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灰森の巣竜  作者: AI太郎
世界侵食
139/149

突破

アルグレートが息を吐く。


 そして、踏み込む。


 先手。


 斬撃。


 一直線。


 地蟲界主の創り出す地層の表層を切り裂く。


 衝撃で空間が歪み、裂けた部分から内部構造が露出するが――


 次の瞬間、再構築される。


「再生……いや、構造修復か」


 理解する。


 その時。


 足が止まる。


 絡む。


 根。


 足元から、壁から、天井から。


 同時に絡みつく。


 拘束。


 だが。


「甘い」


 剣を振るう。


 一閃。


 根をまとめて切断し、そのまま前進する。


 だが、その動きに合わせて。


 通路が変わる。


 直進していたはずの道が曲がり、距離が伸び、出口が遠ざかる。


「……そういう戦い方か」


 アルグレートは止まらない。


 むしろ、加速する。


 その瞬間。


 落ちる。


 地面が消える。


 足場が崩れ、そのまま下層へと落下する。


 だが、落下の最中に体勢を整え、壁を蹴り、再び上へと跳ぶ。


 しかし。


 その上に。


 地蟲界主。


 通路ごと、押し潰す。


 衝突。


 アルグレートの剣が振り抜かれ、その巨体に切っ先が食い込み、胴体に突き刺さる。


 だが。


 止まらない。


 質量で押し潰す。


「っ……!」


 初めて、足が止まる。


 押される。


 だが、その瞬間。


 魔力を解放する。


 剣が軋む。


 空気が震える。


「どけ」


 振り抜く。


 その一撃で、地蟲界主の一部を強引に切り裂き、空間ごと押し返す。


 だが。


 すぐに再構築される。


 その間にも。


 根が絡む。


 今度は違う。


 魔力が、吸われる。


「……これは」


 アルグレートが低く呟く。


「時間がたりない...」


 理解する。


 この二体は、自分を倒すためにいるのではない。


 止めるためにいる。


 時間を奪うためにいる。


「しかし――」


 判断は一瞬。


「力で押し通る他ないな」


 次の瞬間。


 踏み込む。


 速度が変わる。


 今までの比ではない。


 地面が砕ける。


 空気が裂ける。


 そのまま一直線に進む。


 だが。


 地形が変わる。


 通路が閉じる。


 根が塞ぐ。


 地面が隆起する。


 すべてが、進路を阻む。


 その全てを。


 切る。


 砕く。


 踏み潰す。


 進む。


 だが。


 止められる。


 地蟲界主が前に出る。


 巨大な身体で通路を完全に塞ぎ、そのまま押し潰す。


 その背後で、樹牢界主が全域を拘束する。


 完全封鎖。


 逃げ場はない。


 その瞬間。


 アルグレートが止まる。


 静止。


 呼吸が整う。


 そして。


 剣を構える。


「――少し、時間を使う」


 その言葉と同時に、魔力が収束する。


 周囲の空気が沈む。


 地面が軋む。


 根が震える。


 地蟲界主が動きを止める。


 樹牢界主の拘束が強まる。


 だが。


 間に合わない。


「行くぞ」


 踏み込む。


 瞬間。


 消える。


 いや、違う。


 さらに速度を上げて認識できないスピードで移動する。


 斬撃。


 連続。


 空間ごと切り裂く。


 地蟲界主の構造が崩れ、樹牢界主の根が一斉に断ち切られる。


 そのまま。


 一直線。


 空間の壁へ。


 振り抜く。


 衝突。


 空間が軋む。


 歪む。


 だが。


 割れない。


「……まだか」


 次の瞬間、背後から地蟲界主が再構築され、再び押し潰しにくる。


 同時に、根が再び絡む。


 時間がない。


「なら――」


 もう一段、踏み込む。


 魔力を解放する。


 限界出力。


 それでも。


 構わない。


 振り抜く。


 その一撃は、空間を切る。


 壁が裂ける。


 隙間。


 その瞬間を逃さない。


 踏み込む。


 突き抜ける。


 そのまま。


 外へ。


 次の瞬間、背後で空間が閉じる。


 完全封鎖。


 だが。


 アルグレートは、外に出た。


 息を吐く。


 そして、顔を上げる。


 遠くで、戦場の気配が広がっている。


「……まだ間に合う」


 そのまま、再び走り出す。


 止まらない。


 もう、止められない。

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