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3-5. 電力供給はホタルから

「コイルの次はギアが必要だね!」


ギアと言うのはギザギザのついた歯車のこと。ギア同士を噛み合わせてモーターの回転を石臼に伝達するんだ。ギアが無くっちゃ、いくらモーターが回っても、石臼をまわせないから、ギア大事!


「お父さん、ギア作って!ギ・ア!!」


「えええ?ぎあ?なんだそれは?」


ギアは木製で良いのだけど、属性なしの私じゃ上手に作れない。だから、畑にいた木属性のお父さんにお願いする。


「丸い板にギザギザをぐるりと一周つくってほしいの。それを大小それぞれ1枚!」


私は地面に絵を描いて説明し、お父さんにお願いする。


てちてち…。


私が書いたギアのギザギザの上を、ホタルが歩いている。少し消えたギアの絵をもう一度書き直して説明を繰り返す。お父さんはギアのことをよく知らないながらも作ってくれた。


「これでいいか?」


「ありがとう!お父さん、大好き!」


完成したギアをもって、ホクホクとした気持ちで石臼の場所に戻る。バッグの金具や銅線や木材を使って、磁石の上にクルクル回るコイルを設置し、小さいギアをモーターに、大きいギアを石臼に取り付ければ完成だ!


「できたーー!電動石臼の完成だー!」


さあ、動いて!私の電動石臼!


シーン。


「って、電気が流れてないよ!」


あああ…。


私は完成した電動石臼を前に、頭を抱えた。


「コンセントが無い…。乾電池が無い…。電気が無い…。」


せっかく作った電動石臼も、電気がないと回らない。なんてことだろう。完成した今になって気付くなんて。とてつもない徒労感が私を襲った。ホタルが『元気出して!』というように、私の頭の上で羽をパタパタさせている。


「ホタル。私ね、これができたら、サーヤに胸が張れる気がするの。ここまで作ったんだもの、諦めたくないの。」


1度状況を整理して解決策を考えないといけない。私はぶつぶつと独り言のように話す。すると、ホタルが私の前の地面に降り立った。


「聞いてくれるの?ありがとう。この石臼を回すためにモーターを取り付けるの。それでね、モーターに電気をビリビリって流すの。そうしたら、グルグルッとロープが回ってバケツで水が汲めるはずなの。」


ピクッ。


すると、『ビリビリ』という単語にホタルが反応した。


「どうしたの?ホタル。それは銅線だよ。」


ホタルは銅線の端に飛んでいった。


「もしかして、電気を流せないかやってみるって言ってたりする?ええと、んー…。一応、銅線の絶縁が心配だから、小さいビリビリでお願いします。」


私はホタルにそう伝え、ホタルの両手?両足?に銅線をもたせてみた。すると。


ドカンッ!


「っうわああ!なに!?ビックリした!」


見ると銅線が焦げてる。うわぁ、完全にショートしてるよ。出会ったとき程ではないけれど、雷のようなインパルス波がモーター回路を襲ったからか、瞬間的な電撃に銅線の絶縁が耐えられなくて焦げてしまっている。


「すごかったね。でも、もう少し小さくて大丈夫だよ。小さい電気を長い時間流すの?できるかな?」


ポワッ…、ポワッ…


ホタルが淡い光をまとう。光は強弱を繰り返し揺らいでいるように見える。


ククッ、ククッ、…


モーターは少し回っては止まり、少し回っては止まりを繰り返している。何度やってもクルンと回転するところまではいかない。


「ううう。ホタルに上手く伝えられないよ。電気が目で見えれば分かりやすいんだけど。」


私は解決策を考えながらホタルを撫でた。すると何かが小さく、ゆらゆらと波打つ感覚が手に触れた。私はもっとよく感じようと、手に意識を集中させる。


ポワッ


すると、私の手にもホタルと似た黄色い光が出た。波打つような感覚は、次第にくっきりとした線の形になってイメージできるようになった。まるでオシロスコープの画面を見ているようだ。


「…わかるっ!これってきっと波形だよ。ねぇホタル、もう少しこんな風に強く平坦に出してみて!」


私はイメージをホタルに伝える。


ポゥーーー…


ホタルのまとう光の揺らぎが先程より減った。


クルクル…


モーターは先ほどまでのように途中で止まることなく、回転を繰り返した。


ゴリゴリ…


モーターの回転から少し遅れて、石臼も回りはじめた。


「ま、まわったぁ!」


イメージした通りにホタルから電気が流れ、モーターが回り、ギアが回り、石臼が回っている。少しずつ製粉された小麦粉が出てきた。


「ホタル、その調子。すごいね、小麦が挽けて、ちゃんと粉になってるよ。」


私はホタルから流れる電気の乱れに注意しながら、回るモーターを眺めていた。気付けばもう夕暮れだ。空から降る赤みを帯びた光が、モーターの銅線がオレンジ色にキラリと輝いている。なんて綺麗な光景だろう。


ふっ。ふふふっ。


私は肩を震わせ喜びにうち震える。そしてホタルを手に(すく)い上げて、ぎゅっと抱き締めた。


「ホタル、ありがとう!」


私は電動石臼を前に、ホタルを抱き締めて喜ぶ。


「属性なしの私でも、ホタルと一緒なら、何だってできるかもしれない!私、明日は絶対にサーヤと会って、仲直りするよ!」

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