第3話 大きな足あと
ユウたちは、森の中に残された大きな足あとを見つめていた。
「これ……誰の足あと?」
ユウは地面にしゃがみ込んだ。
足あとには、土が深くへこんでいる。
ユウの手のひらよりもずっと大きい。
「こんな大きな足あと、見たことないよ」
ルルが不安そうに言った。
「ぼくも知らない」
モコも足あとをじっと見つめている。
いつも明るいモコの顔から、笑顔が消えていた。
「ねえ、モコ」
「なに?」
「この森には、こんなに大きな動物がいるの?」
「いるかもしれないけど……」
モコは言葉を止めた。
「この足あとには、見たことのない模様がついてる」
「模様?」
ユウが足あとをよく見る。
確かに、足あとには小さな青い線がいくつも残っていた。
ユウが持っている青い箱の模様と、どこか似ている。
「もしかして、この箱と関係あるのかな?」
「分からない」
モコが答えた。
「でも、調べてみる価値はあるよ」
「うん」
三人は足あとを追うことにした。
足あとをたどっていくと、森の中はどんどん暗くなっていった。
木々が増え、太陽の光がほとんど地面まで届かない。
「ちょっと怖いね」
ルルが小さな声で言った。
「大丈夫だよ」
ユウはそう言ったものの、自分も少し怖かった。
それでも、足を止めることはなかった。
しばらく歩くと、足あとが突然消えた。
「ここで終わってる?」
ユウが周りを見回す。
地面には、もう足あとがない。
「おかしいな……」
モコが木の上へ飛び乗った。
「ちょっと上から見てみる!」
モコが枝の上から辺りを見渡す。
「ユウ! あっち!」
「どこ?」
「あの大きな岩の向こう!」
ユウたちは急いで岩のところへ向かった。
岩の裏側には、小さな洞窟があった。
「洞窟だ……」
入り口は大人なら少しかがまないと入れないくらいの大きさだった。
中は真っ暗で、奥が見えない。
「この中にいるのかな?」
ユウが洞窟を見つめる。
「分からないよ」
ルルが答えた。
「でも、足あとがここで消えてる」
モコが洞窟の入り口を調べる。
すると、洞窟の壁にも青い模様が描かれていることに気づいた。
「これ……」
ユウが青い箱を近づける。
すると――。
ピカッ!
箱が強く光った。
「わっ!」
青い光が洞窟の中へ伸びていく。
暗かった洞窟の奥が、少しだけ明るくなった。
「箱が道を教えてくれてるみたい」
ユウが言った。
「たぶん、この洞窟に秘密があるんだよ」
モコがうなずく。
「でも、入るなら気をつけてね」
「うん」
ユウは一度だけ深呼吸した。
「行こう」
三人は洞窟の中へ入った。
中はひんやりしていた。
外の暑さが嘘のようだ。
壁には青い模様が続いている。
「これ、誰が描いたんだろう?」
ユウが壁を見ながら歩く。
「昔からあるものかもしれないね」
モコが答える。
しばらく進むと、洞窟の奥から水の音が聞こえてきた。
「水?」
ユウが走りそうになる。
「待って!」
モコが慌てて止めた。
「急に走ったら危ないよ」
「ごめん」
三人はゆっくり進んだ。
やがて、洞窟の奥に小さな湖が見えてきた。
「わあ……」
ユウは思わず声を上げた。
湖の水は青く光っていた。
まるで星空が水の中に入っているようだった。
「きれい……」
ルルも目を輝かせる。
しかし、ユウは湖の向こう側に何かがあることに気づいた。
「あれ、何だろう?」
湖の奥。
そこには大きな石の扉があった。
扉の真ん中には、青い箱と同じ模様が描かれている。
「もしかして、あれが秘密の場所?」
ユウが近づこうとした、そのとき。
ゴゴゴゴゴ……。
洞窟全体が揺れ始めた。
「な、何!?」
ルルが驚く。
モコが周りを見る。
「まずい!」
「どうしたの?」
「誰かが近づいてる!」
ユウたちは入り口の方向を見る。
遠くから、大きな音が聞こえてきた。
ドン。
ドン。
ドン。
何かがゆっくり歩いている。
「まさか……」
ユウが息をのむ。
洞窟の入り口に、大きな影が現れた。
三人は息をひそめる。
影は少しずつ近づいてくる。
そして――。
「そこにいるのは誰だ!」
洞窟の中に、大きな声が響き渡った。
ユウたちは顔を見合わせた。
どうやら、森の秘密はすぐそこまで迫っているようだった。




