Round41 最終戦、世界と尻を懸けたスロット勝負
「みんなのママ、冥ちゃんで〜す」
「冥王様、まだ配信前ですよ」
翌日、またしても勝手に有給は申請され、無事に受理されていた。もはやツッコむことが野暮である。
「世界の命運がこんな配信で決まっていいのだろうか」
いや、良くない。が、仕方ない。しがない打ち手は運命に翻弄されるものだ…………と、言いたいところだが。
「ま、なんとかなるだろ」
無根拠な自信ではない。
なぜなら今日は、魔女との共闘だから。
◇ ◇ ◇
「はぁ〜いみなさ────」
「ママですよ〜!」
◯ママ────ッ!
◯ママ────ッ!
◯ママ────ッ!
◯ママ────ッ!
「お、オープニングは段取り通りって言ったじゃないですかぁ…………⁉︎」
「え〜? そうだったかしら〜?」
おーおー、初っ端から火花バチバチじゃねーの。さすがに育ててきたチャンネルが懸かると違うねぇ。
「だって今日勝てばこのチャンネルも世界もわたしのものでしょぉ?」
「発言切り取るとやべぇなこいつ」
「だって神だも〜ん!」
はしゃぐ人妻の腰では青白いランタンが揺れる。もちろん中身は魂あり。今日も魔王と死霊使いはついてきている。ついてきたというか、アクセサリー状態というか。沈黙する戦友の人魂とは別に、ランタンのガラス越しから魔王の顔をした人魂が叫ぶ。
『兄弟子ぃ〜母者に勝ってくれぇ~、このままではパチが打てなくなってしまうぅ』
「ここまで来てパチの心配かよ」
『良いのか兄弟子⁉ 母者が勝てばその世界は冥界化、おまけにパチ屋には5号機が蘇ってしまうんじゃぞ⁉」
「俺は嫌だけど……喜ぶやつ多いんじゃね?」
まぁパチ屋の影響に対して世界が終わるのはデメリットがデカいか。
つーかなんで5号機限定なんだよ。もっと前のを復活させてやれよ。パチで蔵が立ってた頃のやつをよぉ。
「呑気ねぇ、毒で死ぬかもしれないのに~」
「おう、朝からもう腹と尻がヤバかったぜ!」
このままじゃ会社に行く前に何時間もトイレに籠らなきゃいけなくなりそうだぜ! 社会的な死は近いなッ!
「失うものが無い弟子は強いですよ冥王様」
「魔王ちゃんが気に入るのも分かるわぁ」
「そんなところで褒められても嬉しくねぇっ!」
閑話休題。
「さて、いつもの白銀シルバモードは置いておいて。冥王様、2戦パチンコが続きましたが自らの戦いはいかがしますか?」
「そうねぇ~、やっぱり3回ともパチンコじゃ芸がないしぃ。わたしが現代に来て初めて打ったのがスロットだったからぁ…………スロットがいいわね!」
〇ママなら何でもイケる!
〇がんばれママ!
〇負けるな~
〇パチンカスに勝って!
マジで視聴者に味方がいねぇなぁ…………パチンコ番組の視聴者は母性を求めているのか。冥王様は私の母になってくれるかもしれないってか?
「時代はママなのか…………師匠、ママ属性付けたらいいんじゃね?」
「安易なキャラ付けは破滅のもとですよ」
「……………………」
…………とんがり帽子に黒ローブは安易じゃないんでしょうか。
「さぁ~て、世界はママのものよぉ!」
「冥王とて、私達の敵ではないことを教えてあげましょう」
コテコテ魔女と冥界の人妻によるスロットバトル、パチンカスを添えて。世界の命運と俺の尻を懸けて、いざ入店。




