Round44 主義刹那と銀髪の魔女によるスロット攻略法『許されよ、我らの愚行とその先を』
CZ突破に難儀する俺とは対照的に、冥王はさらにボーナスを重ねていた。有利区間切断も視野に入りそうだが……
「なんだか増えるのが少ないわねぇ」
「魔法の影響が出てますね、あれ」
「あぁ」
本機のボーナス中、チャンス目を引くとボーナス上乗せに期待できる。というかボーナス中に上乗せしないと100 Gの引き戻しで当てなければならなくなるから実質的にはボーナスを続けることがメインだ。
ボーナス中はハズレ、チャンス目など出玉に無関係の役も1Gを消費する為、出玉が減ってしまう。しかもどうやら、通常時とボーナス中じゃ価値が違うようでなかなかボーナスストックがされない。しかもチャンス目を引けば枚数そのものにも影響し獲得出玉は目減りする……
まぁ……そう考察する魔女も地味に引き戻し込みで冥王とほぼ並んでいるんだけど。置いていかれてるのは俺だけらしい。
で、また早めに来たCZ外したんだが。
かなり早い突入ってことは…………設定6か?
「平日ベタピンに淡い期待を持たないように」
「わあっとるわぃ!」
◯左狙えよぉ
◯いや、でも右来てね?
◯あれは交互だから
◯遠隔でいつでも変わるぞ
「ちょ、ちょっとみんなぁ? 愛をちょうだい?」
視聴者の興味がこちらに向いたのも追い風だ。ママと叫ぶコメントはまだ続いているが、配信開始時より減っている。相当数の魂が生贄になったからだろう。
「ふっ、所詮は他者にヒキを委ねる脆き打ち手よ…………」
「格好つけてないでいい加減CZへ入れてください。3万も入れば問題ないでしょう」
「トータルでは勝ってるし!」
パチンコで超勝ってンだからな⁉︎
とはいえ、魔女の言うことも百理ある。CZも天井で当てたら意味もない。儀式はあくまで儀式、欲しいのは出玉だ。
欲望に応えるように、俺の台は少ないチャンス目でCZへ向かってゆく。どうやら何度も外したおかげで内部モードも温まったな!
「そ、それだけハマってたらわたしになんて追いつけないでしょぉ?」
「一筋縄では行かないことなど想定済みです」
「確かにヒキが弱ぇよ。それでも、だとしても、引かなきゃなンねーんだよ。運は実力で掴むんだからなッ!」
そう、俺の右手はその為にある。
右手に誓った、右を選ぶと。
右手に誓った、片手で出すと。
右手に誓った、浮気はしないと。
右手に誓った、必ず勝つと────!
無根拠な自信は、当たりの途切れた冥王の心を揺さぶる。
「毒も受けて満身創痍なのに、その意志は一体なぁに⁉︎ あなたがそこまでして打つ理由は、一体なんなの⁉︎」
「当てたいじゃん、そんだけ」
「ふぇ?」
「じゃあ…………始めるかぁッ!」
俺のこの手が光っ…………たり唸ったりはしないから、あとは魔女に任せよう。すべて用意は整った!
「我が魔力の下に、そして彼の者の制約と誓約の下に、この魔法を完成させる――――」
ずっと役目のなかった杖が姿を現し、そして、銀の魔女は瞳を閉じる。
これまでの魔法にない輝きと、煌めく銀色の瞳は、スロット台を冷たく、しかし優しく見据えた。
光は渦巻き店内を、そして俺を巻き込みながら、魔法は詠まれる。
「定めて押すは3つの円環。選び貫くは2つの道。青き光、赤き光へ貫くは我が強き意志。迷うことは許されず、道違うことも許されず、許されるは己が行くひとつの道のみ。許されよ、我らは選ぶ、選べぬ道を。許されよ、我らは進む、自縛の道を。許されよ、許されよ、我らの愚行を、許されよ――――」
もう後戻りはできない。
今更2択を逆にすることもない。
魔女を、この台を、スロットの神を信じよう。
だから、この右手を魔女に捧げるのだ。
「――――――『許されよ、我らが愚行とその先を』」
◇ ◇ ◇
◯主義刹那と銀髪の魔女によるスロット攻略法
『許されよ、我らが愚行とその先を』
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