~第246世界・ジャパネスク②九尾の狐~
~第246世界・ジャパネスク②九尾の狐~
次の鳥居を潜ると。
ガラガラガラガラ
ドドドドドドドドド
地鳴りを上げて何かの大群が近づいてくる。
「火車だ!これは質の良い火の魔石を落とすんだよ。仕事してくるから、そこで少し待ってろ。」
ガラガラガラガラドドドド、ドドド
ぐるぐるぐるぐる
火車が剣聖の周りを囲む。
(なんてぇ迫力なんだ。)
さらさらさらさら
「北斎さん!こんな火の中で絵を描くなんて肝が座りすぎでござるよ……」
「おめぇの結界信用してるからよぉ。」
「おーい!魔石たくさん採取出来たぞ!帰るか?」
「ちょっと剣聖さんよぉ!まだ描きてぇよ。」
俺はしぶしぶ歩を進めた。その時。
すーーっ。音もなくどこからか大きな鳥居が目の前に現れた。
「あちきはこの世界に囚われておりんす。助けてくだされ。」
「凄い美人(だ)(だな)。」
そこには巫女服に身を包んだ1人の女性が立っていた。
(おいおい。尻尾見えてるじゃねぇか。)
さらさらさらさら
「どうしたんだ?こんなところにいたら危ないだろ?俺たちとアトランティスへ帰ろう!」
(剣聖にも見えて無いのか……)
「ふふふふ。大丈夫でありんすよ。皆様方がいてくださるので。ふふふふ。このままここにいてくれるのですよね?」
「おなご1人では危ない。某が側にいてしんぜよう。」
「拙者も結界貼れるでござるよ!」
「いやいや、保護するのが……」
さらさらさらさらさらさらさらさら
(へぇ、化けた姿ってのもおつなもんだねぇ)
「そこのお方。何を描いてるでありんすか?ささ、こちらへ。一緒に楽しみましょうよ。ふふっ。」
(俺ぁ、昔、描いたことあったよなぁ?確かこんな感じで。)
さらさらさらさらさらさらさらさら
俺は1枚の絵を描き上げた。
【巫女服の女が狐に化ける】絵を。
「キーーーーッ!なんでありんすか!キーーーーッ!」
辺りが白い靄に包まれ、美女が狐へと姿を変える。
「なんだと!!」
剣聖が剣を。武士が刀を構える。
「気がつくのが遅いわぁ!ふふ。ふふふふふふ。」
3人を狐火が取り囲む。
「結界を貼るで…ござ…(美人さんだった…)」
「某、参る!スラッシュ…スラッシュ…狐火切れぬ。」
「2人とも!幻術に惑わされるな。本体に攻撃する……んだ。消えた?」
「おーい!剣聖さんよぉ。描けなくなるんで攻撃しないでもらえますかねぇ。」
「キーーーーッ!何を描いているでありんすか!」
「ちょっと止まっててくれねぇ?べっぴんさんが台無しだぜ。」
「きゃはっ!そうでありんすか?こうでありんすか?」
九尾は尻尾をフリフリする。
「毛並みがちょっと違うな。」
「キーーーーッ!毛並み言うなァァァア!あちきは獣じゃないでありんす!」
「……はいはい。尻尾八つしかないぞー!」
「え?そうでありんすか?あちきとしたことが。」
「耳と鼻をこう尖らせて……。」
「自慢でありんすよ?耳と鼻。」
(あいつら何やってるん(だ?)(だ?)(でござるか?))
さらさらさらさらさらさらさらさら
きゅっきゅっさらさらさらさら
「も、もう、終わらせるでありんす!狐炎幻華!」
九尾の叫びと共に、無数の狐火が辺りを埋め尽くす。
「出来た。」
その瞬間。
北斎の描いた絵から、一匹の九尾の狐がゆっくりと姿を現した。
「狐炎幻華。」
北斎九尾が静かに技を放つ。
二つの狐炎幻華が真正面からぶつかり合う。
ゴォォォォォォッ!!
白い炎と白い炎。
幻と幻。
全く同じ技が、互いを打ち消し合う。
「同じで……ありんすか……」
九尾は信じられないものを見るように、自分自身を見つめた。
「おめぇ、そんなべっぴんさんなんだぜ。もったいねぇ。よーく見てみろよ。」
九尾の狐が一瞬怯んだ。
スパーーン!
剣聖の一撃。
九尾の狐は静かにその場へ崩れ落ちた。




