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輝く太陽に祈りをこめて  作者: Sen
太陽は揺れる
18/53

 ギラギラと太陽は容赦なく照りつける。いつも使ってるものとは比べものらならないほど整備されたコートの周りからは、私が体験したことがないくらいの歓声が聞こえてくる。


 舞台はインターハイ準々決勝。ここで勝てばベスト4進出に加え、準決勝で坂田先輩と戦うことになる。


 そこで私はかつて無い絶望と相対していた。


 心が折れるのはもう三原さんとの試合で体験した。そこで心が折れれば勝てる試合も勝てなくなると知った。だから、私は私のベストを尽くすために心を折らずに戦い続けている。


 でも、届かない。届く気がしなかった。


 がむしゃらに走ってもボールに追いつけない。全力で打ったサーブも簡単に返される。動きは完全に読まれて何度も裏をかかれる。なんとか食らいついて放ったスマッシュも、相手はいとも簡単に追いついてみせた。


 絶望して諦めようとしていた三原さんとの試合とは違う。私はこの試合で一度も諦めようなんて思わなかった。ずっと全力でプレイしたし、出来ることは全部やった。


 でも、届かなかった。


 足が痛む。心臓がうるさい。耳鳴りがする。呼吸すら苦しい。視界が定まらない。意識が朦朧とする。


 大好きなテニスを初めて苦しいって思った。だけど、私の心は折れなかった。


 だって、美鈴が応援してくれてたから。


 私を信じてずっと声を張り上げてくれてた。何もできずにベンチに戻って来る私を何度も励ましてくれた。


 その度に力が湧いてきて、同時にひどく罪悪感も湧いてきた。


 今日のために美鈴は私を支え続けてくれたのに、私は何もできずに点を取られ続けるだけ。己の無力をこれほど感じたことも、恨んだこともない。


 そして、足掻き続けた私にとうとうその時がやってきた。


 私の返球が甘くなる。相手はそれを見逃さず、容赦なく鋭いスマッシュを放った。私は腕を伸ばしたけど、それがボールに届くことはなかった。


 ゲームセット。審判がそう言った瞬間、私の体は糸が切れたようにコートの上に倒れ伏した。朦朧とする意識の中、いろんな声が聞こえて来る。


 戦い抜いた私を讃えるチームメイトの声。試合中にボロボロだった私を見て待機させていた医療スタッフに向かって叫ぶ監督の声。準決勝進出を決めたことを喜ぶ相手チームの声。担架を抱えて私の容態を確認する医療スタッフの声。


 その中で私は一番聞きたい声を探していた。でも、全く聞こえなかった。何が起きているのか分からなくて、医療スタッフを無視して辺りを見回した。


 そしてグラグラと揺れる視界の中で、涙目になって私を見つめる美鈴が私の目にハッキリと映った。


 その瞬間、私の中で渦巻いていた無力感と罪悪感が弾けた。


 ずっと支えてくれた大好きな人にこんな顔をさせるなんて。最低で最悪な自分が憎くて憎くてどうにかなってしまいそうになった時、テレビの電源が落ちるように私の世界は暗転した。

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