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異世界の魔女、現代でパチンカスになる  作者: ムタムッタ
番外編 普通の女の子はパチを打つ

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Round2 チンアナゴとアレの形をしたチョコ


 ゴールデンウィーク真っ只中の水族館は家族連れで賑わっていた。


 そんな透き通る水の世界を強化ガラス越しに眺めていると、銀髪の魔女が死んだ魚のような目で不釣り合いな声を出す。


「わぁ〜みてみて刹那、お魚さんだよ!」

「無表情で変な声出すなよ…………」

「おや、これは心外。研究に付き合わせる相手への気遣いだというのに」


 魔女と『気遣い』は対義語に近い。魔力のない状態で一体何を準備することがあるだろうか、いやない。


 流石にTPOは弁えているか、とんがり帽子とローブは無し。常識的な格好で現世を謳歌していたのである。


「魔法が使えないのなら運命力を強化することが肝要ですよ」

「オカルトじゃねーか」

「何を言いますか。これは純然たる経験と研究に基づいた崇高な儀式です」


 それ冥王との3戦勝負でやったばかりだぞ。これなら近所のゴミ拾いした方が運気を上げられるんじゃねーか?


「しかし、これだけ巨大な水槽を泳ぐ水棲生物達を見ていると魚群が来ないか期待してしまいますね」

「頭パチンカスかよ……」


 目の前をどこぞから捕獲したであろう魚が通り過ぎる。熱帯魚だったか? なら偶数だから通常だ。せめてカニかタコでも来てくれないと縁起が良くない。

 

 …………俺も同じ穴の狢らしい。


「ジュゴンやウミガメは別の展示ですよ」

「毒されてんなぁ」


 不敵に微笑む銀髪の魔女が、その場で手を前に伸ばしたり天に向かって背伸びをしたり。面のやたら良い女の奇行に、他の客が視線を向ける。幾人かの子供が、面白がって魔女の真似をしていた。


「何してんの?」

「イメージトレーニングです」

「…………なんの?」

「わかりませんか?」

「分かるかッ!」

「おやおや、修行が足りませんね。さて、次へ行きましょうか」


 勝手に呆れられて、魔女は先へ行く。

 …………なーんか見覚えあんだよなぁ、さっきのポージング。なんだっけか、胃のあたりまでは来てんだけど思い出せねぇ。


 そしてお次はなぜかカピバラ。

 ふれあいコーナーにて魔女は毛むくじゃらを眺めている。


「あぁいうのが好きなの?」

「歯と骨は術の素材に使ったりしますからね。好きと言えばまぁ。スロットならステレオタイプなネズミの方が好みですよ」


 質問が間違っていたな。こいつに一般常識は通用しないんだった。俺もあのネズミは嫌いじゃない。


 ここでもまた意味不明な縦横の伸びを見せる。もはや奇行お姉さんである。


「もしかしてもうなんか始まってんの?」

「えぇもちろん」


 映画だっけ、アニメだっけ…………漫画…………ダメだ、思い出せん。何か大事なことを忘れている気がする。


 お次はイルカショーを見たものの、まるで興味のないように魔女は欠伸をしていた。


「立って乗っても濡れる騎乗生物は苦手です」

「どこ視点?」


 イルカに乗った青年ならぬイルカに乗った魔女…………スーパーラッキー…………的な?


 あいにく輝くマリンブルーではない。うわの空だった魔女は、ショーが終わると同時に立ち上がった。


「えー……水族館関連のパチンコかスロットぉ? 海……じゃないんだよな」

「海でも構いませんが。ゴールデンウィーク……きっと我々より高いスキルを持つ老人(仙人)達がひしめき合う中では不利でしょう。私の狙いは違います」


 展示会場内に戻り、円形の水槽に魔女の目が止まる。


 砂の敷かれた世界の中で、ひょっこり顔を出すのは細身の魚類。一時期話題となったあの魚──────


「魚────チンアナゴですね」

「ほっっっっそ」


 1匹だけならいざ知らず。何匹も同じ姿勢でいると面白い。でもこれは寿司ネタにはならねぇな。もっと太くないと。


 ここでもやはり、魔女は謎の伸びを行う。あれ、胃のあたりから喉元くらいまで登ってきたぞ? 魚……チンアナゴ…………


「イメトレは十分。少し休んでから打ちにいきましょうか」

「寿司でも行くのか?」

「まさか。戦いの前に満腹にはしませんよ」


 そう言って魔女と来たのは喫茶店(コ〇ダ)だった。なぜ寿司から茶店…………? まぁ満腹で打ちたくないって理論は分からんでもないが。


「糖分でも摂りましょう」

「なんでもいいや。お前と同じので頼む」


 あえてメニューは見ない。

 魔女はなんらかの意図があってコ◯ダに来ている。その真意をわからないとパチ屋の行動も読めん。


「なんだっけなぁあの伸び…………」

「今回は察しが悪いですね」

「だって海っつったら()だろ?」

「貴方も十分脳が焼けてますよ」


 言っとけパチンカス。

 う〜んここまで来てもわからないとは…………そういや4月の新台あんまり調べてなかったな。


「お待たせしました〜」

「ありがとうございます☆」


 店員に白銀シルバスマイルを向けつつ、注文を受け取る。カフェオレと…………


 デニッシュパンの上に、チョコレートソフトがとぐろを巻いた人気商品(シ◯ノワール)ならぬ、どう見てもアレ(ク〇ノワール)


「美味しそうですね」

「いやこれリ──────」


 瞬間、刹那おれに電流が走る。

 水族館、魚、チンアナゴ、どう見てもアレ…………謎の伸び、魚、チンアナゴ、どう見てもアレ、謎の伸び…………


 4月の新台──────!


「さかな────ッ⁉︎」

「チンアナゴ…………原作再現ということで、下準備完了です」

「なんてまどろっこしいんだ…………」


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