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異世界の魔女、現代でパチンカスになる  作者: ムタムッタ
番外編 普通の女の子はパチを打つ

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Round3 銀髪の魔女によるパチンコ攻略法『残滓追跡』


 水族館からカフェ、そしてパチ屋。無茶苦茶な順序を辿り、俺達はいつもの戦場に到着した。


「まさか新台の原作再現とは…………」

「たまにはこういうのも良いでしょう?」

「やるなら銃でドンパチする方をやれよ」

「現代日本で銃火器の使用は違法ですよ…………?」

「パチ屋で平然と魔法使ってる奴が宣ってんじゃねー」


 ゴールデンウイーク中のパチ屋はいつもの客層とは若干異なっていた。

 実家帰りかそれとも嫁さんの実家から避難してきたのか疲れた顔のお父さん、フレッシュな新大学生っぽいグループなど、普段見かけない顔ぶれがちらほら。


 …………毎週通ってると、絶対いるヤツの顔覚えるよな。

 このパチ屋も異世界者がたびたび訪れているが、カメラにバッチリ映っているのだから、そろそろ覚えてられそうなんだよな。


「さて、新台はどこでしたかね」


 そして戦場に戻ったのだから、魔女も戦装束に身を包む。とんがり帽子に黒いローブ。魔力がなくとも魔女は魔女なのである。どう考えてもヤバい奴なのは言うまでもない。しかし残念、パチ屋で『コスプレ禁止』などとはどこにも書いてないし、なんなら毎回『白銀シルバの実践配信☆』で撮影許可を取っているのだから無敵としか言いようがない。


「なんですかその視線は」

「素直に尊敬」

「常にするように」


 現代社会でこの女を止める術はない。とはいえ、今日は魔力ゼロ。いかに傍若無人たる魔女でも、今日はガチ実践。立ち回りが重要だが、原作再現(仮)までした魔女が撤退するとは思えない。


「お、あったあった」


 昼過ぎで混んでいるスロットコーナーを抜け、パチ台の島へ向かっていく。午前中に爆散した者が多いのか、空き台がそこそこ見える。1パチ島はほぼ満席。いかにゴールデンウイークの時間を潰すかがよくわかる構図である。


 ふっ、そこで見ているがいい。真の打ち手は4円に座るのだ。

 で、今日座るのは某ガールズガンアクションアニメのパチンコ台。さかなだのチンアナゴだのではなく、肝はガンアクションである。スペックは――――


「ストップ」

「あ?」

「モノローグで機種説明するのは台を見定めてからにしてください」

「見定めてって、空いてるじゃねーか」


 白い筺体は8台。打ち左右の端台は既に遊技中だ。いっぱい入れてくれて嬉しいぞ。しばらく消えるなよ? 俺のハマる台に限ってすぐ消えちまうんだから…………


「今日は魔力ゼロですよ? 無策で挑むのは愚行です」

「原作再現でテンション上げただろ?」

「あれは願掛け。ここからが私の作戦です」

「釘見るとか?」

「意味あります?」

「………………ないと思う」


 『パチンコ』という遊技において最も大事なファクターを二人してバッサリ。哀しいかな、地方のパチ屋の釘を見たところで大した意味はない。何百回通ってると思ってんだ? 1000円12~15回なんてのはもう分かってンだ!!


「なんだか悲しくなってきたな…………」

「都市部へ行けばよいでしょう?」

「負けた時イヤじゃん…………」

「それもまた一興ですよ」


 銀髪の魔女はすぐに座らず、各台上部の台データの履歴を確認し始めた。その目はいつもの戦う時と同じ、既に実践は始まっているらしい。ただデータ見てるだけだけど。やたら見る。そして手元のスマホで数日前のグラフまで見る。


「熱心に見るなぁ」

「『残滓追跡フォロー・レムナンツ』。機械は無感情ですが、()は必ずあります…………勝利の記憶を追うのは当然でしょう?」

 

 杖はなく、現代機器たるスマホ片手にステレオタイプな魔女は呟く。

 どんなに得意気な表情を浮かべようとも、パチ屋で噛み合わぬ間抜けな姿はまさしく――――


「まさにパチンカスの魔女――――!」


 と言いつつ、俺も台データを確認するのであった。

 当たってない台は当たらない…………それがこの世の常である。



 ◇ ◇ ◇



〇銀髪の魔女によるパチンコ攻略法

 『残滓追跡フォロー・レムナンツ

 パチンコ台のスランプグラフを確認する方法。履歴を見ろ、当たってない台は当たらない。右肩下がりのスランプグラフは地獄への入り口である。


 でもメチャクチャ当たった後の台も当たらない気がする。そんなもん。



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