Round4 チンアナゴがやってくる
魔女はすべての台を見た後、左端……通路側から3台目を選んだ。
「ふむ、良い波です。これにしましょう」
「じゃあその隣で」
どれ打っても当てりゃいいんだよ当てりゃ。魔女のデータパチンコとやらがどこまで通用するか見せてもらおうかねぇ。
さて、さっきは横槍が入ったがスペックを確認しよう。
大当たり確率は1/259…………という表記なのだが、これにはちょっとカラクリがある。まぁなんてことはない、チャージ当たりと図柄揃いを合算した数字なのだ。
図柄揃い確率1/346。
チャージ当たり1/1038。
合算で1/259となる。
…………となる?
「なんで346と1038を合わせたら259なんだよ」
「(346×1038)÷(346+1038)で259ですよ」
「なんの話?」
そういう計算式なのだろう。スマホでやってみるとマジで259になった。だが俺は騙されない。チャージ当たりとはどう見てもチャージでしかないのだ。
「ハッ、目の前の数字が全てじゃねぇンだ」
「それで勝っていれば格好がつくのですがね」
「お黙り小娘!」
見てろ、チンアナゴもびっくりの直立グラフを打ち立てるぜ。
もはや手が勝手に中央のボタンを押し、先バレを設定する。この台、先バレにも色々種類を用意しているが、ここはスタンダードに主人公の先バレを選ぶ。他の機種と同じ、期待度40%といったところだ。
「まったく、懲りませんね貴方も」
「ドキドキの始まりは、いつも先バレからって決まってンの」
先読みチャンス設定のお前には分かるまい。もはや先バレなしでは打てぬ身体になり申した…………
ともかく、1/259だろうが1/346だろうが当たればいいのだ。できれば1万以内でよろしくぅ〜。
…………そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。
赤く輝く液晶に、主人公がばーんと映る。言わずもがな、先バレの合図である。かれこれ300回転2万円、4度目の先バレだ。
「ちょっともぅいい加減にしてぇ」
「これが先バレ待ちの末路…………」
その気にさせてはフラれ、虚しく回転させるの繰り返し。デカヘソ台ばかり打っていた影響なのか、普通のヘソが小さく見えて仕方ない。ひょっとしてこっそりヘソ削ってないか?
「またバカなことを考えてますね」
「ドキドキしたいがドキドキするだけじゃイヤーッ!」
「モードを切り替えれば良いものを…………あ、チンアナゴ」
画面に白と橙のチンアナゴがこんにちは。
同じ回転をさせる魔女だったが、異常なまでのチンアナゴボーナスでまだ1万円しか使っていない。
一応図柄当たりでもこのボーナスは通常当たりと確変になるものが割り当てられているが、基本はチャージだと思ったほうがいい。昇格なんぞないのだ。
「これは1/346なのか、それとも1/1038なのか…………神のみぞ知るといったところでしょうか」
「神様いるならあと何回転で当たるか教えてくれよ」
そして俺の台はショボいリーチで終わったかと思いきや、左右の図柄に割り込むように、画面上からチンアナゴがやってくる。
「当たり」
「チンアナゴぉ〜!」
先バレ1/4にして、初当たりはチンアナゴであった。もちろん昇格などない。
────3万円目に突入。
◇ ◇ ◇
◯参考機種
『eリコリス・リコイル』
久々に『花の塔』を聴いた気がしますわ。
チャージ当たりのたびに「チンアナゴ」やってます(嘘)。




