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輝く太陽に祈りをこめて  作者: Sen
太陽は揺れる
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恋のふわふわ

 まだ頭の中がふわふわする。彼方とのデート、楽しかったな。頑張って手を繋いでアピールしたけどそこで限界で、結局彼方の顔を見れないまま一緒に歩いた。今思えばあまりにも不自然に顔を逸らしてて、彼方に変に思われてないかな。


 そんな不安もあるけど、今の私は幸せでいっぱいだ。自室のベッドの上でぬいぐるみを抱きしめて今日のことを何回も思い返している。


「くうぅ……」


 思いきっておしゃれして、彼方に可愛いって言われた。慣れないことをして不安だったけど、頑張ってよかった。電車に乗ってる間じっと見つめられたのは恥ずかしかったけど。


 頑張って調べた魚の話も楽しそうに聞いてくれた。彼方って泳ぐのも得意なんだな。いつか一緒に海に行ったら泳ぎ方教えてもらおうかな。


 私の水着姿も見たいって言ってくれた。ちょっと大胆かなと思ったけど、彼方が見たいって言ってくれたなら可愛い水着も買わないとな。


 手を繋ごうって提案も優しく受け入れてくれた。テニスで鍛えられた逞しい手が彼方らしくて好きだって言葉が漏れてしまった。私の手を包み込んでくれるカッコいい手にずっとドキドキしっぱなしだった。


 明日は月曜日。だけど来週からは夏休み。目前に迫ったインターハイのために彼方も心を引き締めて練習に臨むだろう。だから私はいつまでもふわふわしてるわけにはいかない。


 明日も早起きして彼方のお弁当を作って、マネージャーとして彼方のサポートしっかりしないと。


 そう決意しながらも、それはそれとして寝落ちするまでずっと今日のデートを思い出して幸せで悶えていた。


 ○○○


 月曜日の放課後練習。インターハイ出場メンバーを中心とした練習メニューで、普段の数倍厳しくなっていた。けれどさすがインターハイ出場メンバー、疲れた顔を見せながらもちゃんとついて行ってる。


 そしてようやく最後のメニューの練習試合。最初に試合をした委員長がぜぇぜぇと息を切らして私の隣に座った。


「お疲れ様」

「ホントだよ……これがインターハイまで続くのかぁ」


 補欠とはいえ団体戦のメンバーである委員長もこの練習で特にしごかれていた。いつもなら練習終わりに海香ちゃんに癒してもらうけど、今日は仕事でいないからグロッキーなままちびちびとスポーツドリンクを飲んでいる。


「私達マネージャーがしっかりサポートするから、最後まで頑張ってね」

「まぁ、そうだね。他の三年生押し退けて試合に出てるからには先輩の分まで頑張らないと」


 うちのテニス部は完全に実力主義。学年なんて関係なく強い人が試合に出る。彼方は一年生から、委員長は二年生からレギュラーに入っている。


 学校によっては面倒な事が起きそうだけど、うちの先輩達はみんな優しい人で、高校最後の大会になる自分達を押し退けてレギュラーになった後輩にも全力でサポートしている。


 そんなスポーツマンらしい環境があるからうちのテニス部はこんなに強いんだろうな。


 そんなことを考えていたら彼方の練習試合が始まった。コートを縦横無尽に駆け巡り、相手を圧倒している。その見事な動きから、監督も感心したようにうんうんと頷いている。


「今日の彼方、調子いいね」


 ポツリと委員長が一言漏らした。


「美鈴との息抜きが効いてるね」


 そして今度は私の方を向いてハッキリと伝えた。委員長の言葉で昨日のことが思い出されて、ボンっと顔が爆発した。


「どうしたの?」


 急に手で顔を覆って俯いた私が気になったのか、委員長が曇りなき眼で覗いてきた。委員長のことだし悪意はないのだろうけど、今の私にその言葉は効きすぎる。


「体調が悪いなら保健室に……」

「いや! なんでもないよ!」


 精一杯の強がりをして勢いよく立ち上がり、私は委員長を相手その場から立ち去った。


 ダメだダメだ。彼方達は真剣なんだから、恋愛にうつつを抜かしてないでマネージャーとしてみんなを支えないと。


 一旦お手洗いに退散した私は、洗面台でバッと顔を洗って改めて気を引き締めた。

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