第9話 守り鳥を追って
青い鳥は、森の奥へ向かって飛んでいた。
「待って!」
ユウは青い鳥を追いかけて走る。
モコ、ルル、カイも後ろからついてくる。
森の中はどんどん狭くなっていった。
枝が道をふさいでいる場所では、ユウが手で枝をどかしながら進んだ。
「ユウ、右!」
「分かった!」
モコが指示する方向へ曲がる。
すると、木々の間から青い光が見えた。
「いた!」
青い鳥が一本の大きな木の枝に止まっている。
ユウが近づくと、青い鳥は小さく鳴いた。
「ピィ!」
そして、また飛び立った。
「また行っちゃった!」
「追いかけよう!」
四人は再び走り出した。
しばらくすると、森の中に小さな池が見えてきた。
池の水は青く輝いている。
青い鳥は池の上を一周すると、向こう岸にある大きな岩へ飛んでいった。
「ここで何をするんだろう?」
ユウが首をかしげる。
青い鳥は岩の上に止まり、ユウをじっと見つめていた。
すると、ユウの持っていた青い箱が光り始めた。
「また光った!」
青い光が箱から伸び、岩にある小さなくぼみへ入っていく。
カチッ。
岩の一部が動いた。
「えっ!」
岩の後ろから、小さな道が現れた。
「隠し道だ!」
ルルが驚く。
モコも目を輝かせた。
「守り鳥が、この道を教えてくれたんだ!」
「行ってみよう!」
ユウたちは道の中へ入った。
道を進んでいくと、やがて広い空間に出た。
そこには、たくさんの動物たちが集まっていた。
「モコ!」
「無事だったんだ!」
リスや鳥、ウサギたちが一斉に駆け寄ってくる。
ルルも嬉しそうに仲間たちを見る。
「みんな、ここにいたんだ!」
「黒い影から逃げてきたんだ」
一匹のリスが答えた。
「この場所なら安全だから」
ユウは周りを見渡した。
たくさんの動物たちが、不安そうな顔でこちらを見ている。
「みんなを助けないと」
ユウが言うと、モコがうなずいた。
「うん」
そのとき、青い鳥が中央にある大きな石の上へ飛んだ。
石には不思議な模様が刻まれている。
青い鳥が鳴く。
「ピィー!」
すると、石の模様が光り始めた。
地面から青い光が広がっていく。
そして、空中に一つの映像が浮かび上がった。
「これは……?」
ユウが見つめる。
映像には、昔の森が映っていた。
今よりもずっと大きな木々。
たくさんの動物たち。
そして、その中央に一人の少年が立っている。
少年は二つの青い箱を持っていた。
「この人……」
ユウが驚く。
隣にいるカイも映像を見つめていた。
「僕に似てる……」
映像の少年は、二つの箱を大きな木の前に置いた。
すると、森全体が青い光に包まれた。
モコが小さな声で言った。
「これが、森の始まりなのかもしれない」
しかし、映像の最後に黒い影が現れた。
少年が驚いて振り返る。
黒い影は二つの箱へ手を伸ばした。
そこで映像が消えた。
「……何だったんだろう?」
ルルが不安そうに尋ねる。
カイは黙っていた。
ユウはカイを見る。
「カイ、何か知ってる?」
カイは少し迷ったあと、口を開いた。
「うん」
「教えてくれる?」
「僕の世界にも、同じ伝説があるんだ」
カイは二つ目の青い箱を見つめた。
「二つの箱には、世界をつなぐ力がある」
「世界をつなぐ?」
「そう」
カイはうなずいた。
「僕は、その力を使って自分の世界へ帰ろうとしたんだ」
ユウは驚いた。
「でも、どうして森が消えるの?」
カイは答えようとした。
その瞬間――。
森の奥から、大きな音が響いた。
ドン!
動物たちが一斉に騒ぎ始める。
「黒い影だ!」
「近づいてきてる!」
モコが叫んだ。
ユウは青い箱を握りしめた。
「みんなを守ろう!」
動物たちは一斉に走り始める。
青い鳥も空へ飛び立った。
そして、森の入り口の向こうから黒い影が姿を現した。
「逃げても無駄だ」
黒い影が静かに言う。
「二つの箱は、必ず私が手に入れる」
ユウは仲間たちを見た。
怖い。
だけど、今度は逃げたくなかった。
「僕たちで、この森を守ろう」
モコがうなずく。
ルルも前を向く。
カイも二つ目の箱を強く握った。
森を守るための戦いが、ついに始まろうとしていた。




