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ちびっこ召喚士のもふぷに領地改革~白猫師匠と猫カフェ仕込みの撫でスキルで貧乏領地を救います~  作者: るあか


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第11話 ヒョロいニンジン

 村長の家で休憩を終えたルカたちは、早速村を囲む広大な畑を見て回った。

 畑のあちこちで村人が作業をしており、ラウレンツは1人1人に声をかけている。

 

 一方でルカは、村長のまったりガイドを聞きながら畑のあぜ道を歩いていた。

「――わたくし共はこのように畑を耕し、町へ出荷することで生計を立てております」

「うん。農村って、いうんだよね?」

「おっしゃる通りでございます。なんと聡明なご子息で……」


「ひっ、虫がいるわ……! わ、私、虫だめなのよ~……」

 リーゼロッテは足元への注意で、話を聞くどころではなかった。


 ルカとケヴィンが、パチッとアイコンタクトを取る。

 すると、ケヴィンがリーゼロッテにこう提案した。

「でしたらお嬢、村に戻っていましょう」


「えっ、で、でも……」

 虫が怖くても、自分も勉強しなくてはという真面目な精神に、ルカは感心した。

「リゼ。村にいても大丈夫だよ」

「ほ、本当に……?」


「うん、村の人たちとおしゃべりしたら、楽しいかも!」

 ルカがそう言うと、リーゼロッテの表情がパーッと明るくなった。

「そうね! じゃあ、そうさせてもらうわ♪」

 嬉しそうに村に帰っていくリーゼロッテ。


 ルカは再びケヴィンとアイコンタクトを取る。

 そっちでの聞き込みは任せたよ。

 そんな気持ちを込めて。


 ケヴィンはうなずき、「お嬢、待ってください~」とリーゼロッテを追いかけていった。

 一方でクゥエルは、ルカの足元でふんと鼻で笑った。


 少し離れたところでは、ラウレンツと村人が頭を抱えていた。

「うーん……変わっている気がしないな……。むしろ、前よりもしなびていないか……?」

「はい、そうなんです……あっ、毎日ちゃんとお世話はしていますよ?」


「無論、それを疑っているのではないさ。役に立てなくて申し訳ない……」

 ラウレンツがそう言って頭を下げると、村人は慌てふためいていた。


「お、おやめください! こちらこそ、せっかく新しい肥料を用意していただいたというのに、なんの成果も出せず、申し訳ありません」

 村人もペコペコと頭を下げて、謝罪合戦になっていた。


 そんな様子を見ていた村長が、ルカへとこう話す。

「前の領主は、こんな寂れた村になど一度も足を運んではくれませんでした。ですが、あなたのお父様は、この村の畑を心配して何度もこうして様子を見にきてくださいます」


「そっか……。えっと、前の領主様って、確か急にいなくなっちゃったんだっけ?」

「はい。そのようにわたくしもそのように聞いておりますよ。なんでも、屋敷に『こんなしょぼい領土やってられるか』と置手紙をして、一族で去っていったとか……」


「あーぁ。それで誰も統治する人がいなくなっちゃったのか……」

「ですので、ラウレンツ様がいらしてくださり、本当にありがたいのです。色んな肥料を王都から仕入れてくれて、持ってきてくださいます」


 エルマン領の農村は、このルース村だけではない。

 そんな気の遠くなるようなことを、どの村にもしに行っているのか。

 ルカは、改めて自分の父親の偉大さを知った。


「わたくし共も、なんとかそのご期待にお応えしたいと必死に畑を耕すのですが、どうにも作物が上手く育たなく――教会や町の商人にもいつも嫌な顔をされてしまいます……」


「うぅ、でも確かに、ちょっとしなしなかも……」

 これはニンジンの葉だろうか?

 どれもぐったりしているような気がする。


「はい、このような状態ですので、根もひどいのです。よろしければそちらのニンジン、1つ抜いてみてください」

「え、良いの……? ありがとう」


 村長に抜き方を教えてもらって、一番手前のニンジンをスポッと抜いてみる。

 案の定、ヒョロッヒョロのニンジンが顔を出したのであった。


「あわわ……これ、町の市場でおんなじの、見た……」

「すみません。それはきっと、うちの村が出荷したものでしょう……」


 こんなに一生懸命世話をしているのに、こんなのしか育たないなんて……。

 ルカは愕然としながらそのニンジンを見つめていた。


「でも、市場さ、野菜だけじゃなくて、お肉とか、卵とかも……ちょっと、その……」

「ええ、わたくし共も町で他の農村の人らと会う機会があるのですが、この領内のどこの農家も酪農家も、あまり調子はよろしくないようですな……」

 そう言う村長に、ルカは更に落胆した。


「そんなぁ。きっと、他の村だって、この村むたいに一生懸命育ててるよね?」

「そうだと思います。領主様も、このように他の村へも足を運んでくださっているはずです」

「あわわ、なんてこった……」


 気軽に農村に調査に行く、などと息巻いてはいたが――

 これは、ルカが考えているよりもずっと深刻な問題だった。


 だけど、なんとかしたい。

 だって、この村の人たちも、こんなに良い人たちなのに……。


 村長に「休憩しましょうか」と言われ、ルカは一度村長の家に戻ることにした。

 ケヴィンは、上手く情報収集はできただろうか?


 村に戻る途中、クゥエルは立ち止まって、土の匂いをクンクンと嗅いだ。

 妙な違和感に、眉間にしわを寄せる。

 

「くぅちゃん、何してんの? 早くおいで~」

 前を歩くルカに呼ばれて、クゥエルは下手くそな鳴き声で「にゃー」と鳴くと、再度畑を振り返り、ルカのもとへと駆けていった。

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