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ふしぎな森の小さな冒険者  作者: S.S


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第6話 二つ目の青い箱

 ユウたちは、森の奥へ向かって走っていた。


 木々の間を抜けるたびに、青い箱が強く光る。


「ユウ、箱が光ってる!」


 モコが叫んだ。


「うん!」


 ユウは箱をしっかりと握った。


 箱の光は、まるで何かを探しているように森の奥へ向かって伸びている。


「こっちで合ってるみたいだね」


 ルルが言った。


「うん。このまま進もう!」


 三人はさらに速度を上げた。


 しばらく走ると、森の中に大きな広場が見えてきた。


 そこには一本の巨大な木が立っていた。


 周りの木よりもずっと太く、高く伸びている。


「大きい……」


 ユウは思わず立ち止まった。


 木の幹には、青い光を放つ模様がいくつも描かれている。


「ここだよ」


 モコが言った。


「ここが森の大切な場所?」


「たぶんね」


 すると、ユウの持っている箱が突然強く光った。


 ピカッ!


「うわっ!」


 青い光が巨大な木へ向かって伸びていく。


 すると、木の根元に小さな扉が現れた。


「扉?」


 ユウが近づく。


 扉には、青い箱と同じ模様が描かれている。


「もしかして、ここに二つ目の箱があるのかな?」


 ルルが言った。


「そうかもしれない」


 ユウは扉に手を伸ばした。


 しかし――。


 ガサッ。


「……!」


 三人が一斉に振り返った。


 森の奥から、何かの気配がする。


「誰かいる」


 モコが小さな声で言った。


 木々の間に、黒い影が見えた。


「来るよ!」


 ルルが叫ぶ。


 影はゆっくりとこちらへ近づいてくる。


 ユウは思わず一歩後ろへ下がった。


「モコ……」


「大丈夫。ぼくたちがいるよ」


 モコがユウの前に立つ。


 ルルも隣に並んだ。


「僕たちだって、負けないよ」


 ユウは勇気を出して前を向いた。


 すると、黒い影が木々の間から姿を現した。


「……え?」


 ユウは目を丸くした。


 そこにいたのは、ユウが想像していた恐ろしい怪物ではなかった。


 黒いマントを着た、小さな男の子だった。


 年齢はユウと同じくらいに見える。


 黒い髪。


 黒い服。


 そして、手には小さな青い箱を持っていた。


「君……誰?」


 ユウが尋ねる。


 男の子は答えなかった。


 ただ、ユウの持っている箱を見つめている。


「その箱……」


 男の子が小さな声で言った。


「返して」


「え?」


「それは僕のものだ」


 ユウは箱を握りしめた。


「でも、僕は森で見つけたんだ」


「関係ない」


 男の子は一歩近づいた。


「それがないと、僕は帰れないんだ」


「帰れない?」


 ユウは首をかしげる。


「どこに帰るの?」


 男の子は答えなかった。


 その代わり、手に持っている青い箱を見せた。


「これが二つ目の箱だ」


「やっぱり……」


 ユウは驚いた。


「その箱をどうするの?」


「二つを合わせれば、扉が開く」


 男の子は巨大な木を見る。


「そして、僕は元の場所へ帰れる」


「元の場所?」


 ユウには意味が分からなかった。


「君はどこから来たの?」


 男の子はしばらく黙っていた。


 そして、静かに答えた。


「この世界じゃない場所」


「え……?」


 ユウは言葉を失った。


 モコとルルも驚いている。


「別の世界ってこと?」


 モコが尋ねる。


「そう」


 男の子はうなずいた。


「僕は、この森に迷い込んだんだ」


 男の子は悲しそうな顔をした。


「帰るためには、二つの箱が必要なんだ」


 ユウは男の子の顔を見つめた。


 悪い人には見えない。


 むしろ、困っているように見える。


「じゃあ……」


 ユウは箱を見つめた。


「一緒に扉を開けよう」


「え?」


 男の子が驚く。


「君が帰りたいなら、僕も手伝うよ」


 モコが驚いた顔をする。


「ユウ、本当に?」


「うん」


 ユウは笑った。


「困ってるなら助けたい」


 男の子はしばらく黙っていた。


 やがて――。


「……ありがとう」


 小さな声でそう言った。


 しかし、その瞬間。


 巨大な木が突然、大きく揺れ始めた。


 ゴゴゴゴゴ……。


「な、何!?」


 ルルが驚く。


 木の根元にある扉が、青い光を放ち始めた。


 二つの箱が同時に光る。


 ユウと男の子の手の中で、青い箱がまぶしく輝いた。


 そして、扉の向こうから――。


「たすけて……」


 あの声が聞こえた。


 ユウは息をのんだ。


「まだ誰かいる……」


 男の子も扉を見つめている。


「この声……」


「知ってるの?」


 ユウが尋ねる。


 男の子は小さくうなずいた。


「うん」


 そして、震える声で言った。


「僕が、この森に来た原因なんだ」


 扉がゆっくりと開き始める。


 青い光が、森いっぱいに広がっていく。


 ユウたちは、まだ知らなかった。


 扉の向こうに、森の秘密を知るための大きな手がかりが待っていることを。


 そして――。


 この男の子との出会いが、ユウたちの冒険を大きく変えていくことを。



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