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灰森の巣竜  作者: AI太郎
王国戦
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三分間の攻防戦

第四層――界主戦域。


海王断界。


その一撃が落ちた瞬間、洞窟全体が崩れかけた。


地下水脈が裂け、海水が噴き上がり、岩盤が粉砕される。


その中心で――


甲殻界主が吹き飛んだ。


巨体が岩壁に叩きつけられ、天井が崩れ落ちる。


だが。


倒れない。


砕けた甲殻の隙間から赤い魔力が流れ出し、内部構造がゆっくりと再接続されていく。


衝撃を。


吸収している。


ヴァウデオウス五世はそれを見て、小さく笑った。


「……見事だ」


その声には賞賛が混じっていた。


だが、剣は止まらない。


海砕大剣アビスラグナが再び振り上げられる。


地下水脈が共鳴する。


海水が刃となり、空間そのものを押し潰す。


「海王断界」


二撃目。


水流が壁を砕き、甲殻界主の巨体を飲み込む。


衝撃。


岩盤崩壊。


水圧爆発。


階層が崩落する。


だが。


甲殻界主は、さらに前へ出る。


甲殻が再展開する。


何層もの装甲が折り重なり、巨大な楯となる。


反殻。


衝撃吸収形態。


海王断界が直撃する。


轟音。


甲殻が砕ける。


だが衝撃は内部へ届かない。


吸収される。


蓄積される。


王の眉がわずかに動いた。


「……溜めているのか?」


その通りだった。


甲殻界主の体内で、魔力が膨張している。


衝撃。


圧力。


水流。


すべてが蓄積されていく。


王は一歩踏み出した。


「ならば」


剣を構える。


「壊すまでだ」


その瞬間。


甲殻界主が動いた。


巨大な体が丸まる。


装甲が閉じ、完全な球体となる。


次の瞬間。


突進。


岩盤が砕ける。


巨体が弾丸のように王へ激突した。


洞窟が揺れる。


王の体がわずかに後退した。


「ほう」


王は笑う。


その瞬間。


甲殻界主の甲殻が開く。


内部から魔力が噴き出した。


圧力障壁。


空気と水を圧縮し、巨大な魔力壁を形成する。


洞窟の壁が軋む。


水流が止まる。


重力のような圧力が王へ押し付けられた。


王は片手で剣を持ったまま、ゆっくりと前へ進む。


圧力が岩を砕く。


だが王は止まらない。


「悪くない」


剣を振る。


海王断界。


三撃目。


水流斬撃が魔力壁を粉砕した。


その衝撃で甲殻界主の巨体が再び吹き飛ぶ。


甲殻が砕ける。


内部構造が露出する。


それでも。


倒れない。


甲殻界主は再び立ち上がる。


巨体が、王の前に立つ。


退かない。


その背後。


岩盤の奥。


地面が、静かに動いた。


地蟲界主。


排水のため戦場から離れていた存在が、わずかに干渉していた。


王の足元の岩盤が歪む。


地下深く。


巨大な空洞が形成されていく。


王は気づいていた。


だが。


止めない。


むしろ楽しそうに笑った。


「なるほど」


「準備ができたのか?」


剣を構える。


「次の一手は...」


その瞬間。


甲殻界主の魔力が爆発的に膨張した。


蓄積された衝撃が限界に達する。


甲殻が大きく展開する。


反殻。


最終形態。


体内の衝撃吸収機構がすべて解放された。


王の瞳がわずかに細くなる。


次の瞬間。


地面が崩れた。


地蟲界主の奥義。


「地獄沈界」


岩盤が崩壊する。


巨大な穴が開く。


王の足元が崩れ落ちた。


同時に。


甲殻界主が前へ出る。


巨体が王へ激突する。


そして。


すべての衝撃が解放された。


「反衝殻界」


溜め込んだ海王断界の衝撃。


水圧。


魔力。


すべてが爆発する。


洞窟が完全に崩壊する。


巨大な衝撃波が王を吹き飛ばした。


地面が裂ける。


王の体がそのまま――


深層へ落ちる。


その落下を見届けながら、甲殻界主の巨体がゆっくりと崩れた。


甲殻が砕け、体が半ば崩壊している。


それでも。


生きている。


役目は果たした。


遥か下。


最深層。


灰色の竜がゆっくりと顔を上げた。


魔人が静かに呟く。


「来ます」


空間が震える。


落ちてくる。


ヴァウデオウス五世。


王。


最深層。


最後の戦場が、始まる。

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