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異世界の魔女、現代でパチンカスになる  作者: ムタムッタ
魔王様、パチン婚活って正気か?

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休憩 『冥ママのぱちんこちゃんねる(仮)』爆誕


「そういうことだからシルバちゃん、チャンネルちょ〜だぁいっ!」

「頂戴というより強奪な気もしますが」

「なんか話がとっ散らかってんな……肝は魔王の婚活じゃなかったか?」

「それはそうなんだけどぉ、わたしもパチンコとスロットを経て目覚めたというかぁ〜」


 柔らかな口調とは裏腹に、初対面時の鋭い視線が俺に向く。


「やっぱり貴方は危険因子なのよねぇ、刹那せっちゃん」

「俺ぇ⁉︎」

「だってぇ、尖兵の死霊使い(ネッ)くんを味方にしちゃうし、マオちゃんもせっちゃん気に入ってるしぃ」


 魔王のことは置いといて戦友はあんたの采配ミスだろ……つーかやっぱスパイだったんかあいつ! 単なる異世界旅行者だったぞ⁉︎


「この辺で冥界と魔族の引き締めにせっちゃんを()()()としないと!」

「その『キュッ』って何だよ」

「…………えへ♡」


 キュートな人妻ウインクは闇に満ちている。うーむ、碌な目に遭わなさそうだ。やはり異世界の存在、変人しかいない…………変人どころか神だったな。


 ◯ママ最高! 

 ◯ママ最強!

 ◯ママしか勝たん!

 ◯お前もママ最高とコメントしなさい


「うぉっ、コメント欄ママ一色」

「どうやら観客ギャラリーで楽しめたのはここまでのようですね」

「うふふ、チャンネル登録者のほとんどはわたしの味方よぉ〜!」

「『ママは強し』を地で行くとは…………冥王、恐ろしい子」


 まぁでも……チャンネルに俺は関係ないから、3戦目は魔女が戦えばいいんじゃない? これ以上俺の有給をサンドに突っ込む1万円よろしく使われても困るぞ。それに…………


『うぉぉ兄弟子ぃぃぃ』

『戦友ぅ~』


 冥王によって人魂化し、白髪の死霊使いの残したランタンの中には本来お見合い予定のパチンカスがふたり。


「哀れな奴らだ。じゃあ師匠、あとよろしく」

「あらあら~、せっちゃん逃げられないわよ? ケルちゃんのこと忘れたのぉ?」

「は…………? うぉ⁉ は、腹が…………」


 唐突に訪れる腹痛……もとい、尻痛。ぎゅるる、と唸る腹部が大波の到来を予告する。金保留並みの激熱なヤツだ。


「毒は順調に回ってるようねぇ」

「ケルベロスの毒は食中毒じゃねぇだろ…………⁉」

「ほんとなんで生きてるのかしら~」

「早く行かないと社会的に死にますよ」

「お前どっちの味方なんだよ⁉」


 魔女の回復魔法ヒールには期待できないのでトイレへダッシュ。配信の様子はトイレで見守る(みんなはパチ屋のトイレに籠るんじゃないぞ!)。


『そういうわけでぇ、シルバちゃんも倒して現代日本(この世界)も冥界のモノにするわぁ~!』

『まぁいいでしょう、誰が相手でも関係ありません』


 〇うぉぉぉぉぉぉおママVSシルバだぁぁぁぁぁぁぁ

 〇激熱

 〇ママ――――ッ!

 〇ママ――――ッ!

 〇マ――――――――――


 ほぼ現代に生きる人間とは無関係なところで、世界の命運がパチンカスの魔女(と俺)に託されてしまった…………のを、俺はトイレの個室で唸りながら眺めているのであった。



 ◇ ◇ ◇


 

 トイレでの個室の戦いを済ませて戻ってみると、既に冥王は消えていた。


「あーひどい目に遭った」

「配信は終わりましたよ、『冥ママのぱちんこちゃんねる(仮)』」

「『白銀シルバのパチンコ実践チャンネル』じゃなかったか?」

「チャンネル継承した際のタイトルだそうで」

「呑気だなぁ、こっちの世界が冥界になるかならないかってのによぉ」

「世界を賭けた戦いの経験者なので」


 あぁ、そういえば魔王討伐の勇者パーティー設定だったな。魔王の打った後の台を打ってるのに何の違和感もないから忘れてたぜ。しかも確変入ってるし。相変わらずヒキ強いんだよなぁこいつ…………


「さて、貴方も冥王ママを倒さないとケルベロスの毒でトイレと添い遂げそうですが」

「実害が過去イチかもしれん」

「そこも神仕様ということですね」


 トイレには神がいると誰かが言ってたな……今回はパチ屋にいたんだが。せっかく個人的な実践結果は良かったのに素直に喜べない。どうして俺のパチンコライフには平和が訪れないのか。


「お前のヒキで冥王に勝てるのかよ」

「愚問です。可能性の話ではなく、『勝利』が前提なのですから…………それは貴方も同じでしょう?」

「まぁな。俺には奥義があるし」

「しかし神に打ち勝つには奥義オカルトでも、単なる魔法でも足りない。ならば、このふたつを併せるのです」


 真顔で確変を回しながら、この魔女おんなは言った。曇りなきまなこはパチへの情熱で燃えている。囚われた魔王を助けんがため、銀髪の魔女は俺に手を差し伸べた。


「今こそ、オカルトと魔法の合体です!」


 やっぱりこいつもアホなんじゃないか。


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