やっぱり乙女!
ピザ窯ではヒロインであるマーガレットとカミュ第二王子と遭遇し、思わずイライラと不安は募ったが。ピザを窯に入れると、ピザはものの数分で焼けてしまう。
焼きあがったピザを持ち、マーガレットとカミュ第二王子は自身のクラスに、チームへと戻ったので、事なきを得たと思う。
とはいえ、去り際に、マーガレットがリアスに手を振った点。カミュ第二王子がじっと私を見た点は気になった。しかし自分達のピザが焼け、席に戻り、チームで食べ始めると、これまで通り。
そう。
そもそも学院でマーガレットとカミュ第二王子とは接点がなかった。クラスも違うし、時間割も違うわけで、関わることはない。
そう安堵していたが……。
「午後は白樺の森を散策……。散策と言っても自由なようで自由ではないよ。白樺の木に掲示板が設置されていて、そこに問題が出題されている。これを解く必要がある」
配布されたしおりを見て、リアスが教えてくれたが、まさにその通り。
昼食後、男女チームのペアで、白樺の森を散策することになっていた。それは昼食も一緒だったリアス、アンバー、セーブルの男子チームと、私と伯爵令嬢と子爵令嬢の女子チームで動くことになっている。そしてしおりには五つの問題に回答するよう指示が書かれており、地図上でその問題が出題されている場所が示されていた。
「腹ごしらえはできましたし、早速、白樺の森へ向かいますか?」
アンバーの声がけに異論はなく「そうしよう」となる。
こうして白樺の森へと向かうことになった。
森の中へ入ると、舗装はされていないが、皆が踏みめることで出来た道が続いている。基本的にこれに沿い、迷う場所にある標識を見て、進んで行くことになる。そしてその道は、道幅が広いわけではないので、自然と二人で並んで歩き出すことになった。
セーブルとローレル子爵令嬢、アンバーとルアンヌ伯爵令嬢、そしてリアスと私だ。
「……ピザ窯のところで、カミュ第二王子殿下に話しかけられていたよね。アドリアナは特に殿下と接点があるわけではないと思っていたから……少し驚いたよ」
「それは私も同じよ。殿下と会ったのは、リアスに会ったあの日だけよ。ほら、お茶会の日」
「ああ、あの日か。そうか。それなのにアドリアナのこと、カミュ第二王子殿下はしっかり覚えていたんだね」
それについては私がいろいろ暴れたわけで……その辺り、リアスには話したことがなかったので、ここで改めて話すことになった。
「アドリアナ……! その“ひっつき虫”と呼ばれるオナモミ、とても気になるよ。それに何でまたそれを投げたりしたの!?」
「なぜかと問われると困るわ。……いわゆる子どもの悪戯よ。悪戯する子どもに動機を聞いても、意味がないわよね? なんとなく面白そうだったから、とか、ただ楽しいと思ったから……とか、いまいちな答えしか返ってこない。それと同じよ」
それを聞いたリアスは何とも言えない表情になる。
「どうしたの、リアス?」
「ちょっとだけ、カミュ第二王子殿下に嫉妬しちゃった」
「!? どうして、なんで!?」
理解不可能だったので問うと、リアスはこんな可愛い答えを口にする。
「だって……僕はアドリアナに悪戯なんてされたことがないから」
「! リアス、私に悪戯されたかったの……?」
「別にされたいわけじゃないよ。ただ……カミュ第二王子殿下に悪戯するなら、僕にもして欲しい……」
(されたいわけではないと言いつつ、僕にもして欲しいと伏し目がちになるリアスは……。愛い! なんて可愛いのかしら! そしてやっぱりリアスは乙女ね)
「分かったわ、リアス。私、悪戯をするような年齢はとっくに卒業したつもりだったけど……。リアスに悪戯してあげる」
「本当!」
(ここで瞳をキラキラさせるリアスは、やっぱりたまらなく乙女で可愛いわ! しかも悪戯されることを喜ぶなんて!)
「あ、一つ目の問題が掲示されています」
アンバーの言葉に、彼の周りに全員が集まる。
『白樺の木の樹液は何と呼ばれているか?
1)Birch extract
2)Birch liquid
3)Birch Sap 』
「どんな難問が出題されているかと思ったら、簡単じゃないか。これは2)だろう?」とセーブルが言うと、「違うと思う」とリアス。
「Birch liquidだと加工したものになる。白樺の樹液100%ではない、化粧水にした白樺樹液をさす言葉だと思う。そのまま樹液を示すSapの3)が正解かと」
ちょっとしたひっかけ問題だったが、リアスはあっさり見抜いている。さらりと正解を言い当てるリアスに……。
「アドリアナ、どうしたの?」
「ううん、何でもない。私も3)が正解だと思うから、しおりの解答欄には3)を記載して、次へ行きましょう!」
リアスにキュンキュンしていることは、私だけの秘密だった。
お読みいただき、ありがとうございます!
これを書いたことで無性にピザが食べたくなりました……!
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