第10話 森の秘密
黒い影が、ゆっくりと森の中へ入ってきた。
動物たちは不安そうに後ろへ下がる。
「みんな、大丈夫だよ!」
ユウはできるだけ大きな声で言った。
「僕たちが守るから!」
「本当に大丈夫?」
小さなリスが尋ねる。
「うん!」
ユウは力強くうなずいた。
すると、青い鳥がユウの頭の上を飛び回った。
「ピィ!」
青い鳥が鳴くと、森の木々が一斉に揺れ始めた。
「何が起こってるの?」
ルルが驚く。
木の葉が青く光り始めた。
その光は一本、また一本と木から木へ移っていく。
やがて森全体が青い光に包まれた。
「すごい……」
ユウは目を輝かせた。
黒い影も足を止める。
「守り鳥まで目を覚ましたか……」
黒い影がつぶやいた。
「この森は、まだ力を残しているようだな」
「守り鳥って、そんなにすごいの?」
ユウがモコに尋ねる。
「うん」
モコはうなずいた。
「守り鳥は、森を守る力を持っているんだ」
青い鳥が空高く飛び上がる。
すると、木々から青い光が集まり始めた。
光は青い鳥の周りをぐるぐる回る。
「ピィー!」
青い鳥が大きく鳴いた。
その瞬間、黒い影の前に青い光の壁が現れた。
「これは……!」
黒い影が驚く。
黒い光を放っても、青い壁にぶつかって消えてしまう。
「今なら大丈夫!」
モコが叫ぶ。
「ユウ、みんなを安全な場所へ!」
「分かった!」
ユウは動物たちに声をかけた。
「みんな、あっちへ逃げよう!」
動物たちはユウの後について走り始める。
ルルも小さな動物たちを誘導する。
「こっちだよ!」
カイはその場に残っていた。
「カイ!」
ユウが振り返る。
「僕はここに残る」
「どうして?」
「僕が原因で、あいつが来たんだ」
カイは黒い影を見つめる。
「だから、僕が止めないといけない」
「一人じゃ無理だよ!」
ユウが叫ぶ。
「一人じゃない」
モコが言った。
「ぼくも残るよ」
ルルも戻ってきた。
「私も!」
ユウは三人を見て、笑った。
「じゃあ、僕も残る!」
「ユウ……」
カイが驚く。
「仲間だからね」
ユウは青い箱を握った。
そのとき、青い光の壁にヒビが入った。
「まずい!」
モコが叫ぶ。
黒い影がゆっくりと前へ進んでくる。
「守り鳥の力だけでは、私を止められない」
黒い影が手を伸ばす。
「二つの箱を渡せ」
ユウは首を横に振った。
「渡さない!」
「ならば……」
黒い石が光り始めた。
黒い光が青い壁へぶつかる。
バン!
大きな音が響いた。
青い壁に、さらにヒビが入る。
「もう少ししかもたない!」
ルルが叫ぶ。
ユウはどうすればいいのか考えた。
そのとき、青い箱が突然光った。
「まただ……」
箱から出た光が、森の奥へ伸びていく。
光の先には、大きな木があった。
その木の幹には、二つの丸いくぼみがある。
「もしかして……」
ユウは気づいた。
「箱をあそこに持っていけば、何か分かるかもしれない!」
カイも木を見る。
「そうか……」
「カイ?」
「この森の中心だ」
カイの顔が変わった。
「そこへ行けば、二つの箱の本当の意味が分かるかもしれない」
黒い影が叫ぶ。
「行かせるものか!」
青い壁が大きく揺れる。
「走って!」
モコが叫んだ。
ユウたちは一斉に森の中心へ走り出した。
後ろから黒い影が追ってくる。
青い鳥も四人の頭上を飛んでいる。
森の木々が、まるで道を作るように枝を動かしていく。
「こっちだ!」
モコが叫ぶ。
ユウは必死に走った。
そして、ついに巨大な木の前へたどり着いた。
木の根元には、二つのくぼみがある。
ユウとカイは、それぞれの青い箱を見つめた。
「これを入れれば……」
カイが言う。
「本当の秘密が分かる」
ユウは箱をくぼみに近づけた。
しかし、その瞬間――。
背後から黒い影の声が響いた。
「待て!」
ユウたちは振り返る。
黒い影が、すぐそこまで迫っていた。
そして、黒い石を高く掲げる。
「その箱を置けば、すべてが終わるぞ」
ユウは箱を握りしめた。
「終わるって……何が?」
黒い影は静かに答えた。
「この森だ」
巨大な木が、大きく揺れ始めた。




