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ちびっこ召喚士のもふぷに領地改革~白猫師匠と猫カフェ仕込みの撫でスキルで貧乏領地を救います~  作者: るあか


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第21話 炎の洞窟の先には

「暑い……暑すぎるわ……」

 燃える岩壁の洞窟を奥へと進む。

 リーゼロッテは防具を外してもまだ暑く、もはや限界を迎えていた。

 ハクとぷにぷにも、ぜぇぜぇと息を切らしている。


「さっきもらった水も、もう尽きそうですね……あっと、すみません」

 ケヴィンは炎のモグラの幻獣とぶつかりそうになり、ギリギリのところでかわす。

 水筒から一滴水が零れると、地面に落ちてジュゥッと蒸発していった。

 

 モグラは「モググ」と鳴きながらマイペースに通り過ぎていった。


「炎の幻獣は、普段こんなところで暮らしてるんだ……。炎の精霊が火山に現れるって噂も、納得だな……」

 

 自分の一族の召喚士たちは皆、精霊と契約をしていた。

 その精霊の本来の姿である幻獣との契約が、自身の成長につながるはずだ。

 そう考えたルカは、どんなに暑くても会いに行くのを諦めたりしなかった。


 しかし、若干他人事のリーゼロッテには、辛い試練である。

「……こんなこと言っちゃあれかもだけど、協力してくれるっていうのなら、せめて洞窟の入り口まで出迎えてくれても良さそうじゃない? くぅちゃんの、友だちの友だち」

 ケヴィンが「確かに……」と相槌を打つ。


 それに対し、クゥエルはスーッと視線をそらした。

「ま、まぁ……協力してくれる、かもって、話でなぁ……」

 

 そんな曖昧なクゥエルの態度に、リーゼロッテとケヴィンは顔を見合わせる。

「俺らの燃える洞窟を進んだこの苦労……無駄に、なりませんよね……?」

「なんか、嫌な予感がしてきたわね……」


 ◇


 洞窟を奥まで進むと、大きく開けた空洞へと出た。

 そこは、壁も燃えてはおらず、少しヒンヤリとしていた。

 空洞の壁には扉がいくつも取り付けられており、こんな奥だというのに、生活感を感じる空間だ。


「涼しい……生き返るわ!」

「ふぅ、ずっとあんなのが続いていたわけじゃなかったんですね。よかった。水は、カラカラですけど……」

 

 そんなケヴィンの声が聞こえたのか、扉の向こうから竜人が顔を出す。

「あの、良かったら冷たい水を用意していますので、どうぞ」

 

 人と似たような姿なのに、竜の角や翼を持ったその姿に、ルカたちは驚く。

 城まで案内してくれたハーピーよりも、ずっと人間寄りの容姿だったからだ。

 

 氷のように透き通った水色の髪や瞳。

 綺麗な女性だった。

 

 水をくれるというその言葉に、ホイホイと扉の中に案内されるのであった。


「ぷはーっ! お水がこんなに美味しいと思ったのは生まれて初めてだわ」

「五臓六腑にしみわたりますね……」

 丸いテーブルを囲んで、リーゼロッテたちは水をがぶ飲みしていた。

 

「あの、ありがとう。僕たち本当に喉がカラカラだったから……えっと」

「わたくしは『ファフニール』と申します。あなたがルカ様ですね? 夫のイフリートから、話はうかがっていますよ」

 ファフニールがそう言うと、クゥエルは「げっ」と顔を引きつらせた。


「て、てめぇ、アイツの嫁なのか……」

 クゥエルは「ちょっと」と、ファフニールを部屋の隅に引きずっていき、何やらごにょごにょと相談していた。


 一体何を話しているのかとルカたちが不思議そうに見つめていると、彼らはすぐに戻ってきた。

「あー、今回ルカに契約してもらうのは……この氷の幻獣ファフニールと、炎の大幻獣イフリートのガキだ。ったく、いきなりハードルがたけぇな……」

 クゥエルはそう言って深いため息をついた。


 しかし、その響きにルカの好奇心が沸き立つ。

「ファフニール。そのお子さんはどこにいるの?」


「はい……広間に出て、ちょうど向かいの部屋に閉じこもってしまって、出てこないのです……。召喚士のルカ様がなんとかしてくださると聞いているのですが……名前は、『サラマンダー』といいます」

 そう気まずそうにいうファフニールに、ルカたちの頭上にハテナマークが飛び交った。


 あれ?

 協力してくれるって話じゃ……。


「分かった、僕、ちょっと尋ねてくるよ。みんなはここで休憩してて」

 ルカはその事態を呑み込み、部屋から出ていった。

 

 もし、協力するのが自分の方なのであれば、むしろ助け合えるかもしれない。

 一方的に協力をしてもらうだけなのは気が引けるので、ちょうどいい。


「向かいの部屋……ここだよな。こんにちは、サラマンダー」

 ルカは、部屋の戸をコンコンとノックした。

 

 ……。


 しかし、返事はない。


「あれ、この部屋じゃなかったかな……初めまして、サラマンダー。僕はルカ――あれ、カギとかはかかってないのか……」

 ルカは、戸を開けて中へと入る。


 部屋の中は殺風景で、ピザを焼くような石窯の中から、赤ちゃんの翼竜がじっとこちらを見ていた。

 あの子が、サラマンダーか。

 

「……変な恰好」

 サラマンダーは、甲高い声で、ボソッとそう呟いた。

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