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異世界の魔女、現代でパチンカスになる  作者: ムタムッタ
番外編 普通の女の子はパチを打つ

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296/296

Round5 現代人も異世界人もトータルで収束するもの


 先バレ来ても当たり来ず。 

 されどカウンターには大当たりの回数が刻まれる。


 なんでかって?


「チンアナゴぉ~」


 約300発、嬉しいよ俺ぁ。これが通常当たりなのかチャージなのかはわからねぇが当たりは刻まれるんだよなぁ!


 当然魔法のない魔女も、引き続き真の初当たりは遠い。俺と同じくチンアナゴの巣を作っている。ただしイラついた様子はなく、ひとり小さく頷いていた。


「ふむ…………台を見誤りましたか…………素の運命力の低下が…………」

「……………………」


 オフの日は大体こうだ。 

 負けてんのに何か納得したような顔でハンドルから手を離さない。そしてオフの日に限って台移動をすることはないのだ。というか、俺達が打ち始めてから客が増えて移動しにくくなっちまった。


『魔法とはいずれ収束するものです…………それが本来とは異なる世界でも。我々魔法使いは、収束の定めを超越する為、日々怠らず研鑽しているのですよ』


 いつだったか、そんなことを言っていた。然るべき場所で然るべきシーンで言ってたら決まっていたのかもしれないが、生憎ハンドル握りながら打っていたヤツが言っても単なるパチンカスの戯言である。


「おいおい、波が来てねぇじゃねぇか」

「発想を変えるんですよ。今日はあくまで世のことわりに従うオフ。魔女も全能ではありませんからね」

「それで負けちゃ意味ねーんだよ――――お⁉」


 お詫びよろしく液晶台に再び主人公が赤いフラッシュと共に現れる…………エクセレント! おまけに注目演出まで重ねて登場、無数のチンアナゴはこのための前座だったわけだ。


「勝ったな」

「あまり当たる前からそれを言うのは……」

「いずれ収束するんだろ? 俺のグラフは、ここから天に伸びるんじゃぁっ!」



 ◇ ◇ ◇



 先バレは当たった。 

 運良く確変にも一発で通した。そこまでは良かった。

 もはや言うまでもないだろう。


 確変中は1/97、132回転中に引ければ当たり。1回の最大出玉は6000発という流行の大量出玉がもらえちまうんだ! 


 ――――()()()()


 目の前の液晶画面には残り2回転と表示されている。もちろん台は震えないし、保留も変わっていない。おかしい、リーチすら掛かっていない。何を間違えた? 確変入ってすぐ打ち始めたことか? 半分回したときに台を休めなかったことか? パチ屋に感謝の自販機利用(お布施)をしなかったことか? 


 何を考えてももう遅い。

 確変駆け抜けに涙を禁じ得ない。


「師匠」

「なにか?」

「収束の定めがないんですが」

「あれは魔法の話ですよ」

「やってんなパチ屋ぁっ!」


 左打ちの旅路の果てに得たもの。

 約600発、プライスレス…………嘘、2000円くらい。

 もちろんそんな出玉は使い果たし、ノーマネーでフィニッシュです。


「ゴールデンウイークは魔境だ。こんな時にパチンコ打つなんて良くないよ」

「今日は個人のヒキも冴えなかったですね。まぁこういう日もあるということで」


 魔女も数万は負けたはずなのに、爽やかな顔をしてやがる。


「なんかツヤツヤしてない?」

「少しはデトックス出来ましたから」

「ンなワケ」


 いや、意外とマジなのか? 

 オフの日にヒキの悪さを持ってくることで魔法との掛け合わせで出玉ウハウハ…………


「まさか……なぁ?」


 しかし今日だけでは魔女の勝ち分が消し飛ぶには程遠い。今週は、オフの日なのだ。オフウィークじゃねぇか。


「さて、明日はスロットを回しましょうか」

「明日は勝つぞ…………神を呼ぶんだ…………ッ!」


 パチで勝てぬならスロを打つ。

 そうして世界の理によって、いつか俺の財布は満たされるのだ。


 多分。

 

 


       番外編 普通の女の子はパチを打つ

            (了⁉⁉)

 

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