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輝く太陽に祈りをこめて  作者: Sen
運命の文化祭
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来訪者

 とうとう訪れた文化祭一日目。私たちのクラスはすべての準備を予定通りに終わらせ、万全の体制で来客を待ち構えていた。


 スタートダッシュが大切ということで、最初の一時間半はメインウェイター五人全員がシフトに入っている。


 ロールプレイの練習で彼方と少し気まずい雰囲気になったけど、一週間経ったおかげですっかり元に戻っていた。告白は二日目の後夜祭の時にしようと思っていたから、あの時はなんとか誤魔化せてよかった。


 自分から誘っておいて雰囲気に呑まれてしまうなんて、情けない話だ。


 そんな反省はひとまず置いて、今は仕事に専念しよう。そう考えていたら、とうとうお店の扉が開かれた。


『いらっしゃいませ』


 声を揃えて記念すべきお客さま第一号を出迎える。すると、お客さま第一号は大きく目を見開き、その後ろの人たちもどよめいた。


「ウェイターの子たち可愛すぎだろ!」

「店内の完成度たけぇ」

「海香ちゃん目当てで来たけど、他の子達もすげぇ可愛い」

「もしかしてあの狩人って彼方ちゃん? かっこよすぎるんだけど……」


 生徒たちも外部から来た人たちも次々に褒め言葉を投げかけてくる。どうやら掴みは大成功のようだ。


『それじゃあ、順番に案内するね』


 最初は私が、そして彼方や海香ちゃんもお客さんをテーブルに案内していく。次々とお客さんをさばいていったけど、評判も同時に広がっていったらしく、お客さんが全然途切れない。


『はい、森の恵ゼリーですね』

「赤ずきんさーん、お願いしまーす」

『うん。ちょっと待っててね』


 集中力を切らさずロールプレイを続け、キッチンにオーダーを伝える。まだまだお客さんは入ってくるので、次のお客さんの案内に向かうと、そこで顔見知りと出会った。


「よぉす、女神ちゃん」

「久しぶり、美鈴ちゃん」

「三原さんに鳳さん、来てくれたんだ」


 教室の扉の前で、三原さんと鳳さんが仲良く手を繋いでいた。


「姫野さんと木野さんは居ないんですね」

「折角のデートだからねぇ。二人きりで行ってきなぁって」

「うん、気を遣ってくれたんだ」


 相変わらず仲良しな四人らしい。恋人である二人に気を遣えるなんて素敵な関係だ。


「それよりぃ、はやく噂の可愛い接客が見たいなぁ」

「あっ、そうだね。コホン」


 知り合いに会ってつい気が抜けてしまった。一度咳払いをして気を取り直す。二人を見つめて、練習した通りの接客をはじめた。


『ごめんなさい、待たせちゃった。すぐに案内するね』


 二人に控えめな笑顔を見せて、席に案内する。二人はもう注文を決めていたらしく、すぐに私にオーダーを伝えてくれた。


「妖精のケーキとフラワーティーで」

「私は幸せパンケーキとブラックコーヒーで」

『はい、かしこまりました』


 そのまま席を離れてオーダーを伝えようとした時だった。


「女神ちゃん、もっと可愛いとこ見せて欲しいなぁ」

「え?」


 まさかの無茶振りに、つい素の状態で返答してしまった。三原さんがニヤニヤしているのを見るに、面白がって揶揄っているみたいだ。


「ちょっと咲希ちゃん、迷惑かけちゃダメだって」

「まぁまぁ、折角だしさ。ね? 女神ちゃん」

「えっと……」


 可愛いところを見せて欲しいか、リクエストには応えたいけど今はお客さんをさばくので手一杯だ。


 どうしたものかと困っていたら、横から私を庇うように彼方が前に出てきた。


『あまり、お嬢さんを困らせないでくれないかい』


 狩人のロールプレイをしているものの、目は怒っていて三原さんを睨みつけている。


「およぉ、赤ずきんに狩人とは壮観だねぇ」


 三原さんが満面の笑みでおおげさにそう言うと、周囲の視線が私たちに集まった。すると三原さんは私達にウインクをした。


 そこでようやく、私と彼方は彼女の意図に気がついた。私達は目を合わせ、ロールプレイを開始した。


『狩人さん、助けてくれてありがとう』

『構わないさ。お嬢さんが無事でよかったよ』

『ふふっ、かっこよかったよ』

『お嬢さんのそんな笑顔が見られるなら、俺はいつだって駆けつけるさ』


 セリフを言い終えて彼方が私の手をとった。それに私が笑顔で応えると、周囲から拍手が湧き起こった。


「やばい! めっちゃ尊い!」

「いいもん見られたな」


 お客さんみんなが私たちのロールプレイに満足してくれたらしく、私たちもようやくメルヘンカフェらしいことができたと安心した。


 三原さんは仕事ばかりでロールプレイができていない私達を見かねて、わざとトラブルを起こして大義名分を与えてくれたのだ。


「ありがとう、三原さん」

「さてぇ、なんのことかなぁ?」


 とぼける三原さんに感謝を伝えて、私は今度こそ三原さん達のオーダーをキッチンに伝えに向かった。


『ほいよ、俺がいくよー』


 今度は彼方がお客さんを案内に向かう。彼方の次のお客さんは私が行こうと思っていた時だった。


「おっ、彼方じゃん!」

「えっ、芹香せりか!?」

「ひっさしぶりー!」


 彼方と親しげに話す金髪の少女が、彼方に満面の笑みで抱きついた。それですら私には衝撃が大きかったのに。


「ほんと久しぶりだなぁ!」


 彼方が嬉しそうにその来訪者を抱きしめ返したのを見て、私の頭は真っ白になった。

ブクマと評価よろしくお願いします。

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