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1-3. おつかいで街へ行く

「ルシア。そろそろ街に着くよ。」


サーヤが声かけを聞き、ルシアはフードを被った。どの属性の色でもないルシアの髪は珍しいらしく、両親からは大勢の人が行き交う街ではフードで髪を隠すように言われている。


街に着いたら作物を買い取ってくれる商会に向かう。商会では計画的な納品と計画外の納品で扱いが分けられており、今朝収穫したいちじくが計画外となる。そのためサーヤとルシアら、計画的な納品にはサーヤが、計画外の納品はルシアが、手分けして行うことにした。


「こちらは計画外の納品の受付です。種類・数・質を確認するため、納品物を台の上に載せてください。」


受付にはお姉さんと木サル(キサル)がいて、案内の通りいちじくを台の上にのせた。すると木サル(キサル)が台の上に立ち、すぐさま確認した。


「状態が良いため支払いは20マニーで買い取らせていただきます。」


ルシアは20マニーを受け取り、同じく納品を終えたサーヤと合流する。


「ルシア、納品を手伝ってくれてありがとう。時間が余ったし、予定どおり少しお店を見てまわろう。」


そうして私はササッとおつかいの塩を買うと、サーヤと街の店をまわった。複数の種類のパンが並ぶパン屋さんに、キラキラしたアクセサリーを売る小売店、おいしい匂いのするレストラン。


「あ、ほら。我が家のパンよりもひとまわり大きいパンが売ってるよ。大きいとふかふかの部分が多くて美味しいよねー。」


我が家のパン釜はお母さんと火リスが火の調整をするが、火属性としての力は強くなくて完璧な温度調整は難しいらしい。そして温度調整が上手くないと、大きいパンは表面が焦げているのに中は生焼けみたいになってしまう。だから我が家のパンは小さめをたくさん焼くようにしている。


最後のお店である金物屋につくと、サーヤが慌てた様子をしていることに気がついた。どうしたんだろう?


「そこに入るのはちょっと待って!」


サーヤは髪を手櫛でとかして、スカートのシワを伸ばした。準備万端とばかりに顔を引き締めて金物屋のドアを開けた。


すると店には誰もおらず、奥からカンカンというリズミカルな音が聞こえる。サーヤは少し緊張がとけた表情をしている。


「サーヤ、さっきから変よ?どうしたの?」


「あ、違うのこれは!えーと…。ここは料理用の包丁から、狩りや農作で使う道具が置いているのよ。」


サーヤはお店の奥を気にしながらも、お店の紹介をしてくれる。


「へえ。色んなものがあるんだね。私でも使えるものってあるかな?」


ルシアが聞くとサーヤは、アレやコレを手に取り良さそうなものをお勧めしてくれた。


サーヤって、こんなにも金物に詳しかったんだ!


店の奥、サーヤの後ろから、私たちよりも少し年上のお兄さんが出てきた。私は商品を見せてもらっているので挨拶としてペコリとお辞儀をした。


「ルシア?どうし…。あ、アレクさん!」


振り返ってお兄さんを視界にいれたサーヤは固まった。が、お兄さんの様子を確かめたあと、すぐに鞄から果物をひとつ取り出した。


あれ?今朝収穫したいちじく?全部納品して無かったんだ。


「また食事を適当に済ませてるんじゃないですか?ちゃんと栄養取らないと倒れちゃいますよ。このいちじく、ちょっと収穫が上手く行かなくて、納品できなかったから、あげます。ちゃんと食べてくださいね!」


早口で怒ったように話すサーヤに、お兄さんは申し訳なさそうにしつつもお礼を言った。


「…ありがとう。」


お兄さんはサーヤの頭をポンポンとたたいたあと、私に会釈をして店の奥に戻っていった。


サーヤはというと、身体を小さくして震えている。


「サーヤ、お兄さんと知り合いだったんだね。だからあんなにお店に詳しかったんだー。ってあれ?大丈夫?」


「ーーーっ!!大丈夫だよ!なんでもないから!さぁ暗くなる前に早く帰らなくちゃ!」


荷馬車に乗り込む頃にはサーヤの様子も戻り、私は安心した。

荷馬車は風ロバ(カゼロバ)が引っ張っていて、コツコツコツというリズミカルな音を聞きながらまったり家路につく。


風ロバ(カゼロバ)はその名の通り風属性なのだけど、種として風属性の力が弱いからか属性に拘りが小さいらしく、美味しいものを食べさせてもらえるなら、おしごとに協力してくれる。


ちなみに同じ感じで、風馬(カゼウマ)というのもいて、風ロバ(カゼロバ)よりも早く走るし、何と言っても荷馬車の振動を抑えてくれるらしい。でも、風属性の人しか手伝わないから、あまり使ってる人はいないみたい。荷馬車に乗ったときの、お尻の痛みがないなんて、風属性の人が本当に羨ましいよ!


「今日は街をまわれて良かったよ。どのお店も買いものはできてないけど、見ているだけでたくさんの商品にワクワクしちゃったよ。」


「ルシア、街に行けるようになって本当に良かったね。1年前だっけ?私が街の話をしたらルシアも行きたい行きたい!って両親にお願いして。最初は許してくれなかったんでしょ?」


「そうそう。髪色が珍しいから事件に巻き込まれるかもしれないって。でも、フードをきちんと被っておくこと、誰か他の人と一緒に行くこと、お父さんかお母さんに言ってから行くこと、この3つを必ず守るなら、街に行っても良いって言われたんだよね。」


街に行くことを、お父さんからもお母さんからも反対された私は、街に行っても大丈夫だって証明してやる!と息巻いて家を飛び出したんだよね。そうしたら、お父さんが慌てて追いかけてきて、お母さんも交えてたくさん話した結果、さっきの約束と引き換えに街に行くことを許してもらえたんだよね。あのときの私、グッジョブ!


そのあと、サーヤと私は無事に帰宅した。


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