨大刑務所は、

 夜道を明るくするのか


■第13章 

 中国は港を作り、

 世界は契約書を見始めた


■第14章 

 5100億ドルの二股外交


■第15章 

 世界は、見つけすぎた


………


■第1章 

 村のグラウンドが、

 入団テスト会場になった日


ブラジル北東部。


赤土のグラウンドで、

十八歳の少年が、

ボールを蹴っていた。


芝はない。


ゴールネットも、

片方は破れていた。


スマホを持った妹が、

少し離れた場所に立つ。


「お兄ちゃん、

 もう一回やる?」


「頼む」


少年は汗をぬぐった。


アプリに出された課題は、


ドリブル、

切り返し、

ボールコントロール、

短距離走。


動画を撮って、

送るだけだった。


昔なら、スカウトが

来る町ではなかった。


クラブのセレクションへ行くには、

バスを何本も乗り継ぎ、

都市まで何時間もかかる。


交通費だけで、

家計が傾く。


だけど今は、

スマホが一台あれば、


村のグラウンドが、

全国の入団テスト会場になる。


「すごいじゃん」


ゆづきが言った。


「昔は都会へ行かんと、

 才能が見つからんかったんよね」


「そうじゃな」


僕は答えた。


「今は才能の方が、

 スマホで都会へ行く」


少年の画面には、

全国順位が出た。


三百四十二位。


それでも少年は笑った。


昨日まで、彼の才能は

村の外に存在しなかった。


今日からは、

三百四十二位として、

世界に存在する。


数字は残酷だった。


でも数字は、

入口でもあった。


………


■第2章 

 16万回ダウンロードされた

 「次のネイマール」


ブラジルの

AIサッカー発掘アプリは、

約16万回ダウンロードされたという。


16万人。


16万人の少年少女が、


「俺も」

「私も」

「一回だけでも見てほしい」


と動画を送った。


これは単なるアプリではない。


地方格差の大きい国で、

スカウトが行けない場所へ、

小さな窓を作った装置だった。


「でも、16万人もおったら、

 ほとんどの子は落ちるじゃろ?」


僕は言った。


ゆづきは、

少し黙った。


「でも昔は、落ちる前に、

 応募する場所すら

 なかったんじゃない?」


その言葉に、

僕は驚いた。


落ちることは苦しい。


でも、

入口がある苦しさと、

入口すらない苦しさは違う。


AIは夢を叶えない。


ただ、

夢の受付番号だけは、

地方の子にも配り始めた。


………


■第3章 

 AIは才能ではなく、

 映像になった才能を拾う


アプリは、

決められた課題を出す。


走れ。


切り返せ。


止めろ。


蹴れ。


映像を送れ。


AIは、

速さを測る。


動きを測る。


正確さを測る。


でも。


AIが測れるものと、

人間が測るべきものは違う。


試合の最後の五分。


味方が疲れて、

全員が下を向いた時。


誰が声を出すか?


誰が走るか?


誰が、

誰にも見えない場所で、

仲間の穴を埋めるか?


それは、

短い課題動画には映りにくい。


「おじいちゃんも、

 証券会社でもそうだった?」


ゆづきが言った。


「何がじゃ」


「数字では一番でも、

 お客さんを大事にせん人とか…」


僕は苦笑した。


「おったなあ…(悲)」


売上だけ高い。


でも、

相手の人生を見ていない。


数字は立派。


人間は空っぽ。


AIスカウトも、

就活AIも、

営業AIも同じじゃ。


AIが拾うのは、

まず映像になった才能。


最後に人間が見るべきなのは、

映像にならなかった人格じゃ。


………


■第4章 

 ドローンは

 11人の孤独を上から見ていた


サッカーは、

一人の天才だけでは勝てない。


1チームは11人。


昔の監督は、

ピッチの横で叫んだ。


「そこ行け!」


「戻れ!」


「誰か見ろ!」


でもドローンは、

空から見ている。


誰が走れていないか。


誰が孤立しているか。


どこに守備の穴が開いたか。


誰がボールを持たないまま、

仲間のためにスペースを作ったか。


「ドローンって、

 監視カメラみたいで

 嫌じゃない?」


ゆづきが言った。


「使い方によるな…」


僕は答えた。


「怒鳴るために使うなら、

 ただの監視じゃ。


 でも、孤立しとる選手を

 見つけるためなら、

 助ける目になる」


AIは、

上から人を見る。


だから怖い。


でも人間は、

見落とす。


だからAIが必要になる。


問題は、

AIの目が厳しいかではない。


その目を持つ人間が、

優しいかどうかじゃ。


………


■第5章 

 胸に貼るだけで、

 体の中の熱を読む


スイスの会社が作った、

小さなセンサーがある。


重さは、

およそ12グラム。


大きさは、

だいたい4センチ×5センチ。


胸元に付ける。


肌の温度と、

体から逃げる熱の流れを読み、

体の芯の温度を推定する。


昔なら、

深部体温を知るには、

温度カプセルを

飲み込む必要があった。


今は、

貼るだけ。


ツール・ド・フランスのような、

炎天下を何時間も走る競技で、

使われている。


「自転車選手って、

 身体の中まで

 データにされるんじゃな…」


「そうじゃな」


「なんか、

 人間が冷蔵庫みたい」


「冷蔵庫なら、

 開けっ放しになったら

 ピーピー鳴るじゃろ」


「おじいちゃんも、

 夏にピーピー鳴ればええのに」


「もう鳴っとる。

 嫁さんに怒られる音が…」


人間は、

暑くなってから気づく。


でも熱中症は、

気づいた時には遅いことがある。


だからセンサーは、

「倒れてから測る」から、

「倒れる前に知らせる」へ、

医療の順番を変えようとしている。


………


■第6章 

 老人は暑いと感じる前に倒れる


WHOによれば、

高齢者の熱関連死亡は、

2000年代前半と2017〜2021年を比べ、

約85%増えた。


+85%。


これは暑さが、

ただの夏の風物詩ではなくなった

数字じゃ。


「喉が渇いてから飲めばいい」


昔はそう思っていた。


でも高齢者は、

喉の渇きに気づきにくい。


子どもも、

遊びに夢中になると気づかない。


工事現場の人も、

仕事を止めにくい。


農家も、

畑を途中で離れにくい。


だから未来のセンサーは、

ただ体温を測るだけでは足りない。


「今日は危ない」


「水だけでは足りない」


「涼しい場所へ移動してください」


「家族へ通知しました」


そこまで言って、

初めて命を守る装置になる。


「怖いね」


ゆづきが言った。


「何がじゃ」


「自分の体より、

 機械の方が先に

 自分の限界を知ること」


僕は、

少し考えた。


「でもな。


 人間が自分を守れん日には、

 機械に言ってもらうのも

 悪くないかもしれん」


………


■第7章 

 センサーは命を守るか、

 労働を監視するか


ただし。


便利な技術には、

必ず裏側がある。


会社がセンサーを使う。


作業員の熱を守るため。


それはいい。


でもある日、

会社はこう言うかもしれない。


「まだ危険温度ではありません。

 休憩は終わりです」


「あなたは他の人より

 熱が上がりにくいので、

 もう一時間働けます」


その瞬間。


命を守るセンサーは、

人間を搾るメーターになる。


「AIって、

 結局使う人次第なんじゃな」


ゆづきが言った。


「包丁と同じじゃ」


「またおじいちゃん、

 何でも包丁にたとえる…」


「包丁は野菜も切れる。

 人間関係も切れる」


「人間は

 切ったらだめじゃろ!」


未来の争点は、

センサーの精度ではない。


データは誰のものか。


本人のものか。


会社のものか。


保険会社のものか。


国家のものか。


そこを決めないと、

便利はすぐ監視に変わる。


………


■第8章 

 39秒差で来た、二つの地震


ベネズエラで、

大きな地震が起きた。


マグニチュード7.2。


その39秒後に、

マグニチュード7.5。


39秒。


一度目で逃げようとした人に、

二度目が追いかけてきた。


建物は、

同じように見えても違った。


ある場所は立った。


ある場所は崩れた。


隣同士の建物でも、

運命が違った。


「地震って、

 公平じゃないね」


ゆづきが言った。


「そうじゃな」


「同じ揺れでも、

 助かる家と、

 助からん家がある」


「だから地震は、

 自然災害じゃが、

 半分は人間災害なんじゃ」


どんな地盤に建てたか?


どんな柱を入れたか?


検査をしたか?


古い建物を直したか?


救助の機械を持っていたか?


地震は、

国の通信簿を、

瓦礫の上に出してしまう。


………


■第9章 

 1981年の柱が、

 2026年の命を守る


日本には、

1981年という数字がある。


新耐震基準が、

大きく変わった年じゃ。


地震で壊れた建物を見た。


なぜ壊れたかを調べた。


柱を太くした。


壁を増やした。


接合部を強くした。


そして次の地震へ備えた。


日本のすごさは、

地震が来ないことではない。


地震が来るたびに、

次の設計図を直してきたことじゃ。


「地震に勝つ国って、

 すごい建物を

 作る国じゃないんじゃな」


ゆづきが言った。


「そうじゃ」


「壊れた理由を、

 忘れん国じゃ」


僕はうなずいた。


防災は、

ヒーローの仕事ではない。


派手な新技術だけでもない。


古い学校の壁を補強する。


避難所のトイレを直す。


水を備える。


消防車が通れる道を残す。


地味な仕事の積み重ねじゃ。


世界が日本から学ぶなら、

免震装置だけではない。


«失敗を、

次の建築基準へ戻す力。»


そこじゃ。


………


■第10章 

 790万人が国境を越えた時、

 選挙は変わった


ベネズエラから国外へ出た人は、

約790万人。


790万人。


日本なら、

北海道の人口を超える人が、

国境を越えたような規模じゃ。


人々は、

食べ物を探して移動した。


薬を探して移動した。


仕事を探して移動した。


子どもを守るために移動した。


しかし受け入れた周辺国では、

学校が足りなくなる。


病院が混む。


家賃が上がる。


仕事の競争が起きる。


そして政治家は言う。


「国境を守る」


「犯罪を止める」


「自国民を優先する」


この言葉が、

選挙で強くなる。


でも。


移民をまとめて犯罪者にしたら、

現実を見失う。


治安悪化には、

麻薬組織もいる。


汚職もいる。


失業もいる。


警察の弱さもいる。


移民だけを悪者にする政治は、

問題を

一人の顔に押しつけるだけじゃ。


「でも困っとる人は、

 誰かを悪者にしたくなるよね」


ゆづきが言った。


「人間は不安になると、

 原因を一人にしたがる」


「その方が楽だから?」


「そうじゃ。

 でも楽な答えほど、

 後で国を壊す」


………


■第11章 

 人々は右を選んだのではない


中南米では、

治安強硬派や右派の政治家が、

勢いを増している。


巨大刑務所を作る!


国境を強化する!


軍と警察を強くする!


麻薬組織を一斉に捕まえる!


人々が選んだのは、

右なのか。


左なのか。


僕は違うと思う。


人々は、

夜道を歩ける国を選んだ。


子どもが恐喝されない国を選んだ。


店を開けても、

脅されない国を選んだ。


それがたまたま、

右派の言葉で売られた。


「じゃあ、

 治安を良くするのは

 正しいんじゃない?」


ゆづきが言った。


「正しい」


「でも?」


「でも、

 治安を良くすることと、

 何でも逮捕できる国にすることは

 違うじゃろ…」


警察が強いことと、

裁判が弱いことは別じゃ。


犯罪者を捕まえることと、

反対意見を黙らせることは別じゃ。


本当に強い国は、


«治安を守る。

そして、

権力を監視する。»


この二つを、

同時にやる。


………


■第12章 

 巨大刑務所は、

 夜道を明るくするのか


巨大刑務所は、

分かりやすい。


ニュース映えする。


鉄格子。


坊主頭。


何万人もの収容者。


大統領が言う。


「犯罪者を閉じ込めた。

 これで国民は安全だ!」


人々は拍手する。


実際、

治安が良くなったと感じる人もいる。


夜道を歩けるようになった。


恐喝が減った。


子どもを外で遊ばせられる。


それは軽く扱えない。


でも。


牢屋の扉は、

最初は犯罪者のためにある。


次に、

間違って捕まった人へ向く。


その次に、

政権を批判した人へ向く。


その次に、ただ貧しくて、

声が小さい人へ向く。


「じゃあ、

 どうすればいいん?」


ゆづきが聞いた。


「難しいな」


僕は答えた。


「牢屋を作るなら、

 同じくらい強い裁判所も作る!」


「警察を増やすなら、

 警察を見る目も増やす!」


「監視カメラを増やすなら、

 誰が映像を見るかも決める!」


自由だけでは、

人を守れないことがある。


でも安全だけでも、

人を守れない。


そこが、

今の世界の一番難しい問題じゃ。


………


■第13章 

 中国は港を作り、

 世界は契約書を見始めた


中国は、

世界中に港を作った。


道路を作った。


鉄道を作った。


鉱山へ入った。


通信をつないだ。


中国と中南米・カリブ地域の貿易は、

2024年に約5100億ドル。


5100億ドル。


日本円にしたら、

もう笑うしかない規模じゃ。


「中国って、

 世界中に金をばらまいとるん?」


ゆづきが言った。


「昔はそう見えた」


僕は答えた。


「でも今は、

 みんなが契約書を見始めた」


その港は誰のものか?


借金は返せるのか?


雇用は地元に残るのか?


鉱物を掘った後、

土地はどうなるのか?


通信機器は安全なのか?


昔は、

道路ができれば拍手だった。


今は道路の下に、

何が埋まっているかまで、

国民が見始めた。


………


■第14章 

 5100億ドルの二股外交


中南米の大統領が、

アメリカ寄りになっても。


中国との商売を、

すぐ止められるわけではない。


大豆。


銅。


鉄鉱石。


石油。


リチウム。


EV。


太陽光。


港。


アメリカは言う。


「中国から離れろ!」


中国は言う。


「商売は続けよう!」


中南米は、

二股になる。


治安と軍事はアメリカ。


商売と資源は中国。


「なんか、

 友達同士のケンカみたい」


ゆづきが言った。


「世界の政治は、

 だいたい

 巨大な友達同士のケンカじゃ」


「規模がでかすぎるわ」


「ケンカ代を払うのは、

 いつも普通の人じゃ」


港の契約が変わる。


鉱山の持ち主が変わる。


工場が来る。


工場が去る。


そのたびに、

地方の若者の仕事が変わる。


世界地図は、

国境線で動くのではない。


港と工場と雇用で動く。


………


■第15章 

 世界は、見つけすぎた


AIは、

村の少年を見つけた。


センサーは、

老人の危険な熱を見つけた。


ドローンは、

ピッチで孤立した選手を見つけた。


地震は、

弱い建物を見つけた。


選挙は、

人々の怒りを見つけた。


中国は、

港の値札を見つけた。


世界は、

見つけすぎた。


だけど。


少年が全国順位で

三百四十二位になった後、

誰が次の練習場へ

連れていくのか?


老人の体温が危険域に近づいた時、

誰がエアコンを入れ、

水を持っていくのか?


地震で家が崩れた時、

誰が瓦礫をどけるのか?


治安が悪くなった時、

誰が犯罪者と、

ただ困っている人を

分けて考えるのか?


AIは見つける。


センサーは知らせる。


ドローンは記録する。


でも。


助けるのは、

まだ人間じゃ。


「おじいちゃん」


ゆづきが、

スマホを伏せた。


「世界って、

 便利になったんじゃなくて」


少し考えてから言った。


「見えなかったものが、

 見えるようになっただけなんかな」


僕は、

笑った。


「そうかもしれん」


「じゃあ次は?」


「次は、

 見えた人を放っておかん世界を

 作る番じゃ」


外では、

夏の風が鳴っていた。


スマホの画面には、

ブラジルの少年が映っていた。


赤土のグラウンド。


破れたゴールネット。


何度も撮り直した、

短い動画。


画面の隅に、

全国順位が出ていた。


三百四十二位。


でも少年は、

下を向いていなかった。


彼は、

次の動画を撮るために、

またボールを置いた。


……


❥Z世代のあなたへ


AIに点数をつけられる時代は、

ちょっと怖い。


就活も。


学校も。


SNSも。


ゲームも。


運動も。


「何位か」

「何点か」

「伸びているか」


ばかり聞かれる。


でも覚えておいてほしい。


AIが測れるのは、

映像になった部分だけじゃ。


人を助けた時の優しさ。


失敗しても続ける粘り。


誰も見ていない場所での努力。


仲間を置いて行かない強さ。


それは、

数字にしにくい。


でも人生では、

そっちの方が大事になることがある。


世界は今、

見つける技術ばかり進んでいる。


だから次の世代の仕事は、


«見つかった人を、

ちゃんと救う仕組みを作ること。»


じゃと思う。


……


★ホームズとワトソンの、

 やすきよ漫才風あとがき


ホームズ

「ワトソン君。

 AIが世界中の才能を

 発掘する時代になった」


ワトソン

「すごいですね。

 僕も発掘されますかね」


ホームズ

「何の才能があるんだね」


ワトソン

「冷蔵庫の前で、

 三十分考えて、

 結局何も食べない才能です」


ホームズ

「それは発掘ではない。

 餓死寸前の行動観察だ」


ワトソン

「じゃあ

 体温センサー貼ります」


ホームズ

「何のために?」


ワトソン

「冷蔵庫の前で悩みすぎて、

 体の芯まで冷えた時に

 知らせてもらいます」


ホームズ

「君は熱中症より、

 優柔不断症を治しなさい」


ワトソン

「でも

 世界も似たようなもんですよ。


 AIで才能を探す。

 地震で弱い国を探す。

 選挙で怒った人を探す。


 探すばっかりで、

 助け方を決めとらん」


ホームズ

「……珍しく正しいな」


ワトソン

「褒められた!

 全国ランキング何位ですか?」


ホームズ

「三百四十二位だ」


ワトソン

「ブラジルの少年と同じじゃ!」


ホームズ

「だが彼は次の練習を始めた。

 君は?」


ワトソン

「わしは、

 冷蔵庫を開けます(笑)」


ホームズ

「まず水を飲め!」


………


――世界は、見つけすぎた。


 だから次は、

 見つけた人を

 置いていかない番だ。――

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