~第246世界・ジャパネスク③「聖技鳳凰図」~
~第246世界・ジャパネスク③「聖技鳳凰図」
九尾の狐との闘いを終えて。
「グレンさん、魔石は集まったでござるか?」
「んーそうだな。欲を言えば、その辺りの赤茶けた岩を砕いて持って帰りたいな。」
「岩ですか?」
「ぁぁ。これが炭の代わりに使えるんだよ。炭より長持ちするしな。」
(へぇ。これ、赤の顔料になるんじゃねぇか?)
「少し持って帰りますか?某、切ってみたい……」
「岩切る?刀歯こぼれするわ!!やめとけ!(笑)」
「剣聖さん!拙者、ピッケル持っているでござるよ。素材採取の必需品。拙者、あいてむぽっくす?なるものも持ってるでござるけど?」
「はぁ!?早く言ってくれよー!採取し放題じゃねぇか!じゃ一年分の魔炭取って帰る。」
さらさらさらさらさらさらさらさら
「これ、赤富士じゃねぇか?」
俺は目の前に広がる岩肌と火山に目を奪われていた。
ぶつぶつぶつ
「すこぉし形は違うけどなぁ。」
さらさらさらさら
「こうなったら北斎殿は止められない。某も採取手伝う。」
赤茶けた大地に活火山。
ごつごつした岩肌。
空には紫色の雲。
もう一度確かめるように見てみる。
(ちげぇけどよぉ。ちげぇけどよぉ。なんだか懐かしいねぇ……)
さらさらさらさら
「なぁ皆、この山、フジヤマって名付けていいか?」
「北斎(殿)(さん)富士ですか!!」
「そうでぇ!日本人とっての魂の山だ。」
剣聖もうなずく。
「ほぅ。良い名じゃないか。」
「前の異世界でも似たような山はあったけどなぁ……ここはなんだか違う気配がするんでぃ……」
さらさらさらさらさらさらさらさら
「出来た。」
【赤フジヤマ】
【赤フジヤマ】は実体化するとこは無かった。
「それでいい。」
俺はそう呟きフジヤマを見上げた。
火山火口付近をキラリと光るものが旋回している。
ピーーッ。ヒューーーッ。ピーーッ。ヒューーーッ。
近づくにつれ鮮明になる姿。極彩色の羽を広げ優雅に旋回するその姿。
「鳳凰……」
「本物か?……」
ピーーッ。ヒューーーッ。ヒュルルル。
「北斎さん?描かないんです?」
「いけねぇ!見とれてた。」
さらさらさらさら
描き初めと同時に剣聖の剣が光り始める。
「なんだ?これは。」
剣聖が剣を鞘から取り出し天に掲げる。
さらさらさらさらさらさらさらさら
赤は……
ここの土を使おう。水で溶かし筆に含ませる。
剣聖の剣の光がどんどん増していく。
ヒューーーッ。ヒュルルル。ヒューーーッ。ヒュルルル。
「出来た。」
剣聖の周りを鳳凰が旋回している絵だ。
「実体化。」
口をついて出た言葉。
実体化した鳳凰が光をまとい剣聖へと近づいていく。
すーーっ。
鳳凰が剣に吸い込まれる。
「聖技鳳凰」
剣聖が静かにそう言って剣を鞘へと収めた。
俺の描いた鳳凰図はいつの間にか剣聖1人の絵へと変わっていた。
【聖技鳳凰図】
「北斎さん、皆、俺、新しい技を覚えたみたいだぜ。今さら強くなってもな(笑)俺はただの串肉屋台のおやじだぜ。」
ピーーッ。ヒューーーッ。ピーーッ。
鳳凰はそれを見届けると一度だけ大きく翼を広げ、火口へと帰って行ったのだ。
俺たちの冒険はこうして幕を下ろした。
『凱風快晴』
葛飾北斎が描いた富士山の代表作の一つ。
朝焼けに染まる赤い富士と、青い空の鮮やかな対比が印象的な一枚である。
「赤富士」の名で広く知られ、富士山の力強さと美しさを描いた作品として有名




