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ふしぎな森の小さな冒険者  作者: S.S


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第2話 森の奥へ

 ユウとモコは、森の奥へ向かって歩き始めた。


 さっきまで聞こえていた鳥の声は、いつの間にか聞こえなくなっていた。


「ねえ、モコ」


「なに?」


「さっきの声って、誰の声なの?」


 ユウが尋ねると、モコは少し考えてから答えた。


「ぼくにも、はっきりとは分からないんだ」


「分からないの?」


「うん。でも、森の仲間の声なのは間違いないよ」


 モコはユウの肩の上から森の奥を見つめた。


「昨日までは、みんな普通に暮らしていたんだ」


「昨日までは?」


「そう。でも、今朝から森の様子がおかしいんだ」


「どんなふうに?」


「いつも聞こえる鳥の声が聞こえなくなったり、動物たちが隠れて出てこなくなったり……」


 ユウは周りを見回した。


 確かに、森に入ってから一度も動物を見ていない。


「何かあったのかな?」


「分からない」


 モコは小さく首を振った。


「だから、調べに行くんだよ」


「そっか」


 ユウはうなずいた。


 二人はさらに森の奥へ進んでいく。


 道はどんどん細くなっていった。


 木の枝が道をふさいでいる場所もあり、ユウは手で枝をよけながら進んだ。


「けっこう大変だな……」


「もう少しだよ」


「本当に?」


「たぶん」


「たぶんなんだ……」


 ユウが苦笑すると、モコも笑った。


 そのときだった。


 ガサッ。


「ん?」


 近くの茂みが揺れた。


 ユウは足を止めた。


「モコ、今の聞いた?」


「うん」


 二人で茂みを見る。


 ガサガサ。


 また音がした。


「誰かいるのかな?」


 ユウがゆっくり近づく。


「待って、ユウ!」


 モコが止めようとした。


 しかし、ユウは茂みの前まで来てしまった。


「大丈夫だよ」


 ユウがそっと枝を動かす。


 すると――。


「わっ!」


 小さな動物が飛び出してきた。


「うわっ!」


 ユウも驚いて尻もちをつく。


 飛び出してきたのは、茶色い毛をした小さなウサギだった。


「ウサギ?」


 ウサギはユウを見つめている。


 そして、モコを見ると目を大きくした。


「モコ!」


「ルル!」


 二匹はお互いの名前を呼んだ。


「知り合い?」


 ユウが尋ねる。


「うん。森の仲間だよ」


 モコが答える。


 ルルはユウをじっと見つめた。


「その子は誰?」


「ユウだよ」


「人間……?」


「そう」


 ルルは少し警戒していた。


 ユウはゆっくり立ち上がった。


「こんにちは」


「……こんにちは」


 ルルは小さな声で答えた。


「ルル、何があったの?」


 モコが尋ねる。


 すると、ルルの顔が暗くなった。


「森の奥に、大きな黒い影がいるの」


「黒い影?」


 ユウが聞き返した。


「うん」


 ルルは震える声で話し始めた。


「朝、森の奥から大きな音が聞こえたの」


「どんな音?」


「ドーンっていう、とても大きな音」


 ユウは森の奥を見る。


「それで?」


「そのあと、黒い影が木々の間を通っていったの」


「何の影だったの?」


「分からない」


 ルルは首を横に振った。


「でも、そのあとから森がおかしくなったの」


 モコが真剣な顔をする。


「やっぱり、黒い影が原因なんだ」


「たぶん……」


 ルルはうなずいた。


 すると、ユウのポケットに入れていた青い箱が突然光り始めた。


「え?」


 ユウが箱を取り出す。


 青い光が、さっきよりも強くなっていた。


「モコ、これって……」


「青い箱が反応してる」


「何に?」


「森の奥に何かあるんだよ」


 箱の光は、森のさらに奥へ向かって伸びていた。


 まるで、ユウに進む方向を教えているようだった。


「こっちだ」


 ユウは光の先を見つめた。


「行ってみよう」


「待って!」


 ルルが声を上げた。


「危ないよ!」


「でも、困ってる人がいるんだろ?」


「それは……」


 ルルは言葉を失った。


 ユウは笑った。


「大丈夫。無理はしないよ」


 モコもユウの肩に乗る。


「ぼくも一緒だからね」


「うん!」


 ルルは二人を見つめていた。


 しばらくすると、ルルも立ち上がった。


「……私も行く」


「ルルも?」


「森の仲間が困ってるなら、私も助けたい」


 ユウは笑った。


「じゃあ、一緒に行こう!」


「うん!」


 三人は森の奥へ進み始めた。


 少し歩いたところで、ユウは足を止めた。


「……あれ?」


 地面に、何かが落ちている。


 近づいてみると、それは大きな葉っぱだった。


 ただの葉っぱではない。


 葉っぱには、青い光を放つ小さな模様が描かれていた。


「これ、何だろう?」


 ユウが手を伸ばす。


 すると――。


 ドン!


 森の奥から、大きな音が響いた。


 三人は一斉に顔を上げた。


 鳥たちが一斉に飛び立っていく。


 木々が大きく揺れる。


「今の音……」


 モコがつぶやいた。


「黒い影だ……」


 ユウは少しだけ緊張した。


 そして、森の奥を見つめる。


 そこには、さっきまでなかったはずの大きな足跡が残っていた。


「……行こう」


 ユウは青い箱を握りしめた。


 その箱は、今までで一番強く青く光っていた。


 三人はまだ知らなかった。


 この先で待っている出来事が、森の秘密を知るための大きな一歩になることを。


 そして――。


 森の奥では、何かが静かに動き始めていた。



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