第5話 青い光の道
ユウ、モコ、ルルの三人は、石の扉の向こうへ進んでいた。
青い光に包まれた道は、どこまでも続いているように見えた。
「この道、どこまで続いてるんだろう?」
ユウが前を見ながら言った。
「ぼくも、この先まで来たことはないんだ」
モコが答える。
「モコでも知らない場所があるんだね」
「森は広いからね」
ルルも二人の後ろをついて歩いている。
「静かすぎて、ちょっと怖い……」
ルルが小さな声で言った。
「大丈夫だよ」
ユウは笑った。
「三人一緒だから」
「うん!」
ルルも少し安心したように笑った。
しばらく歩くと、道の両側に不思議なものが見えてきた。
「これ、木?」
ユウが立ち止まる。
そこには、青い光を放つ小さな木が並んでいた。
葉っぱは透明で、まるでガラスのように見える。
「きれい……」
ルルが近づく。
すると、一枚の葉っぱがふわりと落ちてきた。
ユウが手を伸ばして受け止める。
その瞬間――。
「え?」
葉っぱから光が飛び出した。
光は空中に浮かび、何かの形へ変わっていく。
「これ……誰?」
光の中に、小さな動物の姿が映っていた。
ウサギ。
リス。
鳥。
そして、見たことのない生き物たち。
森の仲間たちがたくさん映っている。
「これ、森の動物たちだよ」
モコが驚いた顔をする。
「でも、どうしてこんなものが……」
すると、映像の中に黒い影が現れた。
動物たちが一斉に逃げていく。
森の木々が揺れ、地面が大きく揺れる。
「……これって、今朝のこと?」
ユウが尋ねる。
「たぶん」
モコが答えた。
黒い影は森の中を進んでいく。
そして最後に、青い光を持った何かが映った。
「これ……」
ユウは自分の持っている青い箱を見る。
映像の中の光と、青い箱の光がそっくりだった。
「箱と関係があるんだ」
そのとき。
映像が突然消えた。
「消えちゃった」
ユウが葉っぱを見る。
もう普通の葉っぱに戻っている。
「何だったんだろう?」
ルルが首をかしげた。
モコも分からないようだった。
「でも、黒い影が森に来たのは本当みたいだね」
「うん」
ユウは先へ進む。
すると、今度は道の先から声が聞こえてきた。
「……ユウ」
「え?」
ユウは立ち止まった。
「今、誰か僕の名前を呼んだ?」
モコとルルが顔を見合わせる。
「ぼくじゃないよ」
「私でもない」
また声が聞こえた。
「ユウ……こっち……」
今度は、はっきり聞こえた。
「誰?」
ユウは声のする方向へ歩いていく。
青い光の道を曲がると、そこには小さな広場があった。
広場の中央には、大きな木が一本立っている。
その木の根元に――。
「誰かいる!」
ルルが叫んだ。
ユウは急いで近づいた。
木の根元には、小さな動物が倒れていた。
白い毛。
長い耳。
そして、青く光る目。
「ウサギ?」
ユウがしゃがみ込む。
「この子、ケガしてる!」
ルルが心配そうに近づいた。
「大丈夫?」
小さなウサギは目を開けた。
「……モコ?」
「え?」
モコが驚く。
「君は……」
「モコ……助けて……」
「大丈夫! もう大丈夫だよ!」
モコがウサギに近づく。
ユウは持っていた水筒を取り出した。
「水、飲める?」
ウサギは小さくうなずいた。
ユウは少しだけ水を手に入れ、ウサギに渡した。
ウサギはゆっくりと水を飲んだ。
「ありがとう……」
「よかった」
ユウは安心した。
すると、ウサギがユウの持っている青い箱を見つめた。
「それ……どこで?」
「森で見つけたんだ」
「そう……なんだ……」
ウサギは少し驚いたような顔をした。
「その箱を持っているなら……急いで……」
「何を?」
ウサギは震える声で答えた。
「森の……大切な場所が……狙われてる……」
「大切な場所?」
「そう……」
ウサギは必死に話そうとする。
「黒い影は……森の奥へ向かった……」
ユウの表情が変わった。
「黒い影が?」
「うん……」
「何を探してるの?」
ウサギは少しだけ黙った。
そして、ユウをまっすぐ見つめる。
「青い箱の……もう一つを……」
「もう一つ?」
ユウは驚いた。
「青い箱って、二つあるの?」
「そう……」
その瞬間。
ユウの持っている青い箱が、強く光った。
そして、森の奥から――。
ドン!
大きな音が響いた。
「まただ!」
モコが叫ぶ。
続けて、もう一度。
ドン!
ドン!
地面が揺れる。
ユウは森の奥を見つめた。
「急がないと……」
ウサギが小さな声で言った。
「黒い影が……もう近くまで来てる……」
ユウは青い箱を握りしめた。
二つ目の青い箱。
黒い影。
そして、森の大切な場所。
分からないことばかりだ。
それでも――。
「行こう」
ユウは立ち上がった。
「森を守らないと」
モコとルルもユウの隣に並ぶ。
三人は、さらに森の奥へ向かって走り出した。
その先にあるものが、森だけではなく、ユウ自身の運命まで変えてしまうことを知らないまま。




